いつも思うのは、
工場は "病院に似ている" ような気がする。








カレット工場を見てみたいと思ったのは、
宝石のようにきれいでまばゆい そんなガラスのいたいけな姿を見てみたいと思ったから。



でも 中村ガラスさんにお邪魔して 
気持ちは変わった。






ひしゃげ、曲がり、砕け、剥がれ、
粘液を流して横たわるガラスびんの大量の姿・・・












それは 瀕死で担ぎ込まれた   重症患者の傷口のように思えた。




 

砕いてから洗浄するというびんからは 当然異臭が漂い、 破片が粉となって 

          腕にヘルメットに ぱらぱらと降りかかった。







だんだんと言葉は消えた。

 







見ていてもいいものなのか 触ってもいいものなのか。


たぶんそんなふうに 体がひるむ原因がわたしたちに (わたしに) あるからだ。








叱られているようだった。


面倒で 些細なことだしと怠ったことを、

多少は かまわないよね?
だって手が汚れるもんと つまんでそのまま出した びんたちを。






ひどく責められているような気がして、


                     びんたちに












最後の工程で 再生したカレット。
社長のごつごつした手が 大事そうにカレットを包む。


ここで初めて、カレットがキラキラと輝いて見えた。




正しい手順で分別され、
混じりけのないからだになって
やっとここで "ガラスびん" という新しい命を吹き込まれたカレット。







" 必要とされること " 、
そこで初めて輝きが生まれる。


人も同じなのかな、 
ふとそう思ったとき 自分はどうなんだと





複雑な気分でいっぱいだった。






いのちが うまれる 工場―――。





Special thanks,
中村ガラス株式会社 さいたま工場
さいたま市大字横根大義良1195-1
048-797-0661