うっかり後編…
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
『それが恋の前兆さ』
いつだっただろうか。
鶏の格好をした自分が敦賀さんに放った言葉が、頭の中でこだまする。
*
「ねぇ…最上さん。俺も最近ね、似たような症状が出てるんだ。」
ずっと雲に邪魔されていた日光が、再び地面を照らし始めた。
おかげで、目の前のガラス面に敦賀さんの顔が写りこむ。
…思った通り。
目深に被った帽子の下からは、神々スマイルが私に向けられていた。
ガラス越しにかち合う目線に、勝手に胸が熱くなっていく。
―――もしかして。…もしかして。
自惚れバカ女にはなりたくないんだけど。
その笑みを向けてもらえてるってことは…
その症状は、私に対して出てるんですか…?
「………そ、れは…たいへんですね…」
カラカラの喉ではまともな声が出なくて、擦れた声になってしまった。
慌ててこくんとつばを飲み込む。
「誰に?って聞いてくれないの?」
「だって、言いたくない場合だってあるじゃないですか…」
「最上さんだけには聞いて欲しいかな?」
何だか変な言葉のやり取り。
だけど自惚れて勘違いして、それで膨らんだ期待を凹まされるのなんてまっぴらごめんだわ。
黙っていると、そっと敦賀さんの口が耳に寄せられる。
かかる息がくすぐったい。
「……最上さんだけだよ。こんなにドキドキするの…」
「…っ」
決定打を打たれて、ひゅうっと空気を吸い込んで呼吸が止まった。
体がカッと一気に熱を持つ。
そんな事言われたら…もう認めるしかないじゃないですか。
自分のこの気持ちも、この熱も。
貴方のその気持ちも言葉も全部。
貴方はいつもそうやって、人が何重にもかけた心のカギを吹き飛ばしていくんだから…!
「それ…本当ですか。」
「本当だよ?嘘言ってどうするの。」
「本当に本当ですか?」
「本当だよ。」
「本当に…?」
「うん、最上さんが好きだよ……」
抱き締める腕に、よりいっそうぎゅうっと力が籠るのを感じた。
からだが今までにないくらいぴっとりくっつくことで、敦賀さんの心臓の音が分かるようになる。
〈どくん、どくん、どくん………〉
私と同じくらい、大きくて速い音。
私と、同じ気持ち…
同じリズムを刻む鼓動に、何故かドキドキが止まらないのにホッとする。
「わたしも、好き……かもしれないです。」
「うん、それは最上さんなりの『好き』って事だよね。ありがとう。」
旋毛にふにんと柔らかい感触が降りてきた。
これって、敦賀さんの……
(くくくくくちび……!!)
「ねぇ、あそこの男の人帽子被ってるけどかっこ良さそうじゃない?」
「ってか、敦賀蓮に似てない?」
「うっそ!女の方誰!?」
その時、遠くから女の子達の声が聞こえてきた。
ハッと気がつくと、周りに人が集まり出している。
…敦賀さんがバレちゃう!!
(つっ、敦賀さんダメです!バレますよーーっ!!って、バレたら私の命が終わる…っ!)
バレてしまった後の、阿鼻叫喚の地獄絵図を思わず想像し、一気に冷や汗が出てきてしまう。
敦賀さんは女の子達の声が聞こえたのか、それとも私があわあわしだしたのに気が付いたのか、急に体を離すと手を引っ張ってぐいぐいと歩道を突き進んでいく。
どこへ行くのかと思ったら、ふたつ先の人通りの少ない道に敦賀さんの車が停まっていた。
(あ…そうよね、車で移動してるわよね。)
さりげなく助手席側の扉を開け、エスコートされるままに車へと滑り込む。
扉を閉めた敦賀さんはすぐには乗り込まず、一本だけ短い電話をかけてから乗り込んできた。
「社さんにお願いして、この後の予定ずらしてもらった。」
「……は!?何をおっしゃってるんですか?お仕事に穴開けんですか!?」
「やだなぁ、穴なんて開けないよ。ただせっかく想いが通じたのに、このままお別れなんてイヤでしょ?だからちょっとだけ…ね?」
『ね?』と言いつつ首を少し傾げる敦賀さん。
にっこり無邪気に笑うその表情がちょっと可愛らしいかも…とか、うっかり思っちゃったんですけどー!!
「~~~っ!もぅ、ちょっとだけですよ…お仕事ちゃんとしない人は嫌いですからね?」
『可愛い』なんて思っちゃったのが悔しくて、ぷくぅっと頬を膨らませて顔をそらす。
「勿論、ちゃんとお仕事はしますよ?でも今はまず最上さんとドライブね?」
クスクス笑いながらキーに手をかける敦賀さん。
「あ……忘れてた。」
「え、何をですか?」
そのままをエンジンをかけるかと思ったら突然の『忘れた』の一言に、膨らました頬を戻し、敦賀さんの方に顔を向ける。
すると、ちゅっと唇に柔らかい何かが当たり、ハッと焦点を合わせると敦賀さんの顔がすぐそばにあった。
「…………○▲×◇※&☆◎〒♯!?」
「うん、これからよろしくね?俺の彼女さん。」
ビックリしすぎて声にならない声をあげる私を見て、にっこり笑う敦賀さん。
そんな貴方は、今日から私の彼氏…さん?
