こちら、ずっと前にチカさんから頂いたリク『子供にメロメロな蓮様が、幼稚園戦争に参戦する姿を見たい!』を形にしたシリーズです。

幼稚園戦争…まだまだ全然先の話になってますが、のんびり亀更新にお付き合いいただければと思います。

週1で更新していきたいと思ってます。




゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆My Sweet Home*Page4『彼のひみつ?』゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆





「でも、結婚して間を置かずの妊娠だなんて…早すぎるって言われないかしら?」


妊娠報告会の前、キョーコが心配して漏らした言葉は杞憂に終わった。


顔も性格も演技も全て含め『芸能界1いい男』の呼び声高い『敦賀蓮』と、近年『お嫁さんにしたい(熟年層から見れば嫁に欲しい)女性タレント』の上位にランキングされる『京子』。

結婚が明らかになった時も祝福ムードにわいた、どの年齢層からも好感度の高いこの二人。
そんな大物カップルのおめでたは、世間から温かく歓迎された。


「ね?みんなに愛されている君の子なんだから、心配いらないって言ったでしょ?」

ほっと笑みを浮かべ、ようやく体の緊張をとくキョーコの頬に、蓮はそっとキスを落とす。


新婚で赤ちゃんも授かり、誰もが羨む幸せ絶頂期の二人。

まさに理想の夫婦像で、彼らに不満を持つような人間などいないであろう。

それが世間の見方だった―――





「おお、よく来てくれた。悪阻は大丈夫かい?」
「はい。今日は調子がいいんです。」

その日、キョーコは珍しくローリィに呼び出された。

広々とした社長専用の応接室、そのど真ん中に設置されたソファーにどっかり腰掛けるのは、アラビアンな格好をしたローリィだ。
きらびやかな装飾品が照明を浴びて輝くと、白いシンプルな装束がますます眩しく感じる。

キョーコは執事にソファーへと促されると、軽くお辞儀をひとつしてから腰を下ろした。
ふかふかのソファーは、キョーコの腰を柔らかく受け止める。

「最近は蓮…さんが色々と気を使って家事をお手伝いしてくれるので、比較的体調も楽なんです。」

妊娠初期でまだ膨らむ兆しのないお腹を優しく撫でながら、キョーコは柔らかく微笑む。

その笑顔は慈愛に溢れていて…
既に立派な母親の顔になっていた。

そんなキョーコに釣られて柔らかい笑みを浮かべたローリィだが、ふむ、と口元を引き締めるとずっと控えていた褐色の執事に、書類の束を持ってこさせた。

「?社長さん、これは…?」
「うむ、蓮が関係する現場各所からの嘆願書だよ。」
「は?たんがん……」

『なぜ蓮の現場から嘆願書?』と、キョーコの頭には疑問符がたくさん飛ぶ。
ローリィはそんなキョーコを見ながら一番上にあった束を手に取る。

「あいつ、最近やけに早く家に帰ると思わなかったか?」
「え?ええ…いつも『巻きで終われた』とか『予定変更になった』とか言っていましたが…?」
「それがな?どうやら蓮が共演者やスタッフ威圧して、早く終わらせられるように急かしてるらしい。」
「……は?」
「一番苦労させられてるのは社みたいなんだがな。それで、自然と各所で署名やら何やら運動が起こった結果がこれだ。」

(……もしかして、これ全部!?)

キョーコは今見ているものが信じられなかった。

それもそうだろう。
分厚い束にまとめられた嘆願書は、応接セットのローテーブルに何冊も置かれているのだ。
それが全て、自分の夫に関するものだと言う。

そろりと手を伸ばし、一番上にある冊子を膝に持ってきて、その上で開く。
すると内容は現在ドラマで共演している俳優からのもので……
蓮のキョーコ自慢が止まらなくて困ってるとか、NG出してしまった時のプレッシャーのかけられ方が酷くて胃潰瘍になりそうだとか……

1ページ丸々使って書かれた自分の自慢話を読んだだけで、キョーコはくらりと目眩を起こしそうになった。

(何してるの蓮ったら……!!)

と、ちょうどそこへ蓮が応接室へ通された。

「ああ、キョーコ!今夜は具合は大丈夫なのかい?昨日の夜は少し悪かっただろう?今夜もゆっくり休んだ方がいいよ。俺が家事はやっておくから。
ああ、社長こんばんは。キョーコは妊娠初期で大事な体なんですよ?用事があるならうちに出向いてくださいませんか?」

現れた途端、あれこれと口を出す蓮。
キョーコに優しく手を差し伸べ…と言うほど優雅な仕草はなく、手を取り立たせ、さっさと部屋から出て行こうとする。

「蓮…ちょっと待って。」
「ん?どうしたキョーコ?何かあった?」

先程読んだ嘆願書の一部の恥ずかしすぎる内容もあって、キョーコの声は固い。
蓮は、そんなキョーコに『具合が悪くなったのだろうか』と、軽く声を掛けた。

「『何かあった?』って…最近現場でお世話になってる皆さんに、色々と気を使わせたりプレッシャーかけてるってどういう事なの!?」
「ああー。だって、キョーコとお腹の子は一番大事なんだよ?こういう職業柄、育児休暇とか通院の付き添いとかできないけれど、せめて家にいる間はゆっくり休めるようにしてあげたいじゃないか。…もしかして迷惑だった?」

またも蓮お得意の必殺技、『わんこモードで甘える』が発動するが、顔から火が出そうな程真っ赤になったキョーコには珍しく効果がない。

「迷惑だなんて事はないけどっ!でも周りの人に迷惑かけるのはダメ!!」
「………でも、キョーコ自慢はしたいし、早く帰れそうな日は帰りたいよ?」
「限度がありますっ、限度が!!」

バサッと突き付けられた嘆願書の数ページをパラパラと捲った蓮は、更に背中に背負うわんこの数を増やして応戦。
……も、はずかしさから本気で怒ったキョーコには意味がなく。

夫婦喧嘩と呼ぶには一方的な、まるでいたずらした子を叱るようなキョーコのお説教は、暫く社長専用特別フロアーに響いた。


その後、出演者にプレッシャーを掛けることはなくなった蓮だが、キョーコ自慢は更に酷くなったとか。


………キョーコ的には、そちらの方が恥ずかしいからやめて欲しいのにね。

だけどそれは、世間の皆様には見えない部分でのお話。

『敦賀蓮』が愛妻過ぎて時々クレームがつくだなんて、誰も予想できない事。





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すみません、読書に勤しみすぎて深夜更新落としましたorz
ので珍しい時間に更新←て言うほどでもない


嫁自慢が尽きない蓮さま。
悪阻の愛妻の為に、きっと現場を恐怖のどん底に落として巻きで進めるに違いない!wとか想像。
そして嘆願書作成→きょこに怒られちゃうはず(´ψψ`)

でもきっとこれ、子供生まれた後も度々やると思うのよねー。
愛しい妻子のもとへ早く帰りたくてプレッシャーの嵐www
あ、このお話は呆れるくらいキョーコ命な蓮さまが主人公ですからね?
メロメロ過ぎてますからね?こういう事も起こるのです(。・ω・。)