***0時35分さらに追記***


こんばんは、マックです。

まさかのWeb拍手が反応しない最終回になりましたorz

機械音痴は訳わからずにうひゃー!と叫んでおりますが、とりあえず反応してくれないものはしょうがない。

なのでこの記事のコメ欄を承認制で開放しました。

公開してほしくない方はその旨コメント欄に入れて頂ければ表には出しませんので。

もうホントすみません…m(__)m


すみません、現在は解消したようです…

コメ欄・拍手コメ欄どちらも開いてますのでどうぞお好きな方をお選びくださいませー!

(アメバのコメ欄は承認制です)


***


こんばんは、マックです。

現在咳のし過ぎで死亡中です。ま た か orz ←


しかし、今週末は運動会があるし、来週には遠足があるし、再来週にはママ友会があるし、その次の週末には旅行が控えてるしで死んでる暇はないのです!(もうちょっと予定纏めなさい)

出不精がめずらしく予定立て込んでるとこうなるわけです。

意地でも治します。勿論!


秋を満喫してやるんじゃー!←


前置き長くてすみません、ではでは仮面のラストどうぞ―。





゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚




「わあ…綺麗……」



小柄なテンの体が殆ど隠れてしまう程の大きな花束は、よくよく見ると21本の紅い薔薇をメインにして出来ていた。
大輪を引き立たせる純白のかすみそうは、可憐にその役割を果たしている。


キョーコは胸元でシーツをぎゅっと縛り、テンの元へとゆっくり歩みよると美しい誕生日プレゼントをそっと受け取った。

かさりとラッピングフィルムが音を立て、瑞々しい薔薇の香りがふわりと鼻をくすぐる。

独特の青臭さが愛おしくて、ふふ…と頬を染めてガサガサと大輪の中に顔を埋めた。



「キョーコちゃん、昨日誕生日だったのね。」
「はい…そうなんです。」
「もーっ!誕生日って教えてくれてたなら、もうちょっと良い物ごり押ししたのにーっ!」
「?」



プンプンと腕組みをして悔しがるテンに、キョーコは顔を少し上げて首を傾げる。



「いえね?『クオン』が常連客に贈るのもお花なのよ。「彼女達の手元に残るプレゼントはなるべく贈りたくないから」なんて言ってたけど…それを本命の子にも贈るなんて、蓮ちゃんったら何を考えてるのかしら!?」
「手元に残らない…」
「あ!でもね?その薔薇は特別なのよ!?『クイーンローザ』って言って、今年品種改良に成功したとっておきの薔薇なの!まだ出回ってないから入手困難で、私も苦労したのよ~!」
「そうなんですか。」



手元に残らないものを…それがいかにも蓮らしくて、妙に納得してしまう。
人とのかかわりを無駄に綺麗なあの笑顔でうまく逃げ切るあの本心を、なんとなく見抜いていたからだろうか。


しかし、自分へのこの大輪も蓮が確かに手配を頼んだものなのだろうが、しかし実際に用意したのはテンだ。
蓮からの直接のプレゼントでない事にキョーコは少しがっかりし、肩を落とした。


だが、せっかく自分の為に一生懸命花束を調達してくれたテンに落胆の色を少しでも見せてはいけない。
キョーコは花束の中に再び顔を埋め直し、濃厚な薔薇の香りを堪能する。



(………ん?)



深紅の薔薇の精になれるような気がしてうっとりと目を細めた時、目の前で何かがきらりと光った。


顔を離してよく見てみると、花束の中央にあるひときわ大きな薔薇の中心が再度キラリと光る。
開きかけたそこに指先を差し入れてみれば堅い何かがカツンと爪に弾かれる。


ようやっとの思いで抓んだ指先に挟まっていたのは、濃いピンク色をしたドロップ型にカットされた宝石…のような物だった。



「あら?キョーコちゃん、それは?」
「今この薔薇から出て来たんですけど…」
「えっ!?何それ!私は知らな…あ!あの時ね~!!」



キョーコを置いて一人プリプリと怒るテンは「あのね…」と言うと、こそっとキョーコに耳打ちした。



「蓮ちゃんに黙っててって言われたんだけど…実は1時間くらい前に私のアトリエに来たのよ。どうしてもこの薔薇の花束は見ておきたいって言って。多分その時に仕込んだんじゃないかと思うの。」
「仕込むって…」
「でもなー、だからってこんな仕込みで今までの女の子達との差別化が図れると思ってるのかしら!?もう、蓮ちゃんたら本当に乙女心を解ってないんだから~!文句言いに空港まで追いかけましょうか!今ならまだ間に合うと思うわ!」
「あ、いえ、いいですよ。」



テンに手を引かれてシーツのまま寝室から出されそうになったキョーコは、慌ててテンの動きを止めにかかった。
テンも職業柄重たい荷物を扱うのでそこそこ力に自信はあったが、意外にも力の強いキョーコに止められてしまった事で少し不服そうにぷくうっと頬を膨らませて振り返る。



