やっと書けました、1周年フリーw
何て遅筆…!
でもですね、これは本格的にスキビにハマりだした頃から考えていた話でして…
(スキビ二次をまだ知らなかった頃)
なので一度その部分を読み直したかったのです。
設定としては、21巻の『無敵のローザ』『WAKE ME UP!』の間くらいでしょうか。
大晦日までDM撮影やってる設定ですね。
…って、年明けたくせにまさかの年越しネタですよ!どーん!
ホントすみません、桃に力注ぎすぎました←
と言うわけで、「今更なネタでもいいよー!」と仰ってくださる心優しき御人はどうぞお持ち帰りくださいませm(__)m
あ、先に謝ります。
蓮→キョ(しかもきょこは自覚前)なので、甘さはゼロです!←
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ COUNT DOWN ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
今年も残りわずかと言う時間。
広々とした撮影現場の片隅に突如出来上がった簡素なパーティーは、酒が入り早くもテンションの上がった人達で盛り上がる。
そんな大人達を横目に見ながら、キョーコは手に持つ紙コップ内のオレンジジュースを飲み干した。
「キョーコちゃん!オススメしてくれたこのサラダ美味しかったよ~!蓮も全部食べきってたよ♪」
壁際にいくつも並べられたパイプ椅子の一つに腰掛けていたキョーコは、アルコールが入っていないにも拘らずテンションの高い社に声を掛けられた。
手にはオードブルの中でもキョーコが一番気に入ったサラダを盛った皿がある。
「良かったです。敦賀さん、何も言わなかったらきっとお酒しか召し上がられないかと思って…」
「うんうん!今の修羅場シーンの連続で神経もそれなりに使ってるだろうしね。そう言う時のアイツって、酒は進むけど箸が進まないから困るんだよー!」
そう言って、社は肩を竦めて見せる。
確かに年末に入ってから、DMの撮影は嘉月にとって段々まずい展開のシーンが多くなっている。
美月への想いが隠せない程大きく育ってしまった嘉月の不審な態度が、操の不安を煽り、本郷家での立場を危うくさせているのだ。
美月も美月で、未緒と嘉月の話をしているところを操に見られ…美月への陰湿ないじめもますます酷くなっている。
今にっこりと笑うキョーコも、つい1時間程前までは、蓮の演じる嘉月と激しく言葉と感情をぶつけ合っていた。
「でも、こうして年越しパーティーを皆さんでできるって凄いですね!私はこういうのパーティー的なものは初めてなので、少し嬉しいです。」
「え!?キョーコちゃんカウントダウンパーティーてやったことないの?」
「はい。いつも年越しも仕事でしたから。」
「ええ!?仕事って…」
まだ先日17になったばかりの少女が年末のこの時間まで仕事と言うのも想像が付かず、社は少々素っ頓狂な声を上げてしまう。
キョーコはそれを見てくすりと笑った。
「去年はだるまやで常連さんと一緒に過ごしましたし、それまでは…お世話になってた旅館で働いてました。大晦日って皆さん起きて出かけられたりしますから、結構忙しいんですよ?」
「へえ~、そうだったんだぁ…」
「そう、なら今夜はいっぱい楽しまないとね?」
社と話していたはずの場に突然第三者の声が割り込み、キョーコは手に持っていた紙コップをそっと奪われた。
「敦賀さん?向こうで大原さん達とお話されてたんじゃ…」
「向こうの話は終わったよ?はい、これどうぞ。」
「あ、ありがとうございます…」
空になったコップをテーブルの上に置き、蓮は持ってきていた別のジュースのコップを手渡す。
そのスムーズな流れに、キョーコは受け取りながら心の中でむくれていた。
(もう、敦賀さんったら…そつがないと言うか、スマートと言うか……こう言うさりげない動きが、無駄に乙女心を攫うの、気づいてないのかしら?)
(こんな事ごときで攫われないのって、ほーんと!私くらいよねっ!)
