―――ふろむ☆つるがびじょん!―――


日本から戻った社さんは、帰ってくるなり真っ先にアパートの冷蔵庫のチェックから始めた。

「あぁーっ!お前、俺がいない3日間ほとんど何にも食べてなかっただろう…!」
「いえ…外でちゃんと食べてました…」
「嘘を吐くな嘘を!油がきついとか言ってほとんど外食になんて出ない奴が何を言うか!」

図星だった。
こちらに戻ってきてから最初の頃は、肉々しかったりボリューム満点な食事が多くて、ほとんど何にも食べれない状態が続いた。
今は社さんが適当に作ってくれた食事を冷凍保存しておいて、ソレを少しずつ食べてはいるが…
社さんのいない間はそれも食べられずにいた。

(キョーコのご飯が食べたいなぁ…)

もちろん社さんが作ったご飯が美味しくないわけではない。
しかし…やはりキョーコのあの味には勝てない。
『胃袋を掴まれる』とはよく言ったものだ。
キョーコの作ってくれた料理なら、するんと口に入っていく。
キョーコの料理じゃないと、食事した気にならない。
それくらいにキョーコの料理にもハマっているのだ。
もうキョーコがいなくなった時のことなんて考えられないのに…
なのに、キョーコにはもう受け入れてもらえないかもしれない。
ここへ帰るために日本で頑張ってきたのだが、気持ちはずっと日本に残したままだった。

「そんなわかりやすい嘘をつく子には、キョーコちゃんからの手紙渡さないぞ~?」

その言葉にばっと振り返ると、社さんはシンプルな白い封筒をひらひらとさせていた。
慌てて手を伸ばすが社さんの動きが素早く、俺の手は宙を切った。

「キョーコちゃん、お前の事心配してたぞ…?お前達に何があったかはわからないけどな、でもあんまり心配かけるなよ?……ほら。」

今度はちゃんと手渡されたそれを慌てて開封すると、オレンジの花柄の便箋には一言だけメッセージが残されていた。

『会いたいです。』

たった一言だけ…でもこの一言だけでも、俺にとっては十分だった。

(俺はまだ、キョーコに見限られたわけではないんだ…)

だけど、どうしたら自分だって受け入れられずに足掻いている自分自身を、キョーコに受け入れてもらえるんだろう…
確かに久遠の闇は、BJを演じた時に彼女が吹き晴らしてくれた。
だけど………それでもあの頃の自分を許せない、そんな自分がいて。
そんな自分を好きになれないのに、彼女に受け入れてもらう事なんてできるのだろうか。

「社さん…自分に自信を持つって、どうしたらいいんですかね…」



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今度はうじうじ蓮くんに。
いや、また長くなっちゃって切りました。
ここら辺内面レボリューションなので、やたら文字数が多くなっちゃうんですもの~。
なかなかテンポよくサクサクとはいかないです><
いやん。