はい!素敵研究員様方が集まる中、糖度上げがいまいち成功してないマックです。
大丈夫、私?
糖度に必要なメロとキュンをつかまえる為に、二作目も書いてしまいました。

またも駄文なんですけど…しかも今回、邪道もいいところ!

ついにタイトルに桜も花も入らなかったYO!

何してるの、私…!

毎度お目汚しでごめんなさい。

ラブコラボ研究所についての詳細は、所長様のこちら のページにてご説明いただいております。



゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚春色のおうち。 ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

「……よし、これで完成ね!」

夕飯の支度を終えて、お気に入りの白いフリルのエプロンを外した。
今夜のメニューはいつもと同じ、あっさりを心掛けた和食。
だけど、いつもとちょっとだけ違う。
久遠は気付いてくれるかしら?
その時、玄関のドアが開く音がした。

「久遠っ、お帰りなさい…!」
「ただいまキョーコ。愛してるよ。」

久しぶりに早く帰ってきたのが嬉しくて玄関までぱたぱたと走って出迎えに行くと、神々スマイル全開の久遠がぎゅっと抱き締めてキスを落としてくれた。

「…あれ?キョーコ、今日はいつもと香りが違うね。」
「ふふっ、よく気が付いたわね。今夜は昨日届いたモー子さんからの桜の入浴剤を使ったのよ。」
「あぁ!あの入浴剤か…今年も日本は桜が満開だったのかな?」

今も母国でトップ女優として活躍する親友たちの顔が浮かぶ。

私は1年遅れの高校卒業と同時に、活動の拠点をアメリカに移した。
久遠はその時既に素性を公表して『久遠=ヒズリ』としても『敦賀蓮』としても活動していた。
もちろん今でも求められれば、どちらの名前ででも作品に出演している。
クライアントの要望に出来る限り応える…
真摯な彼の姿は、昔彼をバカにしたというハリウッドの中でも好感を持たれ、スポンサーに惚れられて日々忙しく仕事をこなしている。

(おかげで新婚らしい事、ほとんど出来てないんだけどね…)

だけど、久遠の楽しそうな姿を見てると、本当にここに戻ってきて成功する事が出来て良かったんだなぁと実感する。

(私も頑張って追いつかなきゃね!)

私も仕事が軌道に乗り、一先ずは途切れる事なく依頼が来るようになったけど。
久遠に比べたらまだまだだと思うわ。
(久遠に言ったら、「きみは相変わらず自分を卑下する」って怒られちゃうけど)
久遠のように、賞にノミネートされたりするにはまだまだ遠い。
実力がものを言う世界、いつかは世界のトップ女優になりたい。
もっと久遠を見習って頑張らなくちゃね。

「キョーコはもうお風呂入っちゃったの?」
「ええ。今日は走るシーンのリテイクが何度もあって、汗かいちゃったの。」

日本ならば春らしい柔らかな日差しの下、ぽかぽかのんびりとお昼寝が出来るだろう。
しかしここはロサンゼルス郊外。
既に日差しは夏のようにジリリと照りつける。
そんな中でのリテイクは、あっという間に肌をべたつかせた。

「そう、それは残念……折角ならキョーコと一緒に入りたかったな。」

耳元で艶のある声が私を誘惑する。

「んっ…もう、ダメですって。だって久遠と入ると、ただのお風呂で済まないんだもの……」

流石に何度も経験すると、学習能力が働く。
今夜はどうしても食卓を見てほしいから、その手には乗らない。

「今夜は食卓も特別なのよ?モー子さんと天宮さん、マリアちゃんが贈ってくれた桜の食器を使ってるの!
テーブルクロスも綺麗なのよ、みんな本当にセンスがいいんだからっ!」

そう。今夜の食卓は特別使用。
お花見が出来ない私たちの為に、みんなが「お花見気分が少しでも味わえるように」とプレゼントしてくれた桜の食器セットを使っているのだ。
中でも一番のお気に入りは桜の花びらの形をした箸置き。
夫婦揃いのお箸を置くと、本当に好きな人と結ばれる事が出来て幸せだなぁって実感するの。
些細すぎるかもしれないけど、すれ違いも多いこの業界。
一緒の時間にご飯を食べられる事も少ないから、こんな事でも幸せを感じられる。

「俺はあの夫婦茶わんが一緒に使えるの、楽しみだったんだ。」
「でしょう?筍ご飯も炊いたのよ。早くご飯にしましょうね。」
「で、デザートはキョーコでいいんでしょ…?」

リビングへと進もうとする手を絡めとられ、きゅっと恋人繋ぎされる。

「もうっ、久遠ってば………そういう事でいいですよ……」
「ありがとう、キョーコ。じゃあ今夜は日本にいた時みたいに『敦賀さん』って呼んでもらおうかな?」

久遠の今の姿は『敦賀蓮』としての出演の為に、黒髪にカラーコンタクトを付けて、日本にいた頃の彼そのものだ。

いたずらっ子のようにニッと笑う久遠。
私もつられて笑ってしまう。

「じゃあまずはお風呂に入って疲れを流してきてくださいね、『敦賀さん』。」
「ありがとう、『最上さん』。」

2人でクスクス笑いながら、玄関の鍵を締め、桜の香りと春の雰囲気漂う室内へと入っていった。



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もうホント邪道でごめんなさいーっ!(土下座のち逃走っ!)


今回の世界観、実は以前書いたSSの数年後だったり…ごにょごにょ。
「続かないの?」と聞いてくださっていたさき様、こんな形で実現いたしました☆

あの時おっしゃっていただかなければこのネタはなかったです。

ありがとうございました。

ちなみに今度こそ本当に続きません!もう無理でし。