「…最上さん?聞いてた?」
「ほへえ?」
「どうした?また何か悩み事でもあった?」
蓮に声を掛けられた事で、思考の小部屋の入り口をうろうろしていたキョーコは引き戻される。
はっと顔を上げると、蓮が隣に座り、キョーコの顔を覗き込んでいた。
「何でもないですよ?」
「ふーん…そう?何でもない様には見えなかったけど…」
「や、近い!近いですって敦賀さん…!!」
蓮が徐々に体を寄せて覗き込んでくるので、キョーコは距離を取ろうと上体を後ろに傾けるが、もともと体格差のある二人。
蓮が寄せてくる方が早い事もあって、すぐ近くに蓮の秀麗な顔が来る。
キョーコは片手で必死に蓮の肩を押し退けようとした。
「まあ、近寄ってるからねえ?」
「ここまで近寄る必要がありません!今すぐ離れてください!」
「仕方がないな、ちゃんと何考えてたか言える?」
「言います言います、言いますったら~~~っ!!」
涙目になりながら蓮に訴えると、蓮は一瞬無表情になったもののキョーコから体を離してくれた。
キョーコはホッと一息つくと、ぽつりと言葉を落とした。
「今年の私、色々あったけど幸せだったなあって、思ったんです。」
「幸せ?」
「はい…そりゃ最初は、まだバカショーに良い様に扱われるバカ女でしたけど。でも、あれから色んな人に出会って、色んな事があって。今こうして新年を皆さんと一緒に迎える事が出来るのは、実は凄い事なんじゃないかと思えまして。」
「………」
キョーコは、最初の言葉こそ当時の事を思い出したのか鬼の形相をしかけたが、その後に出会えた人達の顔を思い浮かべたのかすぐ穏やかな表情になる。
そんなキョーコの横顔を、蓮は黙って見つめて話を聞いていた。
「って、うまく言えないんですけどね?この間のグレイトフルパーティーでも皆さんにお祝いしていただけて、すごく嬉しかったですし!本当に、皆さんに出会えた事に感謝してもしきれないんです。」
「俺に会えた事は?」
「は?」
「俺に会えた事は、最上さんにとって感謝する事だったかな?」
それまで静かに自分の話を聞いてくれていた蓮の突然の質問に、キョーコは一瞬間を置いてしまったが、頭がその質問の意味を理解した途端、握り拳を力強くぎゅっと握りこんで目一杯叫んだ。
「勿論ですよ!!敦賀さんは私にとって誰よりも尊敬できる大先輩なんです!生きた教本なんです!むしろ神にも等しいんです!感謝してるに決まってるじゃないですかっ!!」
「神って…俺、人間なんだけど…」
ぽりぽりと頬をかきながら、蓮は苦笑する。
「敦賀さんこそ、私の事最初はお嫌いでしたよね?私みたいな手のかかる後輩なんて…って思われてるんじゃないですか?」
キョーコは蓮を軽く睨みながら、ぷくぅと頬を膨らませる。
そう、事務所の廊下で対面した時、二人の印象は最悪だった。
「はは、まああの時は仕方ないよね…でも最上さんに出会えた事は感謝しているよ?本当に、君に出会えて良かったと思ってる。心の底から、ね…?」
そう言ってほわりと優しく微笑む蓮の姿に、キョーコは思わずどきりとした。
体の中を流れる血がさあっと熱を隅々まで運んで、胸が苦しくて―――息もできない。
その笑顔を向けてもらえることが無性に嬉しくてどうしようもなくて。
この感情には覚えがある。
だけどそれは、こんなに苦しくなることがなくて―――
「おーい!二人とも、そろそろカウントダウン始まるよー!」
蓮に何も言葉を返せずただ押し黙ってしまっていると、いつの間にか二人の元から離れていた社が戻ってきた。
「皆で一緒に乾杯しようってさ!」
気が付くと、社の後ろからスタッフも役者もぞろぞろと集まってきている。
「…だってさ、行こうか?」
「そうですね。」
先輩より後に立つのも…!と慌てて席を立ち、蓮より先に社の元へと歩み寄る。
後ろから蓮がくすりと息を漏らす音が聞こえ、キョーコの耳は熱くなった。
(…これは、似てるけど違う。そう、私はまだ大丈夫。…恋なんてしていないから……)
「じゃあカウントダウン始めるよー!」
「「じゅーう!きゅうー!はーち!………」」
隣に立つ蓮の顔を眺めながら、キョーコはそっと溜息を洩らした。
(あなたにだって、こいなんて…わたしはしないんだから………)
それは新しい年へのカウントダウンか、それともキョーコの心の鍵が開くそれか。
今は誰にもわからない。
************
あああ、やっぱり甘さがない…!
しかもファンブックにあった色鉛筆ネタ欲しかったのに文字数の都合で削るとかorz
需要は皆無ですが、そっとこっそり上げておきます←チキンな奴
何て遅筆…!
