こんばんはー!マックです。

久し振りに仮面書いたのに、仮面の更新が続かなくてごめんなさいorz


本日更新はSSです。

あまりにも有名過ぎる某林.檎姫の歌を聴いていて、何となく思いついたネタ。

カイセツ…に混ざるきょこたん心情。結局カイセツ風味←





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コツ  カツ  コツ  カツ  コツ  カツ  コツ     コツ     コツ ………





『セツ?どうした。』



人通りの多い街中で、一際目立つ男女の二人組。

特に男の方が堅気に見えない表情である為に、人も車も多いこの道で二人の周りだけは微妙に人が避けて通る。


並んで歩いていた二人のうち、少女の方が先に止まり、数歩先で男の方も止まった。



「セツ」と呼びかけられた少女…『セツカ・ヒール』はじとりとした目で男を睨んでいる。

風でひらりと裾が揺れるコートは薄手で、その中から伸びる適度な筋肉のついた脚は厚底のデザインブーツに包まれ、びしりとコンクリートに生えているかのようだった。



『…セツ?』

『今。すれ違った女子高生。目で追ったでしょ。』

『あ?…』

『追 っ た で し ょ 。』



一単語ずつ区切って喋るこの少女が、とりあえず怒っている事は男の方も嫌でもわかる。

普段は大好きな兄の事以外、滅多に感情を表に出さないクールガールなのだから。


しかし、女子高生をちらりと横目で見ていたくらいで何故妹が感情を表に出したのか。

兄…『カイン・ヒール』はさっぱりわからない。


………フリをしてみる。



『ああ…それが何だ。』

『兄さんはああいう可愛い娘がいいわけ。』

『…?可愛い…?』

『東洋人に多いオサナガオってやつで、スタイルも良かったわ。』

『そうか、そこまで見てなかった。』

『は…?じゃあ何を見てたって言うのよ。』



何かそんなに彼の気を引くものがあったのだろうか。


もう一度振り返ってその女子高生を探そうとするも、セツカの背丈では人々の行き交う雑途の中、見つけ出す事はできない。


そんな妹の様子を見て、カインはクスリと笑った。



『セーラー服をお前が着たら、どんな風になるか想像してた。』

『セーラー服?』

『ああ。スクールはプリーツスカートのみ指定だっただろう?アレを着たら似合うと思ってな。』

『…本当?本当にそれだけ?』



「アレ」で女子高生の去った方を見やった兄の身長なら、きっと彼女の後ろ姿を見つけられているのだろう。

人ごみの中でも頭一つ抜き出る大きな体躯に嫉妬しながら、セツカは更に目を吊り上げて質問を続けた。



『何を疑ってる。』

『…また新しい齧歯類でも飼いたくなったのかと思ってね…』

『齧歯…ああ、現場のアレの事か?』

『そろそろ飽きて来たんでしょ?あの主演女優チャン。』

『そうだな…話が通じないにも程があるからな、飽きたと言えば飽きた。』

『あの子も子リスとか、そんな感じのくりっとした可愛い子だったわ。』



カインが目でちらりと追ったその女の子は、素のキョーコと同じような長めのショートを栗色に染め、快闊そうな子だった。

制服の上からでもわかるすらりと伸びた手脚は健康的な肌色で、同性から見てもなかなかの器量の子だと思う。



―――素の『自分』に近いのにはっきりと感じた「可愛さ」に、セツカは胸の奥がチリチリと焦げるような思いを感じていた。

「フン」と鼻を鳴らすと、ツンと顔を上げてカインの横を通り、カツカツと靴音を鳴らしながら速足で歩きだす。



『何だ…妬いたのか。』

『妬いてない。』

『可愛いな、セツは。』

『妬いてないって。』

『セツ。』

『だから妬いてないってっ…!』



「言ってるでしょう」と続くはずだった言葉は、カインの特殊なデザインのコートに阻まれてその唇から発せられることはなかった。

腕を引かれてバランスを崩したところをカインに抱きとめられ、顔が思いっきり厚い胸板にぐっと強く押し付けられる形になったのだ。



『本当に、お前は可愛い。』

『…しつこい。妬いてないって言ってるのに。』

『まあ、そう言う事にしといてやるよ。』

『何よその上から目線。』



自分の腕の中に華奢な身体をすっぽり収めておきながら、ジリジリ嫉妬を妬き、立場は兄である自分と同等、もしくはそれ以上を望む可愛い妹。

心はとっくにお前に囚われ、下僕だと言うのに…



可愛い暴君の嫉妬を浴びれる事が嬉しくて、カインはついクスクスと笑ってしまう。



『苦しいわ兄さん。いい加減離して。』