「ええー!?どうしてぇ?」
「別に、手元に残るプレゼントだけが総てじゃないですし…花は枯れても、これは残りますもの。」



テンに握られた掌の中に宝石はある。
キョーコはその手に視線をやり、テンも何が言いたいのかを悟る。



「もう、キョーコちゃんったら優しいんだから…」
「そうでもないですよ?多分……それに、形に残らなくても、これから残る物を、私はもらいましたから…」
「?それって何…?」



大きな瞳にキョーコを写し、きょとんとした表情で首を傾げるテンに、キョーコは悪戯っぽくくすっと笑った。



「ふふ…内緒です。」
「そーお?…まあ、じゃ。ひとまず蓮ちゃんを追いかけるのはやめにして、朝食にしましょうか。シャワー浴びて来る?」
「はい、今日は一人で行けますよ。」
「分かったわ。そしたら着替えは脱衣所に置いておくわね?」
「ありがとうございます。」



一足先に寝室を後にしたテンを見送ると、両手に持った花束と掌の中の宝石に目を落とす。

光を浴びずともキラキラ輝くそれは、消えてしまいそうな程淡くもなく、深紅の薔薇に溶けてしまいそうな程赤くもない。

程よく主張をするピンク色に、キョーコはまるで自分の心のようだと思った。




愛を心から欲していたくせに関係のない物と切り捨てていた自分の心は何も知らない無色透明だった。

蓮にほんのり好意を寄せた事でそれはほのかに色づいたものの、まだまだ何も知らない子供だった。


そして蓮の長年の想いに触れ、それは一気に色付き花開いた。


これからは自分で輝こう、自分なりの愛を見つけて行こう―――と決意したばかりのキョーコの色…




ふわりと笑みを浮かべながら、キョーコは再び花束を抱きしめ直すと、その中へと顔を埋めた。



「大丈夫…私、貰ったの。例え形に残らなくても、私の心には、ずっとずっと残るわ………」








******








ロスは春先でも暑い。

湿気もそこそこあるし、日本の初夏とあまり変わらないような気がする。

だけど…そんな気候の中愛車を走らせ思い出したのは、入学生代表として壇上へと登って行くキョーコの姿だった。



そんな昔を思い出したのは、13年前の今日が桜舞う入学式の日だったから―――





その日、研究室の中の蓮は落ち着かなかった。
学生がからかいに来ていたが、その相手すら上の空でつまらながられて帰られてしまった。



「久遠くーん…その本、上下逆なんだけど。」
「え?…あ。」



学生達が帰った後も残って借りたい資料を探していた貴島は、完全に心ここにあらずな蓮の様子にはあ…とひとつ溜息を吐いた。



「お前さあ…どうしたんだよ今日は。コーヒーはこぼすわ、授業の時間間違えて休講にしちゃうわ、階段踏み外しちゃうわ。お前らしさゼロなんだけど。」
「俺らしさねえ…」
「あとは逆ナンに引っかかればお前らしさはひとっかけらもなくなるね!」
「お断りしておくよ。秀人に譲るね。」



蓮が母校に戻ったのとほぼ同時期にやってきた貴島は、同じ日本人の同期と言う事で蓮によく絡んで来ていた。
それからしばらくして素性を明かし、金髪に戻した時には相当ビビられてしまっていたのだが…


美人な外見と意外な硬派さが人気の蓮に対し、男女関係なく誰にでも軟派な態度で接する貴島。
正反対に見える二人だったが、学内ではよく一緒にいる為仲良しと思われている。



「悲しいかな、俺は女の子達の方から「みんなお友達♪」オーラを出されちゃうのさ。」
「分け隔てなく仲良くしてたら、学生達も「秀人の特別」になれるなんて思ってないよ。」
「可愛い女の子達には同じだけ愛を注ぎたいのさ!なんならみんな彼女でいい!」
「はいはい。そうですか。」
「みんなに分け隔てなくって言うのは久遠の方だろ?誰に対しても同じ態度、同じ笑顔、同じ台詞。お前の眼には女の子はジャガイモにしか写ってないんじゃないかって心配になっちゃうよ。」
「大丈夫、ちゃんと女の子には見えてるよ。」



貴島の軽口はいつもの事、蓮もさらりと躱す。



「それに…特別な笑顔なんて、特別な娘にだけ見せればいいんじゃないか?」
「おおっ、それは噂の愛しの姫ってヤツですか!?」
「噂って…」
「だって、お前にフラれたって子達の間では有名なんだぞ?クオンが一生を捧げた女の子が既にいるって。」
「まあ…間違ってはいないかな。」



