モー子さんと会ってから2日が経った。
今日は大晦日だ。

私は敦賀さんのお部屋に遊びに来ていた。

「……よしっ、これでおせちの準備もオッケーね!」

今夜はあまり遅くない仕事内容だったけど、明日は二人とも朝から生放送が入っている。
明け方には集合時間が来てしまうため、今夜は一緒に年越しカウントダウンをして解散な予定だ。

明日の生放送が終われば、僅かな休みを経てまた忙しい毎日に戻る敦賀さん。
そんな敦賀さんのために料理のストックは冷凍庫に詰めたし、お蕎麦もあとは湯がくだけ。

あとは渡しそびれてたクリスマスプレゼントなんだけど……
問題はこれよね。

(~~っあぁ!どんな顔して渡せばいいのよこんな物~~っ!!)

あまりの恥ずかしさに、床をごろごろと転がり回る。
こんな物プレゼントするのが今は当たり前なのー!?
奥ゆかしい大和撫子って、もう絶滅しちゃったのー!?

「……キョーコ?なにやってるの?」
「きゃあぁっ!?おっ、お帰りなさい敦賀さん!!」

悶えまくっていると、背後から急に声をかけられて、心臓が口から飛び出しちゃうかと思うくらいビックリした。
背を向けたまま、バクバクする胸を押さえて挨拶をする。

だってそうでしょ?
こんなごろごろしてるトコ見られたのも恥ずかしいけど…
最後に会ったのは、腰が立たなくて身の回りのことを全てやってもらったあの日なのよ!?

今日お家に遊びに行く約束だって、モー子さんが短くぱっと電話で伝えてくれただけで終わってたのよ!?

どんな顔して話せばいいのーーっ!?

「ただいま。………えっと、その」
「あぁっ!じゃぁこのままお蕎麦茹でる準備しますから、シャワー浴びてきてください!」

結局どんな顔したらいいかわからなくて、敦賀さんの言葉を遮ってシャワーをすすめると、慌ててキッチンへと逃げ込んだ。

(ううぅ~~~っ!でもでも、逃げ回ってるわけにもいかないものね…)
「でも、今更って言うか、物が物なだけにタイミングが大事って言うか……」

沸かしたお湯に麺を投入しながら、ぶつぶつと独り言を続けていく。

だって、落ち着かなくて…

敦賀さんのことは好きなんだけど、すっごく好きなんだけど!
だからと言って、敦賀さんのスピードには付いていけないんだもの…

「こっちはまだまだ恋愛初心者なんだから…経験値ゼロなんだから、手加減くらいしてほしいわ…っ」

茹で上がったお蕎麦をざるに上げ、軽く流水ですすぐ。
そして汁の鍋に入れたところで、背後から伸びてきた逞しい腕に捕まった。

「…この間はごめんね?」

息が苦しくなるくらいぎゅうぎゅうと抱き付かれる。
旋毛にかかる息がくすぐったい。

「もうあんな抱き方はしないから…だから、音信不通にはならないでくれる?」
「…本当に?」
「うん。だから許して…?」

………あぁ!背後から『きゅぅーん』と鳴いてるわんこの気配がする!
確か前にもこんな状況、あった気がするんだけど…

でも結局私は、このわんこモードの敦賀さんに弱いのよね。

「…はぁ、わかりました。絶対に絶対ですからね?お約束してくださいよ?」
「うん、ありがとうキョーコ。」

ため息を一つ吐き、『絶対』を強調してお約束を取り付ける。
敦賀さんは声だけ聞いてもわかるくらい、嬉しそうに返事をしてくれた。



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やっと戻ってきた通常公開。
……でも次はやっぱ限定なのー←まだ書けてないから予定だけど

あ、明日(ってもう今日だけど)は久し振りに夢の国へGOなのだ♪
まぁちびっこ引き連れてちゃ、出来ることは限られますけどね。
でもあの空気が好きだー!