「あ、いたいた!キョーコちゃーん!!」

事務所の廊下で名前を呼ばれ振り返ると、社さんが手を振りながら走ってくるところだった。
社さんは確か、敦賀さんに付き添って渡米していたのでは…?
期待と不安といろんな感情が交ざりながら彼を探すが、周りには数人の社員しかおらず、走り寄ってくるのは社さんだけだった。

「おはようございます。あの、どうかなさったんですか…?」
「うん、事務的な処理の為に俺だけ戻ったんだ。今夜にはまた飛行機の中だけどね。」
「そう、なんですか…」

敦賀さんに会うまで、まだ少し猶予が持たされた事に少しホッとするのと同時に寂しく思った。

「あ…今年のパーティーは……」
「あー。それなんだけどね?やっぱり仕事終わりそうになくて…年明けの帰国になりそうなんだ。だから、俺も蓮も不参加。ごめんね…?」
「そうですよね?わかってましたからいいんです。…」
順調に行っても年内の帰国は無理だと、社長さんに聞かされてはいた。
だけど、やっぱり心のどこかで期待していたのか、急に寂しい気持ちでいっぱいになる。

「うん…ごめんねー!その代わり、何かプレゼントをマリアちゃんのと一緒に探してるみたいだから…プレゼントだけはパーティーに間に合うと思うよ?
……あとこれ。蓮からあずかってきた。」

そう言って私の前に差し出されたのは、一通の便箋。
ネイビーブルーの封筒が、いかにも敦賀さんらしい。

「私に…ですか?」
「うん。……あのね、キョーコちゃん。蓮と何があったかは分からないけど、蓮も悪気があったわけじゃないと思うんだ。だから許してやってね?」

社さんの手から受け取ると、普段はすぐ開けるだなんて事はしないのに、封筒の端を破り中からスカイブルーの便箋を出す。
途端にふわっと香る、敦賀さんのフレグランス。

(あ……)

便箋には『ずっと黙っていてごめん。俺の事嫌いになったかもしれない。だけど、俺はずっと昔からキョーコの事好きだったから。』と、言い訳もなく簡潔に書かれていた。

久しぶりの敦賀さんの文字、敦賀さんの香りに、思わず涙がこぼれてくる。

「きっ、キョーコちゃん!?どうしたの!?何か蓮が変な事書いてた!?」

事務所の廊下とはいえ、いきなり泣き出した私に社さんはオロオロするばかり。
申し訳ないなと思いつつ、ポロポロ零れてくる雫は止められなかった。

(敦賀さんに会いたいよぉ……)

「ああ…キョーコちゃん泣かないで、ね?とりあえずラブミー部で落ち着こう?ねっ?」

ハンカチを差し出しながら、必死で慰めようとあれこれ考えてくれている社さん。
その社さんのジャケットの袖口をきゅっと引っ張って、お願い事をした。

「すみません………私も、言伝お願いしてもいいですか?」





************

うん!この回、ラブレボ書き始める時に「絶対書きたい!」って思ってた場面の1つ!
54話にしてやっと出せるって…おいおい。
他にも書きたかった場面はいっぱいあるよー。
生殺しとか生殺しとか生殺しとかwww
ありすぎてわけわかんなくなっちゃった☆


しかしですね、桃入った途端書けなくなった………
書くのにすごく時間がかかってます。
まずい、まずいわ!
ストックがストックにならない…!