淡く色付いた小さな恋の花。
次はどんな風に色付くのだろうか―――
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ 君はパステルラバー゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
「はぁーっ!全く、10月から衣替えとか決めた奴は誰なんだ!?そいつ、まじシバく…!」
「無理無理。もうとっくに死んでんじゃないの?だって制服って、相当昔からあるはずだもんね。蓮だってそう思うだろ?」
「あはは……」
9月は本当に残暑が厳しくて、サマーベストすら着用できなかった。
10月に入り、ここ数日でやっと過ごしやすくなっては来ているが、それも朝晩だけの話。
部活帰りの俺たちにとって、この空気はまだまだ気持ちよく過ごせるものではなかった。
高く澄んだ夕方の空のもと、大きく叫んだのはクラスメイトの貴島。
学ランの上着を振り回しながらの雄叫びは、若干わからなくもない。
詰襟と言うのは、首もとが何だかかっちりかっちりし過ぎてて、どうにも落ち着かないのだ。
俺もワイシャツ一枚、ボタンを3つ外してラフなスタイルに。
一緒に歩く社も、上着は着ずに鞄に掛けている。
「あれ?蓮の所はまた今週からご両親とも海外に行くんだっけ?」
「あぁ、そうだよ。土曜日から行く予定になってる。」
夏の間、デザイナーショーの為に海外に出掛けていたうちの親達は、また週末から海外へと渡る。
今時高校生の息子にこんな過保護な家もないだろうと思えるくらいに、うちの両親は俺に甘く、そして愛情が激しく重い。
日本に帰ってきてる時には、その重量級の愛で過干渉を受けるのだ。
過保護すぎると息子はグレるタイミングを失うのだと言うことを、俺は現在進行形で身をもって体験中だ。
グレる事も出来ないのはなかなかキツいが、いない時には比較的好き勝手にさせてもらってるから、とりあえず不良への道は走らずに済んでいるのが現状というわけ。
(いや、実は走りかけた事もあるのだか…その時はリックに随分助けてもらった。)
「おっ、じゃあまた週末ピンク札借りてきて鑑賞会する?」
数歩先を歩いていた貴島がパッと振り返り、ニヤリと笑う。
「いや…今週は来客があるから次の週末にして。」
「えぇーっ!?来週だと連休かかるじゃないか。うち外泊難しくなっちまうよ。」
来週だと都合が悪くなるのか、ブーブー文句をいい始めた貴島を見て、社はぽそっと呟いた。
「どうせ来客ってキョーコちゃんだろう?邪魔しないでやれよ…」
「えっ!?まじ、キョーコちゃんなの?」
「………さあ。」
面倒そうだったから貴島には言わずにいたのに、社はさらりと彼女の名前を口にしてしまった。
彼女に惚れていた貴島がそう簡単にこの話題から引くことはない。
面倒だとため息混じりに返事をした。
「なぁ、最近全然キョーコちゃんに会ってないんだけどさぁ。キョーコちゃん元気なの?」
「俺だって会うのは久し振りなんだよ。」
彼女の大学は、入学時に基礎ゼミが用意されている。
(俺にはよくわからなかったけど、高校で言うクラスみたいなものなのかな?)
9月に入ってからはその基礎ゼミの合宿、サークルの合宿、それとバイトで彼女のスケジュールはもとから埋まっていたのだ。
8月の最後に付き合い出した俺は、もともと詰まっている彼女の予定に入り込む事が出来なかった。
結果、最後に会ったのが2週間前と言う事態に陥っている。
会いたくて、でも会えない。
自分より広い世界を見ている年上の彼女。
やっと捕まえることのできた最上さんとの時間は、誰にも邪魔されたくなかった。
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久し振りに青臭いティーンエイジャーな蓮くんですw
年下くんの憂鬱ってヤツですかね?
あ、ピンク札はアレなDVDの事ですww
昔某レンタルショップ店で働いていた後輩がそう言っていたので、そのまま使いました。
…今でもそう呼ぶのかなぁ?
結構面白いタイトルや女優さんの名前が多いとかwww
どーでもいい情報は覚えてるなぁ、私…