『そうだな…せっかくのデートなのに、これじゃ前に進めないな。』



ずっと大人しく抱きしめられていたセツカがトントンと背を叩いた事で、本日のメインイベントを思い出す。

撮影が急遽午後入りで良くなった今日は、セツカの新しい洋服を買い込もうと街へ繰り出していたのだ。


回していた腕の力を緩めながら、カインはセツカの髪にキスを落とす。

所々にピンクのメッシュが入ったナチュラルアッシュが地肌に押しつけられ、薄い唇の感触を伝えた。


それは更に、旋毛に。 こめかみに。 額に。 眉間に。

一つずつふわり優しく落とされる。



そして鼻先に一つキスが贈られると、カインの唇は行先を紅く引かれたルージュの元へと定めるが…

それはセツカの白く細い指に遮られた。


むにゅっと押さえつけられ邪魔された事で、カインの眉はぴくりと上がる。



『………何故止める。』

『当たり前でしょ。ここでしないで。』

『ギャラリーを気にしてるのか?そんなの別に関係ないだろう。』



ただでさえ色んな意味で目立つこの兄妹。

何も知らない通行人から見ればきっと「兄妹」である事などわからないのであろう。


しかし明らかに纏う空気が違う二人が、街の往来でいきなり痴話喧嘩らしきものを英語で始めて抱擁などしたら―――

悪目立ちである。


「目を合わせてはいけない」と言わんばかりにちらりと見ては顔を背け、二人の周りを避けて通りすがる人達。

だが、顔は背けてもやはり気になるのだろう、チラチラと痛い視線を感じる。



『そんな事も言われないとわからないの…?兄さんはホントダメっ子ね。』



緩んでいた抱擁からするりと抜けだすと、セツカは手に持っていたバッグを肩にかけ直した。



『さっきの娘が通った道でなんてキスしないで。』

『ほう…なるほど。なら、ここでなければいいのか?』


『そうね…誰の邪魔も入らない、兄さんとアタシだけの世界ならね。』



そう言うと、ニィっと口元を上げて不敵な笑みを見せる。

その笑みは壮絶に妖艶でカインは一瞬虚を突かれるが、つられてニヤリと笑い返した。



『お前がいれば、どこでも俺とお前の世界なのに?』

『ダメよ、もっとアタシだけを見てくれる世界じゃないと。兄さんはすぐよそ見するから。』

『これ以上お前にハマったら、俺は一瞬もお前と離れては生きていけなくなるんだが?』

『へえ…いいわね、ソレ。』



唇に指を当て少し考えたセツカは、妖しい笑みを湛えたまま、首をコテンと斜めに倒す。

そして上目遣いで兄を見上げた。



『どこに行くにも一緒だなんて、素敵じゃない?』

『地獄の底まで一緒だぞ。』

『構わないわ。兄さんと永遠に一緒なら、アタシは本望よ。』



フフンと笑うと、セツカはくるりと背中を向け歩き出した。



カツカツと高い音が鳴る厚底のブーツ。

そこにまた、規則正しくコツコツとカインの足音が混ざる。





カツ コツ カツ コツ カツ コツ カツ コツ ―――





自分の背を追って歩く兄の視線を感じながら、セツカの頬は自然と朱に染まった。






カインはどこまで気が付いていただろうか。

セツカの台詞の中に紛れた、『セツカの中の人間』の心に。





――― コッチヲミテ。


イマハ ワタシダケヲミテ。


ワタシハ アナタシカミエテナイカラ。



ダカラ ワタシトイッショジャナクチャ ダメデスヨ ――――― ?









こぶたのヒトリゴト。-にゃんこ拍手 ←蓮さん今気が付けば、即座にきょこたん捕まえられるのでは?


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あんまりにも有名過ぎる歌の世界観をお借りしたので、若干ヒヤヒヤしております。

ファンに怒られるかな…?(><;)

一応、歌詞も確認して「これはさすがに…」って単語は間引いたのですが。


元は、歌を聴きながら「セッちゃんがセーラー服着てる所を兄さんが想像したら…」なんて事を考えていた事から思いついたネタでした。

ふいっと目で追っちゃって、セッちゃんに怒られてしまえ!なーんてねw←


セツついでに中のきょこたんも密かに嫉妬してるといいなあ。

いや、絶対してるんだろうけど(自分の中では決定事項)


最近は昔の曲を引っ張り出して聴く事も多いです。

ここの所のお気に入りは、林.檎姫の初期の頃の作品とメロ○ュア。

林.檎姫のような感性が欲しいなあと思うし、岡○さんの声は天使。

若くして亡くなるって切ないです…。゚(T^T)゚。






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