―――PM1:45


本日の鬼ごっこ時間は、すでに3回目を迎えている。
だが、蓮は1度もキョーコの姿を捉えることができないでいた。

今日の鬼ごっこの会場は、TBMの敷地全部―――。

高層ビルなことも考えると結構な広さにはなるのだが、それでもキョーコの姿を捕捉できない理由にはならない。

(本当に最上さんの今日の仕事って、何なんだ…?)

その仕事が単発のものなのか、それともレギュラーで入っているものなのか。
誰に聞くのもNGとされている為に全く予想ができず、蓮は闇雲に探していくしかないのだ。

「これじゃ、鬼ごっこなのかかくれんぼなのかわからないな……」

あちこち探しに出掛ける度に、自分がディレクターや過去の共演者たちに捕まってしまい、蓮は焦っていた。
さりげなく、且つ爽やかにフェードアウトするようにはしているのだが……
ディレクターなどはそれで誤魔化せるのだが、若い女優やアイドルなどはなかなか上手く切り抜けられない時もあり、キョーコを探す時間を割かれることに困ってしまう。


「……でさぁ、リーダー。キョーコちゃんは今日どないしたんやろう?」
「そやなあ…さっき元気なかったよなぁ。何か聞いとらんの?」

なかなかキョーコを見つけられずに途方に暮れていた蓮の耳に、『キョーコ』と言う単語が飛び込んで来た。
それも男の話し声の中に………

思わず動きを止めて、聞き耳をたててしまう。

「うん、何があったのか全然教えてくれへんのや…やっぱ俺の身長が低いから……」
「や!身長関係あらへんやん!」
「そうそう!キョーコちゃんもちょっと落ち着いたら相談してくれるってぇ~!」
「でもいつも『一人で大丈夫ですから』って言って、倉庫の方行っちゃうだろう…」

あれは確か、うちの事務所のバンドグループの……
どうやらリーダーと呼ばれる男が最上さんに気があるらしい。

こんなところでまで馬の骨に出会うとは…と蓮は思ったが、最後に『リーダー』がキョーコの行き先を知っていそうな内容を口にしたため、思いきって声をかけてみた。

「こんにちは、ちょっといいですか?」
「…わぁ!敦賀さん!!おはようございます!」
「おはようございます!敦賀さんも今日はTBMだったんですね!」

普段は所属が違うためにそうそう話す機会のない、トップ俳優から声をかけられた3人は慌てて頭を下げる。

「はい。確か、全員石橋さん…なんでしたっけ?」
「「「はい、そうなんですよー」」」

仲のいい3人は返事もすべてシンクロする。

「ごめんね、今…うちの社がもが…京子ちゃんに用事があって探していてね?どこにいるか知らないかい?」
「ああ、キョーコちゃんならあっちに……」
「そう、ありがとう。じゃあ俺も行ってみるね。」

さりげなく社が探していることにして方角を聞き出すと、そのまま光が指差した方向へと爽やかに笑顔を振り撒き立ち去った。

「………でもさ、リーダー。」
「……何だよ。」
「敦賀さんのマネージャーさんが、キョーコちゃんに用事って何だと思う?」
「俺に聞くなよ………」

無駄にキュラキュラとした爽やかな笑顔が去っていった後、微妙な空気が3人に流れた。


(確かこっちは…昔あの鶏くんに会った………)

倉庫へ抜ける広めの道の途中。

昔かつて、自分が悩んだ時に座っていた場所にいたのは………



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珍しくこーんなところで切ってみました。
うふふw

あ、マックは関西圏の言葉、全くわかっていないです!
石橋トリオの台詞はまぁ雰囲気だけで読んでいただけるとありがたいです~。
(関西弁全部きっちり調べあげて書くほどの心のゆとりはございません)

そして、やっと0時更新に戻ったね。
ただいまこの時間の私……!←大げさ。


さあ、明日から(ってもう今日なんだけど)幼稚園の説明会が始まるわー。
へへへ…ついに戦争が始まるのね><
頑張らねばー☆