頭を抱えていた時間から数分後。
やっと動き出した奏江は、事の顛末をキョーコから聞き出した。
「…だからねっ!私が48時間頑張って逃げ切れば、モー子さんと遅ればせながらの夏休み休暇をくれるって社長さんが言ったの♪」
「………あんた、それ本気にしてるの?」
「もちろんよぉ♪今からどこがいいか、考えておいてね!」
キョーコの頭は、すでに奏江と行くバカンスの計画でいっぱいらしい。
しかし、あの蓮から簡単に逃げ切れるとは思っていない奏江は、ニマニマと浮かれ顔のキョーコに対して渋い顔だ。
(あの執念深い敦賀さんが、キョーコのことをそう簡単に逃がすと思ってるのかしら。)
いや、女である自分にすら時々嫉妬心を見せるくらいなのだ。
キョーコの周りに集まってくる馬の骨を、それはそれはさりげなく華麗に排除して回る男なのだ。
簡単に逃げ切れる鬼ごっこでないことだけは確かだ。
そして、絡んでいるのはお祭り大好き・愛を叫ぶのが大好きな社長………
このゲームは、どう考えても愛を否定するキョーコに分が悪いはずなのだ。
(それくらい、冷静に考えればわかりそうなのに…)
だけど、自分との休暇をもぎ取りたくて、逃げる算段をあれこれと画策している目の前の親友を見ると、どうしても『無理だと思う』の一言が出なかった。
(……私も本当に、この子には甘いわよね。泣かれると困るんだもの)
「そう…まあ、頑張りなさいな……」
「うんっ!私頑張るからねっ♪
…って、あ!私今日はこれからテレジャパなの!敦賀さんよりも早く移動しないと!じゃあね~♪」
頭に花を咲かせたままぴょんこぴょんことスキップで部室を出るキョーコを見送ると、奏江は再びため息をついた。
「はぁ……あほらし。松島さんとこさっさと行こう………」
*
蓮が雑誌インタビューを終え、応接室を出たところで、すぐそばの会議室で松島と話をしていた奏江に遭遇した。
「おはようございます、敦賀さん。先程はどうも…」
「ああ、おはよう琴南さん…さっきは巻き込んでごめんね?」
「いえ…いいんです。どうやら私は、最初から巻き込まれているようなので。」
「聞いてるよ。最上さんが勝った時の条件だろう?
……残念だけど、二人揃ってのバカンスはお預けだから。ごめんね?」
爽やかに笑顔で凄む蓮に、奏江は「うっ」と少々怯むが、すぐに社が合流して場は落ち着いた。
「あっ!琴南さんおはよう!」
「社さんもおはようございます。」
歳上の優秀なマネージャーに対しても丁寧にお辞儀をする奏江に、社は辺りをこそりと見渡し、そっと耳元でお願いをした。
「あのさ…明日のキョーコちゃんの仕事なんだけどさ。
スケジュールはもらってるんだけど、何の仕事かさっぱりわからないんだよー。琴南さんは知ってる…?」
「は…?明日ですか?」
〈ピピピーーっ!!〉
と、再び鳴らされるホイッスル。
今度はいつもの青年ではないが、同じように黒いスーツに身を包んだエージェント風の男が、社のすぐ背後に立っていた。
「社様…その件についてはお問い合わせは不可となっております。」
「………ですよねー(汗)すみません……」
『いつからそばにいたんだ!』と、心の叫びが駄々漏れな社と奏江。
蓮は時計を見ると、冷静に社に声をかけた。
「社さん、次はテレジャパで情報番組のゲスト撮りです。最上さんとの鬼ごっこ場所もテレジャパになりそうですから、早く行きましょう。」
「あ、ああ………」
「じゃあ琴南さん、またね。」
「はい、(せいぜい)頑張ってください。」
「もちろんだよ、ありがとう。(絶対頑張れって思ってないよな……)」
表面上は穏やかに、しかし言葉の端々に細やかなトゲを隠しながら、爽やかな挨拶を交わして奏江はその場を離れた。
ラブミー部室へ戻りながら、明日のキョーコのスケジュールについて考えていると、ふと気がつく。
「あれ?明日って確か…」
奏江の記憶に間違いがなければ、TBMで『やっぱ気まぐれロック!』の収録日だったはずだ。
(あの子、あの仕事は何がなんでも存在隠し通したいって言ってたけど……)
奏江も、初回はサクラで行っていたから知っている。
キョーコの不破尚に対する暴走劇を。
それでこってり絞られてるし、かの幼馴染みに正体をバラしたくないとの思いから『公表はしないの!』と言っていたが……
今回の鬼は、その不破の名前が出た瞬間に、一気に不機嫌モードになる蓮だ。
おまけに話を聞く限り、あのバンドのリーダーは相変わらず馬の骨だし……
「大丈夫なのかしら、あの子………」
色んな意味でキョーコの身の上が心配になる奏江だった。
【鬼ごっこルール―一部抜粋―】
・もらっているスケジュール以上にはキョーコの行動を調べない
(要は坊バレ禁止)
************
昨日のまほうに続いて、ツンデレ女王モー子さんが参上つかまつってます。
す、好きかもしれないモー子さんw
書いてて楽しい!
蓮キョに絡ませると楽しいわ…!
(あくまでメインは蓮キョ!)
