第199話 富士山調査6-6 | 《 ヤ ー の 森 》 アドファン絵本的小説

《 ヤ ー の 森 》 アドファン絵本的小説

この物語は、八ヶ岳に住む森の妖精ヤマネのヒーロー(光る子)
が超能力に目覚め、宿敵ブラックエアーとの戦いに挑みます。
それを 森のレンジャーMr.F が、優しく成長や 活躍を見守り
その数々の伝説を語っていきます。


ウサリンは闇夜へ出て食事をし、この富士山近辺を周知している者である。

だから、夜間活動する悪奴の情報を何か持っているかも知れない

それをヤッ吉は、期待していた。

洞窟(西湖 蝙蝠穴)の入り口付近に来ると、誰かの歌声が聞こえてきた。

よく澄んだ通る声で、何故か心地良い。

歌詞はともかく、見事な天使の歌声だ!・☆・!聖の音域を持っている。

<何か持っているかも知れない。>と、ヤッ吉は感じた。



 「 ウサリン☆ウサリン どこへ行く~♪♪
  闇夜の中を どこへ行く~♪♪
  それはね☆それはね! お食事☆お食事する為よ~♪♪
  おいしい☆おいしい! お食事☆お食事する為よ~♪♪
  いいでしょ☆いいでしょ お食事☆お食事する為よ~♪♪

  可愛いウサリン どこへ行く~♪♪
  お耳の☆可愛いウサリン どこへ行く~♪♪ !・☆・!」

どうやら声の主はウサリン、自己中そのものが分かる歌詞だ。きっと、自作だ。
それはともかく <よかった~!!ご機嫌みたい。>と、思うヤー坊がそこにいた。
ウサリンは気難しい子なのだ、以前へそを曲げて大変だった事を思い出した。


蝙蝠穴に入ると、すぐウサリンに会え声をかけてきた。
「 あーら、おチビさん達!何しに来たの?何か御用?」
(参考:ウサリンは、二ホンウサギコウモリでハツカネズミとほぼ同じ大きさ。
 つまりヤッ吉達ニホンヤマネより、少し小さい感じである。)
 以前会った時より、大人びた顔になっていた。もうすっかり、お嬢さんだ。

 「 こんにちは、お久しぶりウサリン。今日は、お話を聞きたくて来たのよ。」
 ヤッチが切り出した。
 「 あーら、ヤッチ。何かしら聞きたい事って?」

 「 最近、この辺で変わった事はないかしら?」

 「 そうね~ ・・・。」


「 そうそう、お食事のお話なんだけど。
 最近変な虫が増えたわ。みんなは、顔が悪魔に似ているから
 マクア虫と呼んでいるわ!
 聞いて聞いて~、それがね、まずいのよ!失礼しちゃうわ。
 せっかく捕まえたのに・・・。
 苦くて・硬くて・それで臭いのよ!!食べられないは、あんなの!
 本当失礼しちゃうわ。
 ヤッチなら、この気持ち分かるでしょ。」
なるほど、食べ物となると真剣だ。

 「 フフ そうね・・・、困った事ね。」
笑いをこらえていた。
ここで笑ったら、ウサリンはどこかへ行ってしまうだろう。
「 ところで、その虫はどんな顔をしているの?
  私に教えて、今思い浮かべてみて。」

 ヤッチは、意識を集中させウサリンの脳裏に入った。

 その虫の正体は、一目瞭然だった。
 <この顔どこかで見たわ。>
 ヤッチは、すぐに思った。
 <・・・ これは。>
 ヤッ吉も、同じ事を考えていた。
 
 映像を見て、直感的にヤー坊が叫んだ。
 「 気持ちワル~、マクア 顔ゴキブリだ。きっと 宇宙ゴキブリ !!」
 それは当たっていた。
 
同時映像を見ていた<ヤーの森>の指揮官は、危機感を持った。
誰にも知られずに、すでに事は進んでいた。
ポツリと、指揮官は言った。
「 確か・・・、これは惑星を滅ぼすと言われるスペース・ゴキブーリ
 すべてを食い尽くすまで、それをやめない。たとえそれが硬い岩でも。
 幾つもの惑星はそれで消滅した・・・ ・・・。
 俗称:悪魔の使者と呼ばれ、その生態は誰も知らない。」

いつの間にか苦悩の顔に変わっていた。



すでに虫という形で、生態系は蝕まれていたのか。
しかも、地球人は知らない未知の宇宙虫に。
いったい、いつから・・・ ・・・。地球はもう終わりなのか。

今後の影響はいかほどに・・・。
(森のレンジャー Mr.F)
 つづく