築地本願寺の動物たち | とんとん・にっき

築地本願寺の動物たち


一度見たら二度と忘れられない建築を一つ上げろと言われれば、あの藤森輝信は躊躇せずに「築地本願寺」と答える、と断言します。普通のお寺と違って、山門もないし、灯籠や香炉、天水桶、賽銭箱もない。なにしろ屋根や窓が見たことのない形でごちゃ混ぜになっているところが最大の特徴です。いわゆる無国籍様式、まあインド風の建築様式といってもいいでしょう。インド建築は、ヒンズー教、仏教、イスラム教、そして古代ヨーロッパ建築を混合したものの総称です。なぜこんな建物が誕生したのか?


西本願寺の明治以後の歩みを決定的に左右したのは第22世門主の大谷光瑞で、彼は仏教はインドで発祥したものだから、その建築をインド式にすることは源に環することでもあり、意味のあることだと唱えます。中国経由の日本式仏教寺院は、暗くて冬寒い。インド式伽藍の建立のために大谷探検隊を率いて、西域、チベット、インドへと仏教遺跡を探訪し、ほとんど日本にいないほどだったという。大正12年の関東大震災で築地本願寺が焼けたのを機に、ようやく念願のインド様式の寺院が、昭和9年に実現しました。



この建物を設計したのが伊東忠太です。伊東忠太は、明治35年から38年まで3年あまり、文部省から中国、インド、トルコ方面へ派遣されます。外国留学といえば欧米が主流だった時代に、想像もできない風変わりな留学でした。この留学の成果が築地本願寺というわけです。その建物の中に、たくさんの動物が住んでいるのをご存じでしょうか?






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