蓮の瞳には、凛とした表情で自分を見つめたあの夜のキョーコの姿が甦る。




あれからもう10年が過ぎた。


時折入る連絡では、向こうの大学で自分も世話になった教授の元、日々研究室に籠って山のような資料と格闘している事ばかりがパソコンの味気ない文字で綴られる。


蓮としては、キョーコが今どんな風に過ごしていて、どんな人達に囲まれているのかなど、事細かな情報をキョーコから聞きたいのだが…

その手の情報は全部社から仕入れないといけない所がもどかしい。


そして今日の落ち付かない原因もまた、社からの情報だった。



(まあ、多分驚かせようと思ってくれてるんだろうけどね…)



キョーコの考えは、もう20年以上彼女を見てきたおかげでほぼ理解している。
しかし、本人の口から総てを聞けない事は、今は恋人となったハズなのに何とも淋しい。



「あ、そう言えばさ。明日から学会が開かれるじゃないか。今年はお前の出身校からは恩師が来るらしいな。」
「ああ、それは聞いてる。今日大学に顔出すって話だから、後で挨拶には伺うよ。」
「それでな?一人助手が付いてくるらしいんだけど。それがすっげー美人だって話なんだよ!久遠がまだ日本にいた頃既に在籍していた子らしいんだけど、知り合いだったら紹介してくれない?」
「それは駄目。」
「えー?知り合いじゃないかもしれないのか?」
「いや、知ってるよ。…ずっと昔から。」
「は…?」


「失礼します。」



蓮がふ…と小さく笑った時、コンコンと研究室の扉がノックされがちゃりと扉が開いた。
そこには、上品なスーツを身に纏ったキョーコがいた。


胸元にはピンク色の石をあしらった、手作りのネックレスがキラリと光る―――



「私、帝東大学講師の最上と申します。明日からの学会で田中の助手を務めさせていただく為、同行いたしました。後程田中も御挨拶に伺うそうです。どうぞよろしくお願いいたします。」
「やあ、最上さん。待ってたよ。」
「……せっかく驚かせてやろうと思っていたのに、社さんが先に教えちゃったんですって?面白くないわ。」
「隠し事が出来ない性分だからね、あの人は。だから連絡役にお願いしたんだけど。」



前回キョーコに会えたのは1年前だった。

教授にどうしてもと呼び出されたのだがスケジュールが詰まっていて、キョーコの部屋に一晩泊まっただけで慌ただしく帰国を余儀なくされた。

話をする時間も惜しいと、帰宅したキョーコをベッドに攫ってただひたすらに肌を重ねて終わった前回の逢瀬。


だから腰に手を当てむうぅっと怒ってはいるが、まともにキョーコを見るのは本当に久し振りで、自然と蓮の笑みは深くなる。
蓮のそんな優しい笑顔を初めて見た貴島は「え?あれ?ええ???」と戸惑いながら声をかけた。



「もしかして、もしかしなくてもお前のお姫様って…」
「あ、貴島くん邪魔だから出てってくれると嬉しいな。」
「もう!久遠!!お友達をないがしろにするのは駄目って言ってるでしょう!?」
「でも」
「でももだってもありません!帰っちゃいますよ!?」
「キョーコ!ゴメン、でも君に会えるのは一年振りじゃないか…秀人とは毎日会ってるからさ。」



カツンとヒールの音を鳴らし、踵を返したキョーコの腕を蓮は立ち上がりながら慌てて引っ張り、バランスを崩した細身の体を抱きとめる。
蓮が女性の事で慌てる姿も、言い訳する姿も一度も目にしたことのない貴島は、肩を大げさに竦めると「お邪魔虫は退散しまーす」と高らかに宣言し、久遠の部屋のドアを閉めて出ていた。



「もう…学内では内緒にするんじゃなかったんですか?」
「向こうではね…色々詮索が面倒だし。」
「こっちの大学もそうじゃないんですか?」
「こっちはオープンだから平気。まずキョーコを補充しないと、俺今にも死んじゃいそう。」
「ん…仕方のない人。」



貴島がドアを閉めて行ってくれたのを幸いと、いきなりキョーコ補充に乗り出す蓮。
普段は忙しさで紛らわせてはいるものの、淋しいのはやはりキョーコも一緒で…



半袖でも過ごしやすい陽気の中、室内の熱気を更に上げる二人の唇がどちらからともなくふっと離れた時。
蓮はにっこりと幸せそうな笑みをキョーコに向けた。


それは「誰に対しても同じ」な仮面の笑顔を壊した、本当の蓮の笑顔…



「後にも先にも、本当の笑顔を知ってるのは君だけで十分さ…」
「?…何の話?」
「世界で一番愛してるって話。」
「もうっ…変な人―――――」



つられて笑うキョーコの笑顔も、ふわりと花のように柔らかく。



ブラインドから差し込む眩しい光だけが、裸の心で寄り添う二人を優しく見守っていた。










こぶたのヒトリゴト。-にゃんこ拍手 ← ありがとうございました。



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