でもですね、これは本格的にスキビにハマりだした頃から考えていた話でして…
(スキビ二次をまだ知らなかった頃)
なので一度その部分を読み直したかったのです。
設定としては、21巻の『無敵のローザ』『WAKE ME UP!』の間くらいでしょうか。
大晦日までDM撮影やってる設定ですね。
…って、年明けたくせにまさかの年越しネタですよ!どーん!
ホントすみません、桃に力注ぎすぎました←
と言うわけで、「今更なネタでもいいよー!」と仰ってくださる心優しき御人はどうぞお持ち帰りくださいませm(__)m
あ、先に謝ります。
蓮→キョ(しかもきょこは自覚前)なので、甘さはゼロです!←
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ COUNT DOWN ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
今年も残りわずかと言う時間。
広々とした撮影現場の片隅に突如出来上がった簡素なパーティーは、酒が入り早くもテンションの上がった人達で盛り上がる。
そんな大人達を横目に見ながら、キョーコは手に持つ紙コップ内のオレンジジュースを飲み干した。
「キョーコちゃん!オススメしてくれたこのサラダ美味しかったよ~!蓮も全部食べきってたよ♪」
壁際にいくつも並べられたパイプ椅子の一つに腰掛けていたキョーコは、アルコールが入っていないにも拘らずテンションの高い社に声を掛けられた。
手にはオードブルの中でもキョーコが一番気に入ったサラダを盛った皿がある。
「良かったです。敦賀さん、何も言わなかったらきっとお酒しか召し上がられないかと思って…」
「うんうん!今の修羅場シーンの連続で神経もそれなりに使ってるだろうしね。そう言う時のアイツって、酒は進むけど箸が進まないから困るんだよー!」
そう言って、社は肩を竦めて見せる。
確かに年末に入ってから、DMの撮影は嘉月にとって段々まずい展開のシーンが多くなっている。
美月への想いが隠せない程大きく育ってしまった嘉月の不審な態度が、操の不安を煽り、本郷家での立場を危うくさせているのだ。
美月も美月で、未緒と嘉月の話をしているところを操に見られ…美月への陰湿ないじめもますます酷くなっている。
今にっこりと笑うキョーコも、つい1時間程前までは、蓮の演じる嘉月と激しく言葉と感情をぶつけ合っていた。
「でも、こうして年越しパーティーを皆さんでできるって凄いですね!私はこういうのパーティー的なものは初めてなので、少し嬉しいです。」
「え!?キョーコちゃんカウントダウンパーティーてやったことないの?」
「はい。いつも年越しも仕事でしたから。」
「ええ!?仕事って…」
まだ先日17になったばかりの少女が年末のこの時間まで仕事と言うのも想像が付かず、社は少々素っ頓狂な声を上げてしまう。
キョーコはそれを見てくすりと笑った。
「去年はだるまやで常連さんと一緒に過ごしましたし、それまでは…お世話になってた旅館で働いてました。大晦日って皆さん起きて出かけられたりしますから、結構忙しいんですよ?」
「へえ~、そうだったんだぁ…」
「そう、なら今夜はいっぱい楽しまないとね?」
社と話していたはずの場に突然第三者の声が割り込み、キョーコは手に持っていた紙コップをそっと奪われた。
「敦賀さん?向こうで大原さん達とお話されてたんじゃ…」
「向こうの話は終わったよ?はい、これどうぞ。」
「あ、ありがとうございます…」
空になったコップをテーブルの上に置き、蓮は持ってきていた別のジュースのコップを手渡す。
そのスムーズな流れに、キョーコは受け取りながら心の中でむくれていた。
(もう、敦賀さんったら…そつがないと言うか、スマートと言うか……こう言うさりげない動きが、無駄に乙女心を攫うの、気づいてないのかしら?)
(こんな事ごときで攫われないのって、ほーんと!私くらいよねっ!)
