「……………敦賀さん?」

いつもの破廉恥行為が始まるのかと思っていたら、敦賀さんは鼻先にちゅっと軽くキスをして離れてしまった。
……何で?

「無理しなくていいよ?怖いんでしょ…?」
「そんな事っ」
「ううん。身体、震えてる……」

自分では気が付いていなかったけど、敦賀さんの背中に回した手を離して見てみれば、確かに震えていた。

「無理しないで?こういう事は、二人で楽しめなかったら意味がないから……」

その言葉が胸に刺さった。
私は…ソウイウコトも楽しむ余裕のないお子ちゃまだから……

「……わっ!?き、キョーコ!泣かないで……
怖かったんだよね、ごめんね……っ」

気付いたらボロボロと涙が零れていた。

「わ、私…こどもだから、敦賀さんに飽きられちゃうんじゃ、ないかって…」
「飽きる?とんでもない!一生そんな時は来ないね!一体どうしてそんな事思ったの?」

私は少し躊躇ったけど、最近よく聞く噂と、先日の立ち聞きの内容を話した。

「………………。なんでそんな噂が…。
そういう話してる子達には悪いけど、お誘いがあっても断ってるし、キョーコがいるんだからまず俺から誘う事はないよ?スケジュールも詰まってるから、何なら社さんに裏取ってもらってもいい。」

「今週の火曜日は…実はテンさんの所に行っていたんだ。そろそろ髪を切ってもらわないといけなかったからね?(本当は染めてもらってたんだけど……)」
「…………そうだったんですね。」

なんだ、私のつまらない勘違いだったのね…
苦しかった胸の内が、少しだけ軽くなった。

「キョーコが嫉妬やいてくれるのは嬉しいけど、今回は悲しませちゃったね…ごめん。」

敦賀さんはちゅっとおでこにキスしてくれた。

「すみません、私が勝手に勘違いしただけですから…
だから、その…続き……」
「ん?それはいいよ。また今度ね?」
「えっ!?でもそれじゃ…」
「いいんだ。俺はキョーコの気持ちが追い付くまで待つよ?
今日はキョーコがヤキモチ妬いてくれる程、俺の事好きってわかったんだし…だから今はこれで十分。」

そう言って、敦賀さんは唇に触れるだけのキスをした。

「さて、と。そう言えばキョーコが用意してくれたご飯、完全に冷めてるよね?あたため直して食べようか?」

敦賀さんはベッドから立ち上がると、そのまま寝室を後にした。
…いつも気を遣ってくれる敦賀さん。
私はいつになったら『大人』になれるのかな?

(あんまり待たせないようにはしますから………ありがとうございます)

心の中でお礼を述べて、私も寝室を後にした。



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こうして敦賀氏は、自ら生殺しの険しい道へと進んで行くのでした☆
おほほ。
こんなの、天然危険物の軽いジャブなのにねー!←問題発言w

おまけのつるがびじょんをお昼に公開。
付け足し程度なので、20,5話といたします。