「……ふう。」



適度な湿気とじりじりと肌に刺さる日差しがきつくて、社さんに促されて簡易チェアーに座る。

そのまま「お疲れ」の言葉とともに渡された冷たいミネラルウォーターのキャップを捻り喉を潤すが、根本的な渇きは癒えない。


海外ロケに出掛けて早1週間。

時差に阻まれて、未だキョーコと電話で連絡が取れていない。


メールだけなら毎日やり取りをしているのだけど、俺が電話できる時間はキョーコが寝ている時間。

キョーコが電話できる時間は俺を気遣って電話をかけてこない。

代わりに何があったか、細かく報告をしてくれる。


(気なんて使わなくていいのに…)


そうは言っても、甘える事を得意としないキョーコ。

そしてその細やかな気配りが、彼女のいい所でもある事は自分が一番よくわかってる。


だけど…

そうは言っても、たまにはわがまま言ってほしい。


そう思いながらメールをチェックしようと携帯を握ると、微かなバイブの振動。

確認すると、そこには『着信中』『キョーコ』の名前があって、慌てて通話ボタンを押した。


『わっ…も、もしもし?』


久し振りに聞く君の声は、甘くて柔らかくて、少しくすぐったい。

嬉しさのあまり黙ってしまうと、もう一度『もしもし?』と呼びかけられた。



「ああ、ごめんね。おはようキョーコ、どうしたの?」

『え?』

「だって今日は学校の日だよね?」



そう言えば、電話の向こうに雑音が混じる。

学校からかけてる?



『えっとですね、その…敦賀さんの声が聴きたくて…』



小さく小さく、吐息に混ざって発せられた言葉は俺が一番欲しかった言葉。

どんな時でも俺を支えてくれるのは、やっぱり君の存在。


『お忙しいのはわかってますが!』とか『わがまま言ってすみません!』とか。

そんな言葉を慌てて付け足す君は、きっと今真っ赤な顔であわあわと携帯電話を右に左に持ち替えてるんだろうな。


そんな君が好きだよ。

もっともっと声を聴かせて?


「嬉しいよキョーコ。俺もすごく聴きたかった。」


海を越えて、俺のこの声も君に届けるから。



それは、気分が上がる魔法。

君の声が聴けるだけで、それだけで俺は頑張れるんだ―――





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ひー!まほうシリーズなのに最後の言葉を忘れてたYO!

慌てて書き足しましたorz

ごめんなさい><

ワガママとか言うのが得意そうにないキョーコさんは、比較的素直なまほうシリーズでもきっと甘え下手に違いない!と書いてみたり。

だけど甘えるのはヘタですが、ふとしたことで蓮さんの気持ちをかっさらう事には長けてそうですw


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これまでやられたらやめていいですか?