こちら、ずっと前にチカさんから頂いたリク『子供にメロメロな蓮様が、幼稚園戦争に参戦する姿を見たい!』を形にしたシリーズです。

幼稚園戦争…まだまだ全然先の話になってますが、のんびり亀更新にお付き合いいただければと思います。

週1で更新していきたいと思ってます。(て、今週日曜更新できなかったけど;)





゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆My Sweet Home*Page7『一心同体』゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆








さっきまでの『死んでしまうんじゃないか』という程の痛みは、今は破水による興奮状態のせいか間隔が長くなったように感じる。

キョーコはクリアになった頭で分娩台に上がって、慌てて分娩準備を進める助産師や看護師を眺めていた。

(ああ…ついに愛子に会うことが出来るのね)


胸がいっぱいになったところで、また激痛の波が来た。
数分おきに押し寄せる陣痛の波が、またキョーコの体に余計な力を入れさせる。

エプロンを着けた医師がそれに気がつき、キョーコのお腹の張り具合等を確認しながら優しく声を掛けた。

「もうすぐで赤ちゃんに会えますからね、最後まで頑張りましょうね。」
「は、はいっ!」
「そうだなぁ…次の(陣痛の)波が来たら、いきんでみましょうか?」
「はい…っ」


いよいよ会える。


我が子へのその膨らむ気持ちが、痛みに負けない強さをキョーコに与える。

いつの間にか分娩準備が終わり、立ち会いを希望していた蓮が部屋へと連れてこられていた。
台の上に座ったキョーコの頭の隣に、蓮の大きな体が寄り添う。

「キョーコ!大丈夫かい!?」
「え…?蓮、間に合ったの?」
「うん、NGもなかったから予定より早く終わったんだ。」

胸の上で組まれていたキョーコの手を、蓮がそっと引き寄せて包み込んだ。

『予定』では、26時まで撮影のあるはずだった蓮。
今の現場は、よくNGを出すことでも知られている俳優が一緒だ。

2時間近くも巻きで終われたと言うことは、やはり現場にブリザードでも起こして巻いたのかしら……


(でも少しうれしい…)


自分の為に職場を戦々恐々とさせる蓮に少し呆れつつも、キョーコは安堵の息を漏らした。


初めての出産、やはりほんの少しの不安が付き纏う。
痛みとの戦いは自分との戦い。
生まれてくる我が子を思えば頑張れるけど、陣痛室の窓を見ながら、毎日お腹に話しかけてくれた蓮の顔を見たくなっていた。

今見れたらいいのに…と、痛みで目の前が霞んだ瞬間に思ったのだ。


(新しい命の生まれる瞬間を、二人で迎えてあげられるのね)


蓮に握られた手が少し冷たくて、蓮の方が緊張しているようにも感じられる。
ふふっと笑ったキョーコの体から力が抜けた時、次の痛みの波が来た。

「んっ、うううー……っ!!」

お腹を覗き込むように頭から背中を丸め、お腹に力を入れる。

繋いだ蓮の手にも、自然と力が入る。
すると、蓮も強く握り返してくれた。

「おお、お母さん上手ですよー!その調子ですよ!」
「赤ちゃんも頑張ってるからねー!」

息が続かなくなって力を抜いたキョーコは、足元から聞こえる励ましに『ほんとにじょうず…?』と意識朦朧とするが、すぐに次の波が来て、何かを考える前に再び体勢を整える。

「んんんーー………っっ!!!」
「上手上手!お母さん、息継ぎしたらすぐまた力入れて!赤ちゃんすぐそこだよ!」
「はい、お父さんは息してね!!」

(へっ!?)

余計なことに気を持っていかれている場合じゃない。

そうはわかっているけれど、キョーコは看護師の言葉に思わず蓮を見てしまった。

そこには、キョーコと同じタイミングで息を止めて、秀麗な顔を歪める必死な形相の蓮がいた。


「っっっ……ぷっ」

ダメだとわかっていながらも、体の力が抜けてしまう。

「ああっ!もう少しだから頑張ってお母さんっ!」
「ごっ、ごめんなさい~~!蓮ったら、面白すぎるから息はしてちょうだい…」
「え、だってキョーコだけが苦しい思いするのも…」
「お父さんはお母さんの手を握ってあげて、支えになってあげてればいいの!」
「は、はい…」


ベテラン看護師長に一喝されてしゅんとなる蓮に、キョーコは不思議なくらいほわんと愛しさを感じた。


(うん…あなたはいてくれるだけで、十分私の支えよ)

息を一緒に止めてくれなくても、あなたと私はすでに一心同体だから…


ふふ、と自然にこぼれる笑顔。
キョーコはすぐに来た次の陣痛の波で、持てる力を精一杯出した。


「・・・・・・ふえええっ!!」
「キョーコ…!生まれたよ!」
「おめでとうございます~!元気な女の子ですね。」

すぐに泣き出した赤ちゃんは、まずは体温を下げない為の簡単な処置が施され、キョーコの胸の上に置かれた。

生まれて来たばかりの娘は、本当に小さくてまだしわしわで。
だけど薄く開いた眼はまだ何も見えないはずなのに、キョーコを必死で探しているように見えた。
その小さな小さな手は、ほよほよと宙を掴む。

その姿に、キョーコの胸は愛おしさでいっぱいになった。

「生まれてきてくれてありがとう、愛子……」
「愛子…初めまして。やっと会えたね。」


宙を掴む愛子の手に、蓮がそっと人差し指を差し出す。
すると、愛子はきゅ、と蓮の指を掴んだ。

「キョーコ、ありがとう。こんなに可愛い子を産んでくれて。」
「蓮、これからは二人でこの子を守っていきましょうね?」

大事な家族が増えた喜びに涙が溢れてくる。
キョーコが涙を流しながらもにっこりと笑いかけると、蓮は少し困った顔をしながら笑った。


「ううーん、それは困ったなぁ。俺は愛子もキョーコも守りたいよ。
だからお願い。二人とも守らせて?今まで以上に俺、頑張るから。ね…?」





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すみません…!
日曜更新落した上に、この時間の更新かー!
もう何突っ込まれても仕方ない…orz

今回は男性や未婚の女性には読み辛い話かな…(汗)
ごめんなさいです。
でもSweetHomeシリーズの蓮様はキョーコにメロメロだから、きっと息止めちゃうと思ったんだよね…
どうしても書きたかった、する必要のない場面でキョーコと同じことする蓮様w
そしてきょこたんに言わせたかった、『あなたと私はもう一心同体』(´ψψ`)

ちなみにうちの旦那も息止めた派です。
でもうちは(どちらかと言えば)お笑い体質の夫婦なので、助産師さんに「パパは息しなさい!」って怒られてるの見て「何やってるの」と突っ込みましたw
案外生むときは冷静。


※ちょっと文章おかしかったので、夜中直しました。
ごめんなさいです……