※この話は、夜はホステスな才女きょこたんと、同じく夜はホストの准教授蓮の組み合わせです。
完全パラレルです。

もう20話以内で収まる希望は消え失せました。
30話くらいまでには……厳しいなorz


その手の話が苦手な方はお気をつけくださいね。



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蓮の授業は特別うまいと評判だった。

本来ならば大学講師ではなく、モデルや芸能活動をしていてもおかしくないレベルにまで整った顔立ちに、190センチと言う高身長。
そして程よく筋肉の付いた体躯。

その容姿に惹かれて講義を受講する女生徒がほとんどで、本当に授業内容に興味があって受講している生徒は、果たしてどれだけいるかわからない状態。

しかし、どんな理由で講義を選択した者でも、最後には蓮がどんな授業を行っていたかきちんと答えることができると言う。

他所の大学の教授までもが聴講に来るくらいだ。


キョーコも、蓮の授業は他の先生達の授業よりもすっと面白いと思っているうちの一人だった。

蓮の話し方は聞き手の心を掴むのが上手で、人気はあるが少々マニアックで内容がさっぱりな心理学の中にあっても、非常にわかりやすく噛み砕いた内容の講義は誰の心にも残りやすい。
板書ばかりでもなく、話だけでもない。
適度なスピードの中に時折混じる、他愛もない話のネタが面白いしタメになったりする時もある。

蓮のバラエティーに富んだ知識の源は何なのか、真似ることは可能なのかと思ってしまうくらいだ。

それに……

心のどこかにすっと染みる、ただ低いだけではないバス・バリトンの声。
聞き取りやすいテンポで紡がれる言葉達。

自分が同じ単語を発してみたところで、蓮のように心地よく響く事はないだろうな…とキョーコは思う。

それが、初めて強く好意を寄せた相手だからそう思うのだと言う事は、恋を知らないキョーコにはわからない事。


最初から蓮を意識していた頭の中は、100%昨日の蓮の事でいっぱいいっぱいになっていた。


(先生って……まさかいつもあんな破廉恥なことしてるわけじゃないわよね?)

普段しっかり受講しているキョーコだが、今日だけは蓮の言葉が頭に入ってこない。
思い出されるのは昨日の蓮の不埒な行為。

(あんなの…学校ですべきコトじゃないでしょう!もうっ、破廉恥先生って呼んじゃおうかしら!?)

(何にしても………遊び人は決定ね。)

「………だから、ここは試験に出すからね?」
「「「えぇ~~っ!!そんな難しいとこ出すのぉ!?」」」


あまりにも深く思考の回路に嵌まり込んでいたキョーコは、生徒達の悲鳴に似た叫びで意識を教室に戻された。

(いけないいけない!私としたことが…集中集中!)

板書はどこまで進んだかと慌てて黒板を見た瞬間……

ふと蓮と目が合ったような気がした。

しかしそれはほんの一瞬。
蓮はざわざわと騒ぐ教室内をニコニコと見回している。

(え……?いや、気のせいよね?)


その一瞬にドキリとした自分を「自意識過剰になりすぎよ」とすぐに諌め、ノートに書き写していなかった部分に目を走らせながらすらすらと写していく。


蓮の声も再び聞こえ出し、いつも通りの授業が進んでいくと思っていたキョーコは、ふいに強い視線を感じて目線を上げた。

すると、教壇に立っていた蓮と、今度はしっかり目が合った。


(あ…………)


話をする言葉は優しい。
口角は上がっていて笑っているようにも見える。

だけど、自分を見つめる目だけは。
昨日のあの二人きりの教室で見た、異性を丸出しにした視線。

冷たいくせに、その奥に激しい炎を燃やしているかのような強い視線に、キョーコのからだはいきなりぐんと熱を帯びた。


(ぁ…やだ……っ!)


昨日の蓮の手の感覚が、急に呼び起こされる。

心臓がどくんどくんと強く打つ。
触れられてもいないのに、からだの奥から何かがじゅんと湧き出してくる感覚に戸惑う。


(うそ、こんなの……)


講義は続けながらも、蓮の目線はキョーコからずらされる事がない。

キョーコもその強い視線に絡め取られ、教壇の蓮から目線を外す事が出来ない。


勝手に上がっていくからだの熱の逃がし方が分からず、かと言って蓮の視線の強さに逸らす事も出来ず。

キョーコはついに、年内最後の蓮の授業をまともに聞く事なく終えてしまった。



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最近本誌発売前後の寝落ち率が素晴らしく、誰にも会いません(。・ω・。)
……そういうものだと諦めましょう。