―――PM11:50
その日の収録を全て終えたキョーコは、楽屋で2枚の紙とにらめっこをしていた。
一枚は蓮の、そしてもう一枚は自分のスケジュールだ。
「ううーん…私の方がギリギリ早く終わると思ってたのになぁ。」
楽屋へ戻る際、社がこのフロアーで自分のことを待っているのが見えた。
(社は鬼ではないので、待ち伏せは可。ただし何もしてはいけない。)
つまりは蓮の仕事の方が先に終わっていると言うことで………
「こ、この時間は本当に分が悪いわ。」
さてどうしようかと頭を抱えた。
執事な彼は迎えの車を取りに行ってくれていて、蓮の行動が読めない上にルール違反があった時、一番助けてくれる存在が側にいないことがキョーコに不安を与える。
(いっそスーパーマンみたいに空飛ぶマントでもあればいいのに……)
たまたま今夜の楽屋は窓付きだった。
キョーコはその窓の外を見て、空を飛んで逃げる自分を妄想…いや、想像する。
そして窓の横に置いてある物を確認して、あっと小さく呟いた。
*
キュラキュラと無駄に笑顔を振り撒き威圧したお陰で、キョーコよりも早く仕事を終わらせることに成功した蓮は、その頃非常口にいた。
(多分最上さんのことだから、正面突破で帰ろうとは思わないはず)
万が一正面突破で帰ろうとした時のために、社を楽屋フロアーに残している。
自分は裏口も見渡せる非常口付近を張り込んでいた。
「もうすぐ0時か……」
鬼ごっこがスタートしてから、すでに24時間が経過した。
明日のキョーコの予定がいまいちあやふやなことを考えると、蓮としては何としても今夜中に彼女を捕らえてしまいたかった。
(しかし、どうしてあそこまで意固地になるかな……)
これまでは自分の思い上がりかもしれないと思っていたが、ローリィからしっかり聞いた。
キョーコの想い……自分に向かっているはずなのに、「大っ嫌い」と言い張る彼女が大好きすぎて憎くなる。
(かわいさ余って憎さなんちゃら…って、こういうことかな?もう本当に、捕まえたらどうしてくれようか………)
なんて少し物騒なことを考え始めた時。
〈がらがらがらんっ!〉
どこからともなく謎の音が響いてきた。
しかも、その後もカシャンカシャンと音は鳴り続ける。
不思議に思った蓮が覗きに行くと………
そこには、楽屋にあった避難梯子を窓から降ろし、足をかけているキョーコがいた。
「えっ!?最上さん!!」
「…えっ、敦賀さ……きゃっ!!」
突然声をかけられて足を踏み外したキョーコ。
両手はしっかりと梯子を掴んでいたため問題はなかったが、下で見ていた蓮の心臓は止まりそうだった。
「最上さんっ!大丈夫か…!?」
「は、はい…と言うか、どうしてこんなところにいらっしゃるんですか~っ!」
キョーコは、踏み外したことによる一瞬の恐怖と興奮、それに見つからないだろうと思った方法で真っ先に蓮に見つかったことから少々パニックになっていた。
「いや、だって俺はそのフロアーで待てないから…って、本当に危ないから!」
キョーコの楽屋フロアーはまだ低層階だったとは言え、落下でもしたらただでは済まない。
とにかく踏み外した足を梯子に戻して、楽屋に戻ってもらうか下に降りてきてもらうか…
蓮が考えていた時に、キョーコから困った言葉が降ってきた。
「あのー…敦賀さん。どうにかしたいのは山々なのですが、今ので腕が痺れまして……動けないんです。」
「…え、動けないって………」
現在キョーコが宙ぶらりんになっているのは5メートル程の高さの位置。
やはりこの高さから落ちてしまえば無傷では済まない。
「腕が痺れてるって…とにかくまずは足を梯子にかけられる?」
「は、はい。やってみます……」
かしゃんと音がして、キョーコの右足が梯子にかかる。
しかし、キョーコの体はそれ以上動かない。
「最上さん?どうした?」
心配した蓮が声をかけると、キョーコは小さな声で「すみません…」と答えると、そのまま梯子から手を離した。
「もがっ……!!」
降ってくるキョーコの真下に慌てて入り込むと、蓮はキョーコをしっかりと抱き止めた。
************
ううう、話の切り場所が分からなかったわ………
とりあえず捕獲成功?
今、避難梯子ってどうなってるのかしら?
最近見かけないからわからないわ…
と言うか、楽屋に窓…あんまりないと思う(汗)
でも窓から逃げるキョーコ……どうしても書きたかった!
