「ブリジット・ジョーンズの日記」を読む! | とんとん・にっき

「ブリジット・ジョーンズの日記」を読む!


1995年、イギリスの新聞「インディペンデント」に、ロンドンで暮らす30代独身女性ブリジット・ジョーンズの架空の日記がコラムとして連載されます。コラムの作者は、ブリジット同様30代の未婚のジャーナリスト、ヘレン・フィールディング。このコラムは大反響を呼び、小説として刊行されるや爆発的な売り上げを記録、ロンドンの街中は「ブリジット・ジョーンズの日記」に読みふけるOLで溢れ、ドジで脳天気で思わず周囲が笑いを誘わずにいられない行動を指して、「ブリジット・ジョーンズ的(Bridget Jonesy)」という言い回しが生まれたという。


というのがこの小説「ブリジット・ジョーンズの日記」の成り立ちです。その後「ブリジット・ジョーンズの日記」は映画化されて、それがまた爆発的な大ヒット、そして続編「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」も続いて大ヒットしました。僕がこの本を「ブックオフ」で購入したのは、映画「きれそうな・・・」の日本公開前でしたから、2~3年前でしょうか?がしかし、長い間この本は本棚に眠っていました。やっと読んだのが年が明けてから、正月休みの間でした。この本、日本で翻訳出版されたのは1998年9月ですから、もう7年半も前のことです。


30代未婚の女性、一応4年生大学を出て、卒業後、それなりの会社に就職、仕事も頑張ってきて、賃貸マンションを維持できる収入と、落ち込んだときには励ましてくれる飲み友達もいます。しかし、このまま仕事を続けても将来が見えない、という漠とした不安に取り付かれます。実家に帰れば結婚をせっつかれる。おまけに友人たちは次々に結婚してしまいます。おじさま連中にはセクハラまがいの言葉を浴びせられる。さしあたり結婚の予定もないし、「ケイコとマナブ」を読んだりして、資格取得や趣味の習い事に精を出す。キャリアアップを目指してこの際転職でもと考えてもいます。こう書くと、これはほとんど酒井順子の言う「嫁がず、産まず、この歳に。」と定義された「負け犬」ですね。


ここからが「ブリジット」です。ただの「負け犬」ではありません。1年の始めに「新年の決意」をたてます。①あと3.1キロ体重を減らし、②タバコを止め、③内面の安定を図りさえすれば、悩みはすべて解決されると信じて疑いません。しかし現実はままならない。「今日できることは明日やる」の格言通り、ブリジットの決意実行はいつも「明日から」です。「この1年の総括」、この1年間にブリジットの体重は33.1キロ減少し、32.6キロ増加、まして節酒や禁煙なんてできやしません。二日酔いと無縁だった日は114日、吸ったタバコは5277本。ボーイフレンドは2人、でもそのうちの一人はつきあい始めてたったの6日、「理想の恋人」になるのかどうか?守れた「新年の決意」は一つ、1年間の進歩としては「素晴らしい」と総括します。


それでも、彼女の「楽観主義」は変わりません。どんなに落ち込むことがあっても、ブリジットはなんとか元気を取り戻し、明日になれば何もかもうまくいくようになる、まったく違った人生が開けると自分に言い聞かせます。どうせできないとわかっていても、新年の目標はたてるべきでしょう。人生、そうそう上手くいくことばかりだけではありません。意に染まないことも多々あります。いちいち細かいことまで気にしていたらどんどん落ち込むばかりです。何ごとも笑い飛ばす「楽観主義」がいいんでしょうね。女性向けのエンターティメント小説、男性側からすればやはり人ごと、しかも年代が違う僕には読むのは結構疲れます。たぶん、映画でしたら笑いながら難なく観られると思いますが。


「BBCの『自負と偏見』を見るために着替えをするために、ひとっ走り煙草を買いに行ってきたところ。」という個所が、本の後半にあります。著者は、このBBCドラマの熱狂的なファンだったらしい?ブリジットの前に現れる男性、職場の上司で遊び人のダニエルや、ダサい堅物の弁護士ダーシー、等々、どうも著者は、ジェイン・オースティンの「自負と偏見」を下敷きにしているらしい?これって今公開している映画、キーラ・ナイトレイ主演の「プライドと偏見」のこと?どうもそうらしいことが分かってきました。しかもこの映画、1940年「高慢と偏見」というタイトルでアメリカで映画化されたものもあるようです。

「自負と偏見」新潮社
著者:ジェイン・オースティン 訳:中野好夫
サマセット・モームが「世界十大小説」の一つに挙げたといわれる恋愛小説の名品、夏目漱石もオースティンを絶賛したという。1813年に出版されたこの小説、現代のあらゆる恋愛ドラマやメロドラマ、少女漫画の原点だという人もいます。イギリスの田舎町、5人姉妹のベネット家の隣に、青年紳士ビングリーが引越して来る。温和で美しい長女ジェーンと才気溢れる次女エリザベス、そして快活なビングリーとその親友で気難し屋のダーシー。ところが、エリザベスが高慢で鼻持ちならぬ男と考えていたダーシーが、実は誠実で賢明な紳士だと判った時…。二組の恋の行方と日常を鋭い観察眼とユーモアで見事に描写した名作。「高慢と偏見」というタイトルで、ちくま文庫や岩波文庫でも出版されている。

「ブリジット・ジョーンズの日記」





「ブリジット・ジョーンズの日記   きれそうなわたしの12か月」