翌日は夏らしい、湿度の高い空気がじっとりと肌にまとわりつく天気だった。
遠くに大きく成長した入道雲が聳えていて、青い空も夏を終わらせまいと必死に太陽の光を海水浴客に浴びせる。
全く関係のない人間にとっては、正直迷惑きわまりないのだが……
(今の時間は何してるんだろう……)
俺の意識は、今日一日のバイト中、ずっとここにはなかった。
昨日見事にナンバーワンに輝くことが出来た貴島と、最上さんのデートが気になって、そればかり考えていた。
デートの行き先は王道中の王道な、某有名テーマパーク。
社長が昨日、チケットを貴島に渡していた。
時刻はもうすぐ4時になる。
今頃アトラクションに二人仲良く並んでたりするのだろうか。
そんな姿を想像しては、溜め息を吐く。
1日そんな感じだった。
「おい、蓮さぁ…そんなに気になるんだったら、どうして昨日突然失踪なんてしたんだよ?お前だったら間違いなくナンバーワンだったろ?」
「それはわかってるから、ほっといてくれよ……」
夕方が近付き大分客足が引いたところで、社に休憩室へと引っ張りこまれた。
わかりきっていることを指摘され、傷口をさらに広げられる。
午前中の失踪さえなければ確かに一位は確実だっただろう。
事実、残り2時間で4位まで行けたんだ(帰ってから1時間にも及ぶ、店長のお小言時間も勿体無かったな)
自分としては普通に接しているつもりなのだが、何故か女の子達は赤面してとろんとした顔になる。
社や貴島からは「天然たらし」とよくからかわれているから、多分本気を出せば昨日も貴島と接戦に持ち込めたかもしれない。
しかし、キスしてしまった気まずさと、同じフロアにいる最上さんが拍子抜けするくらい普通の態度だった事があまりにもショックすぎて。
全然それどころじゃなかったのだ。
(意識してたのが俺だけって………)
「結局振られたって事だよなぁ」なんて思ったら、何も手につかなくなってしまった。
「お前、キョーコちゃんと何かあったのか?」
「………別に。」
「ホントかぁ?昨日、戻ってきたお前の口の端。キョーコちゃんと同じ色の口紅ついてたぞ。」
「!」
『口紅』というキーワードで、うっかり昨日の事を思い出し、思わず口元を押さえてしまった。
「………やっぱり何かあったんじゃないか。別に言いたくないならいいけどさ。あんまり思い詰めるなよ?」
俺の肩を軽くポンと叩くと、先に社は休憩室を出ていった。
この手の話は誰かに相談すると、あらぬ方向へ噂が流れるのが常で。
第三者は介入させない方がいい。
だから、いくら信頼のおける社でも、出来れば内緒にしておいた方がいいのだ。
それが結果思い詰めてるように見えても。
(別に思い詰めてるつもりは全くないんだけどね。)
気分を変えるために、ミント系のタブレットを口に放りこみ店に戻ると、ちょうど琴南さんが店のドアを開けて入ってくるところだった。
************
引き続きうじうじ蓮くんでお送りしてます。
温厚紳士…への成長過程でございましょうか?
とりあえず天然たらしな蓮が好きですv
現在はたとえへたれ真っ最中でも☆
遠くに大きく成長した入道雲が聳えていて、青い空も夏を終わらせまいと必死に太陽の光を海水浴客に浴びせる。
全く関係のない人間にとっては、正直迷惑きわまりないのだが……
(今の時間は何してるんだろう……)
俺の意識は、今日一日のバイト中、ずっとここにはなかった。
昨日見事にナンバーワンに輝くことが出来た貴島と、最上さんのデートが気になって、そればかり考えていた。
デートの行き先は王道中の王道な、某有名テーマパーク。
社長が昨日、チケットを貴島に渡していた。
時刻はもうすぐ4時になる。
今頃アトラクションに二人仲良く並んでたりするのだろうか。
そんな姿を想像しては、溜め息を吐く。
1日そんな感じだった。
「おい、蓮さぁ…そんなに気になるんだったら、どうして昨日突然失踪なんてしたんだよ?お前だったら間違いなくナンバーワンだったろ?」
「それはわかってるから、ほっといてくれよ……」
夕方が近付き大分客足が引いたところで、社に休憩室へと引っ張りこまれた。
わかりきっていることを指摘され、傷口をさらに広げられる。
午前中の失踪さえなければ確かに一位は確実だっただろう。
事実、残り2時間で4位まで行けたんだ(帰ってから1時間にも及ぶ、店長のお小言時間も勿体無かったな)
自分としては普通に接しているつもりなのだが、何故か女の子達は赤面してとろんとした顔になる。
社や貴島からは「天然たらし」とよくからかわれているから、多分本気を出せば昨日も貴島と接戦に持ち込めたかもしれない。
しかし、キスしてしまった気まずさと、同じフロアにいる最上さんが拍子抜けするくらい普通の態度だった事があまりにもショックすぎて。
全然それどころじゃなかったのだ。
(意識してたのが俺だけって………)
「結局振られたって事だよなぁ」なんて思ったら、何も手につかなくなってしまった。
「お前、キョーコちゃんと何かあったのか?」
「………別に。」
「ホントかぁ?昨日、戻ってきたお前の口の端。キョーコちゃんと同じ色の口紅ついてたぞ。」
「!」
『口紅』というキーワードで、うっかり昨日の事を思い出し、思わず口元を押さえてしまった。
「………やっぱり何かあったんじゃないか。別に言いたくないならいいけどさ。あんまり思い詰めるなよ?」
俺の肩を軽くポンと叩くと、先に社は休憩室を出ていった。
この手の話は誰かに相談すると、あらぬ方向へ噂が流れるのが常で。
第三者は介入させない方がいい。
だから、いくら信頼のおける社でも、出来れば内緒にしておいた方がいいのだ。
それが結果思い詰めてるように見えても。
(別に思い詰めてるつもりは全くないんだけどね。)
気分を変えるために、ミント系のタブレットを口に放りこみ店に戻ると、ちょうど琴南さんが店のドアを開けて入ってくるところだった。
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引き続きうじうじ蓮くんでお送りしてます。
温厚紳士…への成長過程でございましょうか?
とりあえず天然たらしな蓮が好きですv
現在はたとえへたれ真っ最中でも☆