「美しき運命の傷痕」を観た! | とんとん・にっき

「美しき運命の傷痕」を観た!


先日、渋谷へ行ったついでに、東急Bunkamuraの映画館「ル・シネマ」で、「美しき運命の傷痕」を観ました。久しぶりの映画、それもフランス映画でした。実は、映画の内容もまったく分からないままに、ちょうどいい時間だったので、飛び込みで入ったようなものでした。「ル・シネマ」は、「デュラス愛の最終章」を観たとき以来です。と思い、ブログのどこかに書いたことがあると思って調べてみたら、デュラスの「愛人/ラマン」を読んだところにほんのちょっと書いてありました。


「デュラス・愛の最終章」は、公開は2002年12月14日~2003年3月7日となっていましたから、もう3年前のことでした。デュラスと38歳年下の同性愛者だった愛人が、デュラスが亡くなるまで一緒に過ごした16年間の日々をつづった映画です。大女優ジャンヌ・モローが熱演したことでも話題を呼びました。半分ぐらい寝ちゃったこともあり、僕にはあまり評価に値する作品だったようには思えませんでしたので、ブログの記事にも書いていません。フランス映画は難しい!



フランス映画と言えば、「危険な関係」や「死刑台のエレベーター」、そして「太陽がいっぱい」や「地下室のメロディ」あたりから、クロード・ルルーシュ監督、フランシス・レイ音楽の「男と女」や、ジュリエット・ビノシュの「ショコラ」、そしてなんと言っても「ダメージ」ですね。アメリカ映画と違って、フランス映画は少し大人になった気分で見ていました。と言うか、背伸びしていたんでしょうね。その話をすれば、際限なく長くなるのでここでは止めにしておきます。


さて、「美しき運命の傷痕」、これも睡魔と戦ってなんとか観終わりました。映画の解説には、以下のようにありました。


「トリコロール」三部作や「ふたりのベロニカ」など数々の傑作を生んだポーランドの巨匠キェシロフスキ。彼の遺稿となった三部作「天国」「地獄」「煉獄」の中で最も映画化が難しいであろうとされた第2章「地獄」を、若き天才監督ダニス・タノヴィッチが大胆に脚色し作品化。22年前のある出来事によって父親を失った三姉妹。美しく成長した彼女たちだが、長女ソフィは夫の浮気に、次女セリーヌは恋人のいない孤独な日々に、三女アンヌは大学教授との不倫関係にそれぞれ悩みを抱えている。そして、22年前のある出来事以来、口がきけなくなってしまった彼女たちの母親… 4人の女性が愛の地獄でさまよい、もがき苦しみ、心に傷を負いながらも、現実を受け入れ強く生きぬこうとする姿を描いた“愛と再生の物語”。



先日、このブログでポーランドのアンジェイ・ワイダ監督「大理石の男」を再び観たことについて記事にしました。ポーランドでアンジェイ・ワイダ監督と並び賞されるクシシュトフ・キェシロフスキの遺稿3部作の第2章「地獄」を、「ノーマンズ・ランド」でアカデミー外国語映画賞を受賞した新鋭ダニス・タノヴィッチ監督が映画化した作品です。長編2作目だというから素晴らしい。かなり込み入った作品をここまで仕上げたことには驚きました。出演者は、エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケらヨーロッパ屈指の名優たちだそうですが、僕には残念ながらなじみがありません。でも、かなり個性派の俳優たちであることは、画面からよく伝わってきました。


キェシロフスキ監督作品の「トリコロール」三部作、「青の愛」「白の愛」「赤の愛」は、10年以上前に観ました。フランス国旗の3色にちなんだ3部作ですね。いかにもフランス映画という、やはり難しいものでした。「青の愛」には、ジュリエット・ビジョシュが出ていました。巨匠の死後、残した脚本を映画化するというのは、黒沢明監督の脚本も、同じように弟子たちによって映画化されていますね。本当は脚本を書いた監督が映画を通じて伝えようと思ったことは何だったのか?実は、何を隠そう、この映画を一度見ただけでは、言わんとするところがよく分かりませんでした。



元々ダンテの「新曲」なんて、ほとんど知りませんから、その「地獄」を映画化されても分かるわけがない。帰ってから、映画の解説や、観た人の批評などを総合して、やっとこの映画の言わんとするところが、朧気ながら分かってきたというていたらくです。ドロドロした情念が渦巻く壮絶な愛については、伝わってきましたが。まあ、どちらにしても「美しい運命の傷痕」というような、おしゃれな題名とはほど遠い、原題どおり愛の「地獄」を描いた映画でした。なにしろ最初のシーンからして壮絶です。自然界にはよくある生存競争、「托卵」という行為だそうです。それが何を意味しているのか?フランス映画は難しい!


美しき運命の傷痕


托卵 - Wikipedia