―――功労賞だよ☆やしろびじょん!―――


「お姉様をエントランスホールへ置いてきましたわ!」

キョーコちゃんを連れ出していたマリアちゃんが、パーティー会場へと戻ってきた。
蓮は既に、社長によって閉じ込められた2階から脱出しているはずだ。
………無事に出会えてるといいな。
ホラ。予想もつかない事ばかり起こす2人だから(特にキョーコちゃんは)、お兄ちゃんとしては心配で…

「でも、何で蓮様とお姉様の再会を見守ってはいけないんですの?それ位しても…」
「野暮な事はやめときなさいな。敦賀さん今回ヘタレ返上したんでしょ?社さん。」

可愛くぷうっとむくれるマリアちゃんの頭を撫でながら、琴南さんが俺に話し掛けてきた。

「うーん。そうなんだよね~…だから、今回だけは見逃してあげて?」

そうなのだ。
日本から帰ったあの日、衝撃的な蓮の秘密を聞かされて…俺は意識を失った。
だって今までずっと一緒にいた奴が、実はハリウッドスターの大事な一人息子様で『敦賀蓮』ですら演技だったと来れば誰でも驚くだろう!!
と言うか、驚かない奴がいるのなら、そいつの顔が見てみたい!
しかもキョーコちゃんとは幼い頃に一度会ってて、その頃から好きだったとくれば…
もう2人は出会うべくして出会ったと言うか!
運命だよな、これ!!

蓮も俺に話した事で何か吹っ切れたのか、急に「エンゲージリングを贈りたいので、似合うものを探すの手伝ってください」とお願いされた。
実は、日本に帰った時『蓮には内緒で、とにかくパーティーに間に合うように撮影を終わらせて来い!』と社長から命令されていて…
その命令と平行させての指輪探しは、本当に血ヘドを吐くかと思いましたよ(泣)
皇貴さんに助けてもらえなかったら、俺は今頃死んでいたかもしれない……

ま、昨日突然拉致られて、自家用ジェットに乗せられた時にはビックリしたけどね。

(うまくいくといいな、蓮………)

可愛い弟と妹の幸せを願いながら、運ばれてきたシャンパンに口をつける。

「まっ、今まで散々オアズケ食らってたんですもの。敦賀さんがっついて、キョーコが今夜中にここに戻ってくる事はないわね。」
「そうねぇ、京子さんもヴァージン捨てる覚悟できたみたいだったしねぇ。」

〈ぶふうぅーーーっ!!!〉

一人感慨深く浸っていたら、横のラブミーガールのトンデモ発言に、思わずシャンパンを噴き出してしまった。

「なっ!?ななななな…………」
「ん?社さん知らなかったんですか?あの二人、実はまだエッチしてなかったんですよ?キョーコが今まで敦賀さんから散々逃げてたんです。」
「そうそう!あそこ蹴って逃げるとか、彼氏にするか!?とも思いますけどねぇ。敦賀さんの『抱かれたい男NO.1』の称号は今後のマネージメント上、考えた方がいいかもしれませんよ?」

(おいおいおい!?)

さすがラブミー部員、トンデモ発言もサラリと次々流す。
更にその隣のマリアちゃんにいたっては、突然小型の液晶テレビを持ってきてもらって何かをカチャカチャ言わせている。

「ホールでしたら、絶対お祖父様がカメラを設置しているはずですわ!何とかして見られないかしら…」

(蓮………お前のこれから、まだまだ前途多難だな………)

社長に遊ばれ、マリアちゃんにデバカメされ、ラブミー部員達にこてんぱんに言われる…
ベッコベコに凹んだ蓮の姿が容易に想像できて、俺の胃はキリキリとまた痛みを訴え始めた。



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という訳で、おまけはやしろびじょんでお届けいたしました☆
頑張れ、蓮とやっしー!!
不憫なやっしーもお好みのseiさんに気に入っていただけるかしら…


まあ、今夜からは本当に限定。
でも自分が恥ずかしくて居たたまれないのと、洗礼怖いからさらっと行くよさらっと!!