「現代建築に関する16章」を読んだ! | とんとん・にっき

「現代建築に関する16章」を読んだ!


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最近なぜか建築を志した頃読んだ本を、もう一度読んでみたいとリストアップしていたところでした。ギーディオンの「空間・時間・建築」、ベネヴォロの「近代建築の歴史」、レイナー・バンハムの「第一機会時代の理論とデザイン」、コーリン・ロウの「マニエリスムと近代建築」等々、他にもまだまだありますが、本棚の奥から引っぱり出して目に付くところへ移しておいたりしていました。コルビュジェの初期の著作、「伽藍が白かったとき」とかも候補にあげてありました。これらの本、いざ読むとなるとかなり集中して読まないと、理解するのが難しいものばかりです。


そんなときに、本屋で平積みされた「現代建築に関する16章 空間、時間、そして世界」(講談社現代新書)という本が目に付き、さっそく購入して一気に読み終わりました。「建築を語ることは世界観を語ることだ」として、 現代建築を考えるうえで重要だと思われる概念をとりあげ、それぞれに幾つかのキーワードを絡めながら論じ、時代と建築家の試みを読み解こうとしています。著者の五十嵐太郎は、若手で気鋭の建築評論家です。1967年フランス・パリ生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、東京大学工学系大学院建築学専攻修士課程修了。工学博士。専攻は建築史。東北大学大学院工学研究科・工学部助教授でもあります。著作は多数あるようですが、最新刊、中公新書ラクレの「美しい都市・醜い都市―現代景観論」も評判がいいようです。


この本は、あるNPO法人のメールマガジンの連載のために著者が語った内容を、文字に起こした「語りおろし形式」の本です。第一部かたちと環境をめぐって、第二部住むこと、そして日本という空間、第三部建築はどこへゆくのか、という三部構成です。その中の章立てとして16章あり、それが現代建築を読み解く16のキーワードとしてあげられています。16のキーワードすべてをここにあげるのは、煩わしくなるので避けますが、新書なので読者は一般の人を想定しているのでしょうが、建築の分野の人はほとんど言い古されたことばかりで、掘り下げが浅く食い足りないことばかりです。でも、若手とはいえさすがは評論家、建築関連の議論をサブカルチャーも含めて、幅広く取り上げているのには驚嘆しました。僕のよく知らなかったこと、第五章レム・コールハース、第十章スーパーフラット等、幾つかの章に関しては、よく解説してあり理解の手助けになりました。


建築評論家・五十嵐太郎のブログ 50’s THUNDERSTORM