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Link トラベラーズの企画に参加させていただきまして、
東京の地酒「金婚」や「屋守(おくのかみ)」で有名な、東村山にある豊島屋酒造さんのみりん醸造行程を見学させていただきました!
                                                                      





まず、なぜ酒蔵でみりん?と思いますよね?

みりんと清酒の違い                                           


みりん 80-85%精米
清酒  35-70%精米

                                                              


精米の違いということで、お酒と同じ設備で造ることができるのだそうです。





3月に仕込み→5月に搾り返すという工場を見せていただきました。

     



豊島屋酒造さんでは神戸から山田錦を取り寄せ、100%国産のもち米で作ります。
手順としましては精米し、まずは米を洗います。




蒸す米に水を吸わせるタンクは、品種ごとに仕切られていました。







100℃くらいの蒸気で40分蒸していきます。


 

終わったら水を抜き、冷まします。

 








これは昭和30~40年代に蒸し米を冷ますために使われていた和釜。 
せいろのような感じでしょうか。
内側の壁にくるくるらせんになっている管の中に水を通し、冷やしていたそう。




今は大型扇風機を使い、離れた仕込み蔵まで蒸し米をエアシューターで飛ばしちゃいます。




ずずずずーっとこの筒の中を飛ばされてゆき・・・




離れた仕込み蔵に着地!
ここで蒸米に米麹、アルコールが混ぜられてもろみとなり、60日間ほど常温タンクで糖化・熟成させるのです。




特別に、ミシミシと軋むはしごを上り槽の上槽部を見せてくださるとのこと。
黒ずみ存在感を増しすぎる木の梁がノスタルジック!
でも現役ですよ、ドキドキします。

組まれた足場は実は下が丸見えだったりちょっと不安定(笑)。
ですが、「ここには滅多に人は入れないんだ!」という稀少なシチュエーションにとてつもなく、興奮します・・・!!




みりんが息づく2階へ・・・
麹を入れて、酵素がもろみを甘いでんぷんに変える行程です。







みりんは酵母を入れないので発酵させず、甘さの出る糖化作用しかありません。





仕込み蔵の奥に搾り機が見えました。





これこれ、この濾紙で漉すのですよね!!
出たみりん粕(かす)がすっごく気になって「見せていただけますか?」と声を掛けたら、なんと!
試食させていただけることになりました。





初めて口にするみりん粕(かす)。
自然な甘みがあり上品で、ほろほろっとした食感です。 
白いものは麹(ブドウ糖)だそう。

みりん粕はまとめて奈良漬け業者に卸していらっしゃるそうなので、こうして試食できる機会すらめったにないというから感謝です。





もちろん搾りたて、できたてのみりんも味見させていただきました。



甘い!!

そしてまろやかで上品な飲み口だねと、みんな満場一致でその美味しさにうなりました。
アルコール度数は14度くらい。
美味しいからってクイクイ試飲していると、千鳥足になるのでご注意を・・・w






そして麹の中の酵素がが生きていると変化してしまうため、酵素を殺菌のため約67℃で本みりんに火入れし、蔵うちで熟成させて濾過、瓶詰めとなります。


                                                               




稀有な工場見学のあとは事務所に戻って、珍しいみりんの飲み比べ^^
豊島屋酒造さんで作られているみりんは、「本みりん 天上」「本みりん 天上・心」
「心」の方は醸造用糖類を添加していない、こだわりの本みりんとなっています。


                                                               

「心」・・・まとわりつく粘度がある。ねっとりと甘い。そしてふんわりと香る。
「みりん」・・・酸味がある。爽やかで飲みやすい。

                                                               


オンライン以外では、吉祥寺の三浦屋や成城石井で販売されているそうですが、そのスーパーのプライベートブランドとして製品名が異なる場合もあるようです。




田中副社長のお薦めで、同社の日本酒を囲みながらの歓談タイムとなりました。



 



純米無濾過厳守 「十右衛門」中取り 生原酒
ふっくらした味と香りのバランスが良い、中取り部分を厳選した爽やかな生酒。


金婚 純米大吟醸 「吟の舞」
アルコール度数13%と低めの飲みやすい純米大吟醸。
フルーティーで、東京サミットの乾杯のお酒として各国の首脳陣に配られましたいわば選抜日本代表。





金婚 微発泡 純米うすにごり生酒 「綾(AYA)」
微発泡で辛口。すっきり。
これはパーティーにもぴったりな、冬季限定ラベルですね。


                                                               




みりんは現在30社から40社で製造されており、今やお米のトレーサビリティ表示として<どこ産の米>かを明記しなくてはならなくなった中で、コスト的に海外から6分の1ほどの値段で安くもろみを輸入して、日本の工場で搾るメーカーさんも多いのだとか・・・ 
そこを豊島屋酒造さんでは国産米100%にこだわり、頑として譲らないとおっしゃいます。

                                                               

それは甘みが違うから。
甘みが違うとお酒の旨みも違います。

                                                               

海外米の代表とされるインディカ米は固いので、吸水率が違い、やはりお酒の出来に違いが出てくるのだそうです。

はっきりいって数時間で見て回れるほど、豊島屋酒造さんは規模としては小さいです。
量産するための簡略化や価格競争には手を出さない。
ですが、由緒ある伝統とその歴史を背景に、「いいものはいい」とブレない作り手として日本酒界に君臨し、豊島屋酒造さんを支持する顧客の顔ぶれの錚々たるや・・・
言わずもがな。


江戸前ならではの気風の良さや粋さも美味しさと同時に併せ持った作り手のスピリッツが、なみなみと受け継がれているみりんやお酒が人々を魅了しないわけがありません。
明治神宮のご神酒、神田明神のご神酒、宮内庁ご用達の非売品や羽田空港限定の羽田・・・銘酒ばかりです。
こだわりつつも、手法や材料を出し惜しみはせず、開放的で来る者・飲む者を拒まない。

手の届く場所で見ることのできる、逸品の生まれていく様子は、触れることのできる文化財産のよう。

この少人数でこのタイミングで、お邪魔することができた奇跡に感謝です・・・!

   
                                                               




おみやげにといただきました「本みりん 天上・心」
大好きなかれいの煮付けをまずはすぐに作りました!




みりんを料理に使う理由は、照りが出る、甘みが増すなどです。
魚の生臭さを消したり、砂糖水だと魚の皮と身が剥がれやすいところを、みりんで作ると剥がれずに美しい照りが出せます。




煮崩れず、味しみしみの味わい深い煮付けになりました(^-^)
照りととろみもいい感じで、味もいつもよりも上品に思えます。







Linkトラベラーズ

豊島屋酒造

東京都東村山市久米川町3-14-10
042-391-0601