「なっ!いつから蓮とそんな仲になってたんだい!?」

隣に座っていた椹は、慌ててキョーコに質問する。

「ナニヲオッシャッテルノカ、ワタシニハサッパリデスガ…」
「バカタレ。そんなに動揺しておいて誤魔化せると思ってるのか。ホレ!」

呆れ顔の帽子屋は、執事に鏡を持ってこさせるとキョーコの顔を映させた。

そこには朱に染まった頬を両手で覆い、少し困ったように眉を寄せる…どこからどう見ても『恋する乙女顔』のキョーコがいた。

「な!なんてアホ面!!」

「最上さん………」
「最上くん…これをアホ面とは何事だ!これだからラブミー部員の面々は……」

『アホ面』発言で怒り始めたローリィに、思い出すのはヒール兄妹として過ごすきっかけとなった『危ない』ミッション。

(やば…っ!このままだとあの時の二の舞になる!?)

本能でこの先に待ち構える危険を察知したキョーコは、とにかく怒りを別の何かに変えるべく、話題を逸らそうと提案する。

「ところでっ!!何故私は呼ばれたのでしょうか!
しかも椹さんまで一緒とはどういうことでしょう?」
「ん?おう、そうそう。
お前ら、いつまでちんたら相手の出方を窺ってるのかと思ってな?少しイライラしてきとったんだよ。」

一瞬話の切り替えに成功したかと見せかけて、話は結局色恋沙汰。
キョーコの顔は、当然ながら盛大にひきつる。

「しかし、蓮は以前最上さんのことを『気に入らない』と…」
「椹よ、それはいつの話だ。今の二人を見ていてもその台詞がそのままの意味でとれるか?」
「まぁ…そうですよね。考えれば、週に2回はラブミー部に食事の依頼出してますもんね。
どちらかと言えば、愛情の裏返し的な発言ですね………」

少々驚き気味だった椹も、奇抜な帽子屋の台詞に思い当たるところがあったらしく、ふむふむと頷く。
頷く隣で噛みつかんばかりに反論するのは、夢見がちだけど恋愛不感症なアリスだ。

「敦賀さんが私のこと好きだなんて、有り得ない話ですって!大体私は恋とか愛とかしないんです!二度としないって誓ってるんです!」
「だからそんな顔をしておいて、説得力に欠けるんだよ最上くん。」
「してません!アホ面なんて断じてしてません!!」
「だからアホ面とはどういうことだ!愛は大事で偉大なものだと、普段から言っているのに最上くんは……」

……徐々にヒートアップしていく二人のやり取りを眺めるのは、おいてけぼりを食らった椹と。
キョーコの落としたティーカップを片付け、そのうち言い争いも喉を痛めて終了するだろうからと、新たな茶を淹れ始めた優秀な執事のみ。
誰も止められるものはいない。



「そろそろお止めになられた方が。お二人とも血圧が上がりすぎているかと思われます。」

適度なタイミングで、今度は濃いめに淹れたアイスティーが二人に振る舞われた。

「お?おお…そうだな。」
「え?ああ…ありがとうございます。」

褐色の執事よりグラスを受け取った二人は、同時のタイミングでそれを飲み干す。

ふう、と一息ついたところで再び口を開いたのは、ローリィだった。

「最上くんよ、とにかく君は蓮を好きではないと。そして蓮は君を好きではないと、そう言いたいのだね?」
「当たり前です!敦賀さんが私を好きだなんて、なんて恐ろしい勘違いをできましょう!」

力一杯拳を握るキョーコを見て、その場にいた男たちが思うことはただひとつ。


(((ここまで来ると、蓮(敦賀様)が哀れだな………)))


溜め息を吐きながら、ローリィはグラスを置き、キョーコに提案を持ちかけた。

「ならば最上くん。一つゲームに乗らないか?」
「?ゲーム………?」
「そう、ゲーム。君が勝てば、もちろん素敵な景品を用意してあげるよ…?」


チェシャ猫のように「にぃ」と口角を引き上げ、悪巧みを成功させようとする。


サディスティックな笑みを浮かべるその男は、まさに『マッドハッター』そのものだった。



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そんなわけで(だからどういうわけだ)。
サブタイやっと決まりました。

『Let's play tag with You!』

珍しく英語調べてつけました←英語大の苦手

いえね…日本語でつけようかなーと思ったら、もう有名な映画のタイトルしか出てこなくって!(それもホラー!)
「ホラーじゃないの、ギャグなの…!」と思って、で
も日本語じゃ無理だったので背伸びしました。

お陰でサブタイ入力が堪らなく大変ですorz

ローリィの悪巧みがつまった話にしたいなー☆



※頭にどこからともなく謎な単語が紛れ込んでました><読み辛くてごめんなさいでした。
(8月28日7時半直し)