次の仕事に到着して鞄の中身を確認した時、ハンカチがない事に気付いた。
…あの子と会った時かな?
移動中かもしれないけど、電話をかけてみた。

「はい、最上です。」
「俺だけど。今大丈夫かな?」
「はい、大丈夫ですよ。」

人の多いところを移動中みたいだ。
時々、他の人の声が近付いては遠ざかる。

「お昼に部室にお邪魔した時、俺ハンカチを落としてきちゃったかな?」
「あ。やっぱり敦賀さんのですよね?私が持ってますよ?」
「良かった。最上さんは明日仕事は?」
「明日はテレジャパで21時までです。」
「そしたら明日会えるかな?ちょうどその時間くらいに俺も仕事が終わるんだ。迎えに行くよ。」
「お迎えなんていいですよ!私が向います…」
「たまたま近くで仕事なんだ。俺が行った方が早いし…ね?」
「…わかりました。お願いします。」

たまたま上がりの早い明日。
約束を取り付けることに成功した。
いつも御馳走になってばかりだから、たまには一緒に外食とかどうだろう。
彼女の好きそうなお店を探しておこう。


それは、想いが募る魔法。

その約束ひとつで、気持ちがどんどん膨らんでいく。


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いちおうハンカチ置き去り事件は故意ではないことに。
恋する乙女は時に打算も必要ですが、乙女な蓮には必要ないかと。
きょこも天然だし、天然乙女カップル?