6月とは言え、夜明けの空気は少し肌寒い。
…ううん、だぼだぼのパジャマの上1枚だから肌寒く感じるのかもしれない。
いつもならまだベッドと夢の中にいる時間。
だけど今日は少し早く目が醒めたし、朝日を見ておきたかった。
そっと窓際へ近づいてカーテンを開ける。
まだベッドの上の人を起こさないように、音を立てずに窓を開けた。
…ひんやりとした風が、朝露のいい香り達を運んでくる。
「……ん、キョーコ。もう起きたの……?」
「久遠。ごめんなさい、起こしちゃったかしら?」
「いいよ、キョーコが起きるなら俺も起きる。」
起き上がった久遠は、ベッドの下に落としてあったパジャマのズボンをさっと履くと、そのまま窓の方へと来てくれた。
「今日の朝日を見ておきたくなったの…」
「そっか。今日は特別な日だもんね………」
そっと後ろから抱き締めてくれる。
私は安心して彼に身を預けた。
「そう言えば、昨日また高遠杏子に会いに行ってたんだって?」
「…え!どうしてそれを………」
「早野さんからメールが来たよ。『君の奥さんは無防備全開だ』ってさ。……何を話したの?」
「別に世間話…ぁんっ!もぅっ、今はダメっ!」
人の身体の上で不穏な動きを始める手を、あわてて制す。
「君は人を煽るのが得意だからね…いっそこの胸元に、シルシを付けていこうか?」
「ダメです。せっかくのドレスが台無しになるじゃないですか。
モー子さんが選んでくれたドレスなんですよ?絶対一番良いコンディションで着たいじゃないですか!」
『私はそんなの絶対に付き合わないわよ!!』って言いながらも、試着に付いてきてくれたモー子さん。
モー子さんが選んでくれたドレスは、形はシンプルなAラインのビスチェタイプ。
だけど、胸元から3mあるトレーンにまで全体に、レースとビジューが豪華にあしらわれていて、日光を浴びるだけでもとても輝いていた。
「確かにあのドレスはキョーコを一番よく輝かせるけどね…(絶対に琴南さん、俺をがっつかせない為にあれを選んだな…)」
「?何か言いましたか??」
「いや…俺のシルシを付けられれば、今日は全国に『俺のキョーコ』って見せ付けられるのになぁって」
「い・や。」
「……なかなか言うようになったよね、キョーコも。」
クスクス笑いながら、2人でそのままじゃれあう。
「そう言えば、どうして昨日は高遠杏子に会いに行ったの?」
「…うーん。何となく?
私も高遠さんの気持ち、少しはわからなくはないから…かしら?」
「どういう事?」
「私も高遠さんと同じで、ずっと愛に飢えてたわ。
もしかして、一歩間違えていたら、私が彼女だったかもしれないもの…だから、ほおっておけないの。」
「キョーコは道を間違う事はないよ!君はどんな環境でも『最上キョーコ』であり続けただろう?」
久遠は慌てて私の身体をぎゅっと抱き締める。
「それはわからないわよ。私はあなたに出会えたから…愛を知ることができたわ。
だから、いつか彼女を理解して愛してくれる人が現われるまで、私は高遠さんに会いに行くつもり。」
ぎゅっと久遠を抱き締め返すと、上から艶のあるため息が聞こえた。
「…全く。キョーコは言いだしたら聞かないもんな。
………じゃあ、今日は日本中にキョーコが知った愛を教えてあげて?
俺も、キョーコに教えてもらった愛をたくさん配るから。」
「ふふっ、いいですよ。望むところです…」
お互いのおでこをこつんとぶつけて、鼻先をすり合わせる。
日の光が差しはじめた部屋の窓際で、私たちはいつまでもくすくすと笑いあっていた。
************
“スウィート・スウィート”
それは、砂糖菓子より甘い1日。
…ううん、だぼだぼのパジャマの上1枚だから肌寒く感じるのかもしれない。
いつもならまだベッドと夢の中にいる時間。
だけど今日は少し早く目が醒めたし、朝日を見ておきたかった。
そっと窓際へ近づいてカーテンを開ける。
まだベッドの上の人を起こさないように、音を立てずに窓を開けた。
…ひんやりとした風が、朝露のいい香り達を運んでくる。
「……ん、キョーコ。もう起きたの……?」
「久遠。ごめんなさい、起こしちゃったかしら?」
「いいよ、キョーコが起きるなら俺も起きる。」
起き上がった久遠は、ベッドの下に落としてあったパジャマのズボンをさっと履くと、そのまま窓の方へと来てくれた。
「今日の朝日を見ておきたくなったの…」
「そっか。今日は特別な日だもんね………」
そっと後ろから抱き締めてくれる。
私は安心して彼に身を預けた。
「そう言えば、昨日また高遠杏子に会いに行ってたんだって?」
「…え!どうしてそれを………」
「早野さんからメールが来たよ。『君の奥さんは無防備全開だ』ってさ。……何を話したの?」
「別に世間話…ぁんっ!もぅっ、今はダメっ!」
人の身体の上で不穏な動きを始める手を、あわてて制す。
「君は人を煽るのが得意だからね…いっそこの胸元に、シルシを付けていこうか?」
「ダメです。せっかくのドレスが台無しになるじゃないですか。
モー子さんが選んでくれたドレスなんですよ