その日の収録を全て終えたキョーコは、楽屋で2枚の紙とにらめっこをしていた。
一枚は蓮の、そしてもう一枚は自分のスケジュールだ。
「ううーん…私の方がギリギリ早く終わると思ってたのになぁ。」
楽屋へ戻る際、社がこのフロアーで自分のことを待っているのが見えた。
(社は鬼ではないので、待ち伏せは可。ただし何もしてはいけない。)
つまりは蓮の仕事の方が先に終わっていると言うことで………
「こ、この時間は本当に分が悪いわ。」
さてどうしようかと頭を抱えた。
執事な彼は迎えの車を取りに行ってくれていて、蓮の行動が読めない上にルール違反があった時、一番助けてくれる存在が側にいないことがキョーコに不安を与える。
(いっそスーパーマンみたいに空飛ぶマントでもあればいいのに……)
たまたま今夜の楽屋は窓付きだった。
キョーコはその窓の外を見て、空を飛んで逃げる自分を妄想…いや、想像する。
そして窓の横に置いてある物を確認して、あっと小さく呟いた。
*
キュラキュラと無駄に笑顔を振り撒き威圧したお陰で、キョーコよりも早く仕事を終わらせることに成功した蓮は、その頃非常口にいた。
(多分最上さんのことだから、正面突破で帰ろうとは思わないはず)
万が一正面突破で帰ろうとした時のために、社を楽屋フロアーに残している。
自分は裏口も見渡せる非常口付近を張り込んでいた。
「もうすぐ0時か……」
鬼ごっこがスタートしてから、すでに24時間が経過した。
明日のキョーコの予定がいまいちあやふやなことを考えると、蓮としては何としても今夜中に彼女を捕らえてしまいたかった。
(しかし、どうしてあそこまで意固地になるかな……)
これまでは自分の思い上がりかもしれないと思っていたが、ローリィからしっかり聞いた。
キョーコの想い……自分に向かっているはずなのに、「大っ嫌い」と言い張る彼女が大好きすぎて憎くなる。
(かわいさ余って憎さなんちゃら…って、こういうことかな?もう本当に、捕まえたらどうしてくれようか………)
なんて少し物騒なことを考え始めた時。
〈がらがらがらんっ!〉
どこからともなく謎の音が響いてきた。
しかも、その後もカシャンカシャンと音は鳴り続ける。
不思議に思った蓮が覗きに行くと………
そこには、楽屋にあった避難梯子を窓から降ろし、足をかけているキョーコがいた。
「えっ!?最上さん!!」
「…えっ、敦賀さ……きゃっ!!」
突然声をかけられて足を踏み外したキョーコ。
両手はしっかりと梯子を掴んでいたため問題はなかったが、下で見ていた蓮の心臓は止まりそうだった。
「最上さんっ!大丈夫か…!?」
「は、はい…と言うか、どうしてこんなところにいらっしゃるんですか~っ!」
キョーコは、踏み外したことによる一瞬の恐怖と興奮、それに見つからないだろうと思った方法で真っ先に蓮に見つかったことから少々パニックになっていた。
「いや、だって俺はそのフロアーで待てないから…って、本当に危ないから!」
キョーコの楽屋フロアーはまだ低層階だったとは言え、落下でもしたらただでは済まない。
とにかく踏み外した足を梯子に戻して、楽屋に戻ってもらうか下に降りてきてもらうか…
蓮が考えていた時に、キョーコから困った言葉が降ってきた。
「あのー…敦賀さん。どうにかしたいのは山々なのですが、今ので腕が痺れまして……動けないんです。」
「…え、動けないって………」
現在キョーコが宙ぶらりんになっているのは5メートル程の高さの位置。
やはりこの高さから落ちてしまえば無傷では済まない。
「腕が痺れてるって…とにかくまずは足を梯子にかけられる?」
「は、はい。やってみます……」
かしゃんと音がして、キョーコの右足が梯子にかかる。
しかし、キョーコの体はそれ以上動かない。
「最上さん?どうした?」
心配した蓮が声をかけると、キョーコは小さな声で「すみません…」と答えると、そのまま梯子から手を離した。
「もがっ……!!」
降ってくるキョーコの真下に慌てて入り込むと、蓮はキョーコをしっかりと抱き止めた。
************
ううう、話の切り場所が分からなかったわ………
とりあえず捕獲成功?
今、避難梯子ってどうなってるのかしら?
最近見かけないからわからないわ…
と言うか、楽屋に窓…あんまりないと思う(汗)
でも窓から逃げるキョーコ……どうしても書きたかった!