しかし………今日はあまりにもバタバタしすぎて、全然アメバ開けてない;;
うちの三姉妹が飢えてないか心配(実は今も携帯から投稿)
やっと動き出した奏江は、事の顛末をキョーコから聞き出した。
「…だからねっ!私が48時間頑張って逃げ切れば、モー子さんと遅ればせながらの夏休み休暇をくれるって社長さんが言ったの♪」
「………あんた、それ本気にしてるの?」
「もちろんよぉ♪今からどこがいいか、考えておいてね!」
キョーコの頭は、すでに奏江と行くバカンスの計画でいっぱいらしい。
しかし、あの蓮から簡単に逃げ切れるとは思っていない奏江は、ニマニマと浮かれ顔のキョーコに対して渋い顔だ。
(あの執念深い敦賀さんが、キョーコのことをそう簡単に逃がすと思ってるのかしら。)
いや、女である自分にすら時々嫉妬心を見せるくらいなのだ。
キョーコの周りに集まってくる馬の骨を、それはそれはさりげなく華麗に排除して回る男なのだ。
簡単に逃げ切れる鬼ごっこでないことだけは確かだ。
そして、絡んでいるのはお祭り大好き・愛を叫ぶのが大好きな社長………
このゲームは、どう考えても愛を否定するキョーコに分が悪いはずなのだ。
(それくらい、冷静に考えればわかりそうなのに…)
だけど、自分との休暇をもぎ取りたくて、逃げる算段をあれこれと画策している目の前の親友を見ると、どうしても『無理だと思う』の一言が出なかった。
(……私も本当に、この子には甘いわよね。泣かれると困るんだもの)
「そう…まあ、頑張りなさいな……」
「うんっ!私頑張るからねっ♪
…って、あ!私今日はこれからテレジャパなの!敦賀さんよりも早く移動しないと!じゃあね~♪」
頭に花を咲かせたままぴょんこぴょんことスキップで部室を出るキョーコを見送ると、奏江は再びため息をついた。
「はぁ……あほらし。松島さんとこさっさと行こう………」
*
蓮が雑誌インタビューを終え、応接室を出たところで、すぐそばの会議室で松島と話をしていた奏江に遭遇した。
「おはようございます、敦賀さん。先程はどうも…」
「ああ、おはよう琴南さん…さっきは巻き込んでごめんね?」
「いえ…いいんです。どうやら私は、最初から巻き込まれているようなので。」
「聞いてるよ。最上さんが勝った時の条件だろう?
……残念だけど、二人揃ってのバカンスはお預けだから。ごめんね?」
爽やかに笑顔で凄む蓮に、奏江は「うっ」と少々怯むが、すぐに社が合流して場は落ち着いた。
「あっ!琴南さんおはよう!」
「社さんもおはようございます。」
歳上の優秀なマネージャーに対しても丁寧にお辞儀をする奏江に、社は辺りをこそりと見渡し、そっと耳元でお願いをした。
「あのさ…明日のキョーコちゃんの仕事なんだけどさ。
スケジュールはもらってるんだけど、何の仕事かさっぱりわからないんだよー。琴南さんは知ってる…?」
「は…?明日ですか?」
〈ピピピーーっ!!〉
と、再び鳴らされるホイッスル。
今度はいつもの青年ではないが、同じように黒いスーツに身を包んだエージェント風の男が、社のすぐ背後に立っていた。
「社様…その件についてはお問い合わせは不可となっております。」
「………ですよねー(汗)すみません……」
『いつからそばにいたんだ!』と、心の叫びが駄々漏れな社と奏江。
蓮は時計を見ると、冷静に社に声をかけた。
「社さん、次はテレジャパで情報番組のゲスト撮りです。最上さんとの鬼ごっこ場所もテレジャパになりそうですから、早く行きましょう。」
「あ、ああ………」
「じゃあ琴南さん、またね。」
「はい、(せいぜい)頑張ってください。」
「もちろんだよ、ありがとう。(絶対頑張れって思ってないよな……)」
表面上は穏やかに、しかし言葉の端々に細やかなトゲを隠しながら、爽やかな挨拶を交わして奏江はその場を離れた。
ラブミー部室へ戻りながら、明日のキョーコのスケジュールについて考えていると、ふと気がつく。
「あれ?明日って確か…」
奏江の記憶に間違いがなければ、TBMで『やっぱ気まぐれロック!』の収録日だったはずだ。
(あの子、あの仕事は何がなんでも存在隠し通したいって言ってたけど……)
奏江も、初回はサクラで行っていたから知っている。
キョーコの不破尚に対する暴走劇を。
それでこってり絞られてるし、かの幼馴染みに正体をバラしたくないとの思いから『公表はしないの!』と言っていたが……
今回の鬼は、その不破の名前が出た瞬間に、一気に不機嫌モードになる蓮だ。
おまけに話を聞く限り、あのバンドのリーダーは相変わらず馬の骨だし……
「大丈夫なのかしら、あの子………」
色んな意味でキョーコの身の上が心配になる奏江だった。
【鬼ごっこルール―一部抜粋―】
・もらっているスケジュール以上にはキョーコの行動を調べない
(要は坊バレ禁止)
************
昨日のまほうに続いて、ツンデレ女王モー子さんが参上つかまつってます。
す、好きかもしれないモー子さんw
書いてて楽しい!
蓮キョに絡ませると楽しいわ…!
(あくまでメインは蓮キョ!)
しかし………今日はあまりにもバタバタしすぎて、全然アメバ開けてない;;
うちの三姉妹が飢えてないか心配(実は今も携帯から投稿)