翌日、俺は何故か最上さんから避けられていた。
避けると言っても、あからさまにではない。
多分はた目に見れば、いつもと変わらないように見えるのであろう。
だけど、いつも最上さんを目で追い掛けていた俺だから分かる…明確な意図に基づく行動であると。
いつもお弁当を渡してくれる時間になっても、なかなか近づいてきてくれない事でそれは確信に変わった。
何で避けられる…?俺、何かしたのか……?

「お、おい!蓮、顔を戻せよ!おっかなすぎるってお前!!」

顔を青ざめさせた社に注意されようが、別に怖い顔しているつもりもない。
結局、松島店長から『頭を冷やしてこい』と追い出されてしまった。

「蓮!お昼休憩になったの?お弁当作ってきたのよ!」

『ついでにゴミ捨て行っとけ』と言われ、裏口から出ると瑠璃子が待っていた。

「良かったら、一緒に食べましょう!いい休憩所見つけたのよ?」
「…昨日言ったはずだけど?もう別れたはずだと。」
「だったら、もう一度仲のいいお友達から始めてよ。バイト仲間の作った弁当は食べられるのなら、お友達のお弁当も食べれるでしょ?」
「…何でそれを。」
「昨日あの後話したからよ。」

これで避けられる納得がいった。
昨日のうちに結局「別れた」と訂正できなかったから、瑠璃子の言う事をそのまま信じた彼女は近づこうとしなかったんだ。

「悪いけど、二度とここには近づかないでくれ。」
「何でよ!私蓮の事大好きなのに…っ!!」
「愛情の押し売りはごめんなんだ。」

裏口のドアをバタンと力強く閉めると、最上さんがいるはずの休憩室へとむかった。
休憩所のドアも乱暴に開けると、最上さんが音にびっくりしたのか体を跳ねさせてこちらを振り返った。

「きゃっ…なんだ、敦賀くんだったのね。びっくりしたぁ…」

少しぎこちなく笑う最上さんが遠く感じられて、ぐっと肩を掴む。

「瑠璃子が何言ったんですか?あいつ口が悪い時があって…」
「…別に何もないわよ?彼女も不安なのよ、敦賀くん。女の子を不安にさせちゃ駄目じゃないの。」

最上さんは笑ってみせるが、その顔はあの日公園で見た作り物の笑顔…絶対に何か最上さんの心に引っ掛かる事があったはず。
引き寄せて力一杯抱き締めた。

「最上さん、俺に嘘はつかないでください。…迷惑なんて思わないって、言ったじゃないですか…」
「………いいのよ、別に。可愛くないし、色気もないのは自分でもわかってるから。…ただ少しあいつに言われた事を思い出しただけ。」

……またあいつ…『ショータロー』なんだ…
最上さんは誰が見たって可愛いのに、あの人の言葉にいつまでも縛られてほしくない。
瑠璃子も何でそんな事を彼女に言うんだ…!
結局最上さんの休憩時間が終わるまで、俺はずっとそのまま彼女を離す事が出来なかった。



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うあーん、やっと書けた………!
しかし瑠璃子の事訂正させていない大バカ者。
入れられなかったの…、ああもーっ!
今夜は気分転換にラブレボでも書きたいな。