夕べは、ワイマールの
チューバクラスの発表会でした。
私が2010年の11月から
ワイマールにも行くようになって、
初めてのチューバクラス発表会でした。
「え?チューバクラスが発表会?!
聞いたことないよ!!」
「まじ?俺、ここでもう6年間
学生やってるけど、
今までただの一度も
そんなのやったことないよ。」
「突然、どうしちゃったんだ?」
と、一斉に驚くトロンボーンの生徒達。
確かに、ここの教授、
ワルター・ヒルガース氏から最初に電話をもらい、
彼のクラスのピアニストになってくれないかと聞かれたとき、
ベルリンでフルタイムで働いているのに
両立できるのかどうか、
迷っていたら、
「ともんべ、心配ないよ。
僕のクラスは人数もそんなにいないし、
発表会も、クラス内のお浚い会もやらないし、
差し迫って試験の生徒もいないし、
とにかく楽チンだから」
と言っていたのをはっきり覚えています。
なので、今回の発表会の話も、
実はちょっと意外だっだし、
多分、今回だけの
特別な企画なのかなと思っていました。
そして本番当日のお昼のGP。
昨日は、室内楽の単位が必要なピアノ科の学生も
2人ほど参加していたのですが、
彼女らは、昼間のGPから
かなり緊張している模様。
GPではステージの上に
わりと小さめのグランドピアノが置いてあり、
それでやりましたが、
どうも音が硬くて好きではない。
ピアノ科の学生が弾いているのも
客席から聞いてみたけれど、
やっぱり音色が耳障り。
そこへ、舞台袖に
スタインウェイのコンサートグランドを発見。
「なんでこっち使わないの?使っちゃだめなの?」
と聞くと、
「え?こっちの方が出しやすかったから。
鍵はあるけど、そっちの方がいいの?」
そっちの方がいいのって・・・
まあ、普通に考えたら、
無名のメーカーの小さいグランドより、
スタインウェイの
コンサートグランドの方がいいでしょ
と、思うのは
私がピアニストだからなのかもしれないので、
「じゃあ、両方聞き比べてみてくれる?」
と生徒達を客席に送って、
ステージの上の2台のピアノで、
同じフレーズを交互に弾いてみる。
すると、もう間髪いれず、全員の生徒が
スタインウェイを指差しました。
よかったぁ~~~、
ピアノの音色もちゃんと聞き分けられるんだ・・・
と、ちょっとホッとする私
1つ心配だったのは、
ちゃんと調律されているかどうかでしたが、
それも大丈夫だったので、
ピアノはその場で即交換。
おかげで私も、
とっても弾きやすくなりました
そして夜の本番。
みんなそれなりに緊張するようで、
瞑想している人、
腹ごしらえに何か食べてる人、
一心不乱に恐い箇所をさらってる人、
落ち着かず、楽屋を出たり入ったりしてる人、
楽屋で観察していると、
ほんと面白いです。
ワルターも、ドビュッシーの小品を
その、ピアノ科の学生と演奏したので、
楽屋で生徒達と一緒に音出しをしています。
でも、その音出しから、すでに美しい音色・・・
私も、もう何年も弾いていない、
あの、厄介なヒンデミットのソナタがあったので、
楽屋のピアノでもう一度、
「アソコ」をゆっくり最終確認。
感心したことは、
今回初めての発表会だというのに、
生徒達は、ちゃんと美しいプログラムを作り、
司会進行役、ビデオ係り、
共演のピアニスト達には最後に
花束もちゃんと用意してあったことです。
当たり前の事かもしれないですが、
それができていない事って
多々あるんですよね。
本番中、楽屋で生徒達が、
これから毎学期、発表会やるみたいだよ、
と話しているのを耳に挟み、すかさず、
「え?それってワルターがそう言ってたの?」
と聞くと、
「うん、そうだよ」
あれ?発表会、
やらないんじゃなかったっけ~?
と、嫌~な予感。
そして、本番も無事に終了し、
楽屋でみんなでわいわいと
片付けをしていると、
ワルターがやってきて、
「ともんべ!今日は本当にありがとう!!
この発表会は、僕がワイマールの教授に
就任して以来16年間で、
初めてのソロの発表会だったんだよ。
今までいろんなピアニストが
うちのクラスを伴奏してくれてたけど、
ともんべみたいに
素晴らしいピアニストが弾いてくれるなら、
これから毎学期に1回ずつ、
発表会をすることにする。
これからも頼んだよ」
と、満面の笑みで
ギューーーッと抱きしめてほっぺたにチュッ
そう来たかぁぁぁぁぁぁ
そんな風に言われて、
嫌だといえるはずもなく、
非常にはめられた感・・・
まあでも、私も、話が違うというだけで、
決して嫌なわけではありません。
むしろ、やった方がいいと思ってます。
こういうはっきりとした目の前の目標というのは、
生徒達にとっては重要ですからね。
実際、今まで、私のレッスンにも
あまり顔を出さなかった生徒達も、
突然目覚めたかのように、
次から次へと押し寄せ、
モチベーションが上がっているのが
見て取れます。
というか、間際になって慌てないで、
もっと早くから準備すればいいのに・・・
おかげでこちらは朝から晩まで
休みなしで、へろへろです。
次回からはもっと早くから
準備する事を叩き込まなければ・・・。
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