おやゆび -連載64- | ともちゃんのページ/共に喜び共に泣いて

ともちゃんのページ/共に喜び共に泣いて

難病の子どもを育てる親の小さなエッセイ

くの生活はね、だいたいベッドの上にいるんだよ。ここがぼくのいばしょ。
今、おおきな大人のベッドを想像したみなさんに、「ブー!!!」。残念でした!
 ぼくのはね、病院に行くとよく見る子ども用のベッド。ほら、全部に柵があって子どもが間違って落ちないようになっているベッド。まあ、ぼくは間違って落ちたりしないけどね。
ぼくね、身長は小学1年生の子どもにちょっと負けるくらい。だからこのベッドで十分なんだよ。
さて、ぼくはベッドの上で何をしているでしょう 自分でできることは、首をふったり、右手を上げたり、左手を上げたり、思い切って両手をいっしょに上げてみたり。足はあんまりうごかさないかな…。
あー、忘れていけないことがありました。ぼくのよだれをずっと吸い続けているカテーテルを噛んでいます。モグモグってね。
最近、新しいことをするようになったんだよ。だれかに教わったわけではないけど、右手のおやゆびを立てて「グッジョブ!!」
まさかーって思っている人いませんか?そのまさかをやっているのが、最近のぼくなんですよ。
のどの痰がからみはじめて「グッジョブ!!」
おしっこが出たみたいなので、「グッジョブ!!」
よくわからないけど、なんとなく「グッジョブ!!」
しずかに、ゆっくり、さりげなく、ぼくはおやゆびを立てながら右手を上げます。
ぼくのおとうちゃん。ぼくのさりげないこの「グッジョブ!!」にいち早く気がついたみたい。さっすがー
そこのあなた、ぼくの「グッジョブ!!」、見に来ませんか? お見せするほどのものじゃありませんが・・・。