以前、翠蓮様の所でリクエストを募集されていたのを「これは!!!」と思い、おねだりに行ったところ…
素敵なお話をいただけてしまいましたー!!
超甘々です、最高です!マックほくほくです!
自分ちで甘いの書けないので、人さまの文で糖度上げです!(だめじゃん!!)
ポケット機能がなくなるとのことなので、我が家でもアップさせていただきます。
Step and Go
「うーーーっ」
手帳を開き、キョーコは渋面な表情でそのページを睨みつけながら唸り声を上げていた。
時は1月末。後数日で、2月になろうとしてた。
キョーコには付き合って3年になる大切な大切な恋人がいる。
ずっと、愛される事に憧れながら、愛される事のなかった。信じていた幼馴染に裏切られた事で愛する事すべて諦めてしまったキョーコをずっと見守ってくれていた人。
大切な恋人の名前は“敦賀 蓮”。日本を代表する若手トップ俳優だ。
4年前、ハリウッドに進出した彼は今や世界に名を知れる俳優に成長していた。
忙しさも前より忙しくなっているにもかかわらず、事ある毎にキョーコとの時間を作ってくれている。それは付き合って3年経った今でも変わらなかった。記念日には必ずスケジュールを空けて、キョーコと一緒にいてくれるのだ。
2月はそんな彼の大切な誕生日がある。
もう半年も前からずっと、何を贈ろうかと考えていたのだけど・・・後幾日もないというのに、プレゼントが決まっていなかった。
このところ、キョーコは手帳を開いてはため息をついていた。
蓮の誕生日まで、時間はない。
付き合う前から、キョーコはこの日にいつも頭を悩ませていた。
生まれながらのセレブであり、トップ俳優である蓮のギャラは半端なく高く欲しいものは何でも自分で買えてしまうのだから。
あげるからには喜んでもらいたいと思うのは人の常だ。
プレゼントが決まらないキョーコは、今年とうとう蓮本人に欲しいものは何かと聞いてみたのだが・・・蓮から返って来た答えに脱力して、さらに敦賀の坩堝に嵌ってしまった。
その答えとは・・・
『俺の誕生日に、キョーコの手料理を食べて、そしてキョーコが笑っていてくれていたらそれだけで俺は嬉しいよ』
と数年前と同じ答えが返って来たのだ。
相変わらず、恥かしげもなくの給う蓮に嬉しく感じながらも、それではキョーコの気が治まらないのだ。
ふと、キョーコの視線がある雑誌に止まった。
その雑誌の表紙には、ウエディングドレスを身に纏ったモデルが晴れやかに笑っていた。
その雑誌を目にしたキョーコはある事を思い出した。
2年前、キョーコは蓮からプロポーズを受けていた。
それを嬉しく思いつつも、今だ自分に自信のなかったキョーコは蓮に保留にさせて欲しいと頼んだ。
そんなキョーコに、蓮は「仕方ないね」と笑ってキョーコの成長を待ってくれると約束してくれたのだ。
あれから、2年。
キョーコは早く蓮に追いつこうと頑張って来た。その甲斐あって、キョーコは蓮の隣に追いつくまでには行かなくともその足元には追いつく事が出来たと思う。
「・・・・そうだ・・・でも・・・・」
蓮のプレゼントを思いついたキョーコだったが、それが本当に蓮が喜んでくれるのか不安になってしまった。
キョーコが思いついたプレゼント。それはキョーコからの逆プロポーズだった。
愛する事を諦めたキョーコに、根気強く愛する事を愛される事の意味を教えてくれた。そして、想いが通じた今もまた、自分を大切にしてくれる。そんな蓮にキョーコはどうしても何かしてあげたかった。
だが、蓮がキョーコにプロポーズしてくれたのは2年も前の事だ。今も変わらず自分を大切にしれくれる蓮だったが、今も自分と結婚する意志があるのかキョーコには全然自信がなかった。
だが、それでも今の自分に出来る出来るのはこれ位なのだからとキョーコは自分を奮い立たせそのために必要な事は何かと調べ始めたのだった。
そして、決戦の日。