************
終わろう。
頭痛がやまないから終わろう←
明るい太陽の下での創作は、マックには似合わないと言うことが判明しました。
(普段は深夜帯に真っ暗ベッドでポチポチ派)
そして知り合いが案外並んでるので、本も読んでられないことがわかりました。
…耐久レースは24時間を切ってるし、頑張ろう。
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『それが恋の前兆さ』
いつだっただろうか。
鶏の格好をした自分が敦賀さんに放った言葉が、頭の中でこだまする。
*
「ねぇ…最上さん。俺も最近ね、似たような症状が出てるんだ。」
ずっと雲に邪魔されていた日光が、再び地面を照らし始めた。
おかげで、目の前のガラス面に敦賀さんの顔が写りこむ。
…思った通り。
目深に被った帽子の下からは、神々スマイルが私に向けられていた。
ガラス越しにかち合う目線に、勝手に胸が熱くなっていく。
―――もしかして。…もしかして。
自惚れバカ女にはなりたくないんだけど。
その笑みを向けてもらえてるってことは…
その症状は、私に対して出てるんですか…?
「………そ、れは…たいへんですね…」
カラカラの喉ではまともな声が出なくて、擦れた声になってしまった。
慌ててこくんとつばを飲み込む。
「誰に?って聞いてくれないの?」
「だって、言いたくない場合だってあるじゃないですか…」
「最上さんだけには聞いて欲しいかな?」
何だか変な言葉のやり取り。
だけど自惚れて勘違いして、それで膨らんだ期待を凹まされるのなんてまっぴらごめんだわ。
黙っていると、そっと敦賀さんの口が耳に寄せられる。
かかる息がくすぐったい。
「……最上さんだけだよ。こんなにドキドキするの…」
「…っ」
決定打を打たれて、ひゅうっと空気を吸い込んで呼吸が止まった。
体がカッと一気に熱を持つ。
そんな事言われたら…もう認めるしかないじゃないですか。
自分のこの気持ちも、この熱も。
貴方のその気持ちも言葉も全部。
貴方はいつもそうやって、人が何重にもかけた心のカギを吹き飛ばしていくんだから…!
「それ…本当ですか。」
「本当だよ?嘘言ってどうするの。」
「本当に本当ですか?」
「本当だよ。」
「本当に…?」
「うん、最上さんが好きだよ……」
抱き締める腕に、よりいっそうぎゅうっと力が籠るのを感じた。
からだが今までにないくらいぴっとりくっつくことで、敦賀さんの心臓の音が分かるようになる。
〈どくん、どくん、どくん………〉
私と同じくらい、大きくて速い音。
私と、同じ気持ち…
同じリズムを刻む鼓動に、何故かドキドキが止まらないのにホッとする。
「わたしも、好き……かもしれないです。」
「うん、それは最上さんなりの『好き』って事だよね。ありがとう。」
旋毛にふにんと柔らかい感触が降りてきた。
これって、敦賀さんの……
(くくくくくちび……!!)
「ねぇ、あそこの男の人帽子被ってるけどかっこ良さそうじゃない?」
「ってか、敦賀蓮に似てない?」
「うっそ!女の方誰!?」
その時、遠くから女の子達の声が聞こえてきた。
ハッと気がつくと、周りに人が集まり出している。
…敦賀さんがバレちゃう!!
(つっ、敦賀さんダメです!バレますよーーっ!!って、バレたら私の命が終わる…っ!)
バレてしまった後の、阿鼻叫喚の地獄絵図を思わず想像し、一気に冷や汗が出てきてしまう。
敦賀さんは女の子達の声が聞こえたのか、それとも私があわあわしだしたのに気が付いたのか、急に体を離すと手を引っ張ってぐいぐいと歩道を突き進んでいく。
どこへ行くのかと思ったら、ふたつ先の人通りの少ない道に敦賀さんの車が停まっていた。
(あ…そうよね、車で移動してるわよね。)
さりげなく助手席側の扉を開け、エスコートされるままに車へと滑り込む。
扉を閉めた敦賀さんはすぐには乗り込まず、一本だけ短い電話をかけてから乗り込んできた。
「社さんにお願いして、この後の予定ずらしてもらった。」
「……は!?何をおっしゃってるんですか?お仕事に穴開けんですか!?」
「やだなぁ、穴なんて開けないよ。ただせっかく想いが通じたのに、このままお別れなんてイヤでしょ?だからちょっとだけ…ね?」
『ね?』と言いつつ首を少し傾げる敦賀さん。
にっこり無邪気に笑うその表情がちょっと可愛らしいかも…とか、うっかり思っちゃったんですけどー!!
「~~~っ!もぅ、ちょっとだけですよ…お仕事ちゃんとしない人は嫌いですからね?」
『可愛い』なんて思っちゃったのが悔しくて、ぷくぅっと頬を膨らませて顔をそらす。
「勿論、ちゃんとお仕事はしますよ?でも今はまず最上さんとドライブね?」
クスクス笑いながらキーに手をかける敦賀さん。
「あ……忘れてた。」
「え、何をですか?」
そのままをエンジンをかけるかと思ったら突然の『忘れた』の一言に、膨らました頬を戻し、敦賀さんの方に顔を向ける。
すると、ちゅっと唇に柔らかい何かが当たり、ハッと焦点を合わせると敦賀さんの顔がすぐそばにあった。
「…………○▲×◇※&☆◎〒♯!?」
「うん、これからよろしくね?俺の彼女さん。」
ビックリしすぎて声にならない声をあげる私を見て、にっこり笑う敦賀さん。
そんな貴方は、今日から私の彼氏…さん?
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終わろう。
頭痛がやまないから終わろう←
明るい太陽の下での創作は、マックには似合わないと言うことが判明しました。
(普段は深夜帯に真っ暗ベッドでポチポチ派)
そして知り合いが案外並んでるので、本も読んでられないことがわかりました。
…耐久レースは24時間を切ってるし、頑張ろう。