「…最上さん?聞いてた?」
「ほへえ?」
「どうした?また何か悩み事でもあった?」
蓮に声を掛けられた事で、思考の小部屋の入り口をうろうろしていたキョーコは引き戻される。
はっと顔を上げると、蓮が隣に座り、キョーコの顔を覗き込んでいた。
「何でもないですよ?」
「ふーん…そう?何でもない様には見えなかったけど…」
「や、近い!近いですって敦賀さん…!!」
蓮が徐々に体を寄せて覗き込んでくるので、キョーコは距離を取ろうと上体を後ろに傾けるが、もともと体格差のある二人。
蓮が寄せてくる方が早い事もあって、すぐ近くに蓮の秀麗な顔が来る。
キョーコは片手で必死に蓮の肩を押し退けようとした。
「まあ、近寄ってるからねえ?」
「ここまで近寄る必要がありません!今すぐ離れてください!」
「仕方がないな、ちゃんと何考えてたか言える?」
「言います言います、言いますったら~~~っ!!」
涙目になりながら蓮に訴えると、蓮は一瞬無表情になったもののキョーコから体を離してくれた。
キョーコはホッと一息つくと、ぽつりと言葉を落とした。
「今年の私、色々あったけど幸せだったなあって、思ったんです。」
「幸せ?」
「はい…そりゃ最初は、まだバカショーに良い様に扱われるバカ女でしたけど。でも、あれから色んな人に出会って、色んな事があって。今こうして新年を皆さんと一緒に迎える事が出来るのは、実は凄い事なんじゃないかと思えまして。」
「………」
キョーコは、最初の言葉こそ当時の事を思い出したのか鬼の形相をしかけたが、その後に出会えた人達の顔を思い浮かべたのかすぐ穏やかな表情になる。
そんなキョーコの横顔を、蓮は黙って見つめて話を聞いていた。
「って、うまく言えないんですけどね?この間のグレイトフルパーティーでも皆さんにお祝いしていただけて、すごく嬉しかったですし!本当に、皆さんに出会えた事に感謝してもしきれないんです。」
「俺に会えた事は?」
「は?」
「俺に会えた事は、最上さんにとって感謝する事だったかな?」
それまで静かに自分の話を聞いてくれていた蓮の突然の質問に、キョーコは一瞬間を置いてしまったが、頭がその質問の意味を理解した途端、握り拳を力強くぎゅっと握りこんで目一杯叫んだ。
「勿論ですよ!!敦賀さんは私にとって誰よりも尊敬できる大先輩なんです!生きた教本なんです!むしろ神にも等しいんです!感謝してるに決まってるじゃないですかっ!!」
「神って…俺、人間なんだけど…」
ぽりぽりと頬をかきながら、蓮は苦笑する。
「敦賀さんこそ、私の事最初はお嫌いでしたよね?私みたいな手のかかる後輩なんて…って思われてるんじゃないですか?」
キョーコは蓮を軽く睨みながら、ぷくぅと頬を膨らませる。
そう、事務所の廊下で対面した時、二人の印象は最悪だった。
「はは、まああの時は仕方ないよね…でも最上さんに出会えた事は感謝しているよ?本当に、君に出会えて良かったと思ってる。心の底から、ね…?」
そう言ってほわりと優しく微笑む蓮の姿に、キョーコは思わずどきりとした。
体の中を流れる血がさあっと熱を隅々まで運んで、胸が苦しくて―――息もできない。
その笑顔を向けてもらえることが無性に嬉しくてどうしようもなくて。
この感情には覚えがある。
だけどそれは、こんなに苦しくなることがなくて―――
「おーい!二人とも、そろそろカウントダウン始まるよー!」
蓮に何も言葉を返せずただ押し黙ってしまっていると、いつの間にか二人の元から離れていた社が戻ってきた。
「皆で一緒に乾杯しようってさ!」
気が付くと、社の後ろからスタッフも役者もぞろぞろと集まってきている。
「…だってさ、行こうか?」
「そうですね。」
先輩より後に立つのも…!と慌てて席を立ち、蓮より先に社の元へと歩み寄る。
後ろから蓮がくすりと息を漏らす音が聞こえ、キョーコの耳は熱くなった。
(…これは、似てるけど違う。そう、私はまだ大丈夫。…恋なんてしていないから……)
「じゃあカウントダウン始めるよー!」
「「じゅーう!きゅうー!はーち!………」」
隣に立つ蓮の顔を眺めながら、キョーコはそっと溜息を洩らした。
(あなたにだって、こいなんて…わたしはしないんだから………)
それは新しい年へのカウントダウンか、それともキョーコの心の鍵が開くそれか。
今は誰にもわからない。
************
あああ、やっぱり甘さがない…!
しかもファンブックにあった色鉛筆ネタ欲しかったのに文字数の都合で削るとかorz
需要は皆無ですが、そっとこっそり上げておきます←チキンな奴