キョーコは前々からスケジュールを調整していた。早々に仕事を終えたキョーコは蓮の部屋へと戻り今日の日のために考えたメニューを作りながらも、用意したプレゼントが気になってしかたなかった。
それでも、蓮のためのメニューを作る手を緩める事はない。
「お帰りなさい!」
「ただ今、キョーコ。美味しそうな匂いがするね」
「ふふふ。腕によりを掛けましたから!」
「それは楽しみだ。それに、その服もすごく似合うよ」
「本当ですか?」
「うん。(まるでウエディングドレスみたいだ)」
「えへへ///」
キョーコが着ているのはオフホワイトのワンピースだった。ミニを好むキョーコには珍しく、ロングフレアのそれはまるでウエディングドレスの様に蓮には見えた。
「さ、まずはお風呂に入ってきてください。寒かったでしょう?」
「うん」
仕事から帰って来た蓮を出迎え、玄関先で帰宅のキスとコートと荷物を受け取ったキョーコは蓮を浴室へと押し込むと、料理の仕上げをするために急いでキッチンへと戻っていった。
「Happy Brihtday!久遠さん!!」
「ありがとう、キョーコ。すごく美味しそうだ。大変だっただろう?」
「楽しかったですから!さ、冷めない内にどうぞ」
「うん、頂きます」
「はい」
一通りキョーコの料理を堪能した後、これまたキョーコ手製の小さなケーキを二人で分け合いながら、ささやかだが幸せな時間を過ごした。
キョーコの用意した酒を飲みながら、リラックスしている蓮とは対照的にキョーコの緊張はピークに達していた。
だが、いつまでもプレゼントを渡さない訳にもいかず・・・キョーコは意を決して口を開いた。
「久遠さん、今年のプレゼントなんですが・・・・」
「うん、何をくれるの?」
キョーコからのプレゼントなら、どんなものでも嬉しい蓮はニコニコと笑いながら首を傾げている。
「えっと・・・これなんですが・・・」
「・・・開けてもいい?」
「うっ・・・・はい・・・」
キョーコから手渡された、一応綺麗にラッピングはしてあるが箱に入っているわけではなく封筒だった。
書籍か何かだろうかとラッピングを開け、中身を見た蓮は中に入っていたものを見て目を見開いた。
「・・・キョーコ・・・これ・・・・」
「・・・あの・・・2年前のプ、プロポーズ・・・まだ、有効ですか?」
「当たり前じゃないか」
「な、なら・・・えっと・・・それ、受け取って頂けますか?」
「・・・いいの?」
「はい。・・・私を久遠さんのお嫁さんに・・・して下さ・・」
キョーコの決死のプロポーズは最後まで言うことは出来なかった。何故なら、蓮によって唇を塞がれてしまったから。
「ありがとう、キョーコ・・・さいっこうのプレゼントだ。こんな嬉しいプレゼント、産まれて初めてだよ」
「それは、私の台詞です・・・久遠さん・・・ずっと、待っていてくれてありがとうございます・・・」
「幸せにするよ、キョーコ。だから、キョーコも俺を幸せにして?ずっと、一緒にいよう」
「はい・・・はい・・・」
「あ、そうだ。ちょっと、待ってて!」
思い立った蓮は、キョーコをその場に残し急いで書斎へと入っていくとすぐに戻って来た。
「改めて、最上キョーコさん。俺と結婚して下さい」
「あ・・・」
ソファーに座るキョーコの前に跪く蓮の手には、2年前キョーコに渡そうとした婚約指輪が2年前同様の輝きを放っていた。否、以前より数倍綺麗な輝きに見えたのはキョーコの心の変化だろう。
「・・・はい、喜んで!」
「愛してるよ、キョーコ。あの時よりもずっと」
「私も、愛しています・・・」
どちらともなく重なるキスは、どんなキスより甘く厳粛なものに蓮もキョーコも感じた。
キョーコのプレゼント、それは国際結婚に必要なキョーコの書類一式だった。
その意図は、『私と結婚してください』以外のなにものでもなかった。
FIN
翠蓮様本当にありがとうございます!!
マックほくほくです!(2回目)
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