パンズ・ラビリンス(2006メキシコ/スペイン/米)--完成披露試写会 | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

パンズ・ラビリンス1 パンズ・ラビリンス2 パンズ・ラビリンス3

ダーク・ファンタジー
と聞いていたので、「ナルニア」をちょっと暗くした程度、あるいは「エコール」みたいなもの?(それを思わせる美しい映像もあります)と甘く見ていた私。賞レースの評判で飛びついたミーハーさん(これも私)は、痛い目に遭います。

1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。 (シネマトゥデイ)

現実世界とおとぎの世界が交錯するのですが、どちらも暗いですガーン血・痛み・思想・グロ、なんでもあり、怖いもの100選という感じです。10歳そこらの子役がどうしてあんな気味悪いものと対峙して演技できたのか、不思議だわ。見る側は食事の時間腕時計を計算しつつ行って下さい。劇場ではきっと途中退場する人もいる気がする。

キーワードが「少女」「迷宮」なので、どうしてもテリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」を思い出します。この「パンズ・ラビリンス」の方が強烈なものの・・・私は意外に気に入りました。この作品にはドラマがあって、彼女の気持ちがわかるんです。不安定な世の中や、心を開けない家庭環境、子供の力ではとても逃げ場がなく、現実逃避としてのおとぎの国なんです。彼女はそこでは王女様として迎え入れられるし、使命もある。だから、多少のグロもOKなのね・・・;。そんな彼女が切なくて、なんとかしてあげたくなりました。このお話には神話の要素も含まれているそうですが、キリスト教だか仏教だか知れない死生観も強く影響しているのかしら(ほんとよく知らないのですが・・・)。意外に奥の深さを感じます。

(いや、でも・・・「感涙の」「世界を変える」の文句はどうかと思う)

飽きさせないスリリングな映像は、多くの賞を受賞しただけあり、本当疲れます。誰でも見る映画ではない気がしますが・・・ご興味ある方は是非。

秋公開予定
満足度:★★★★★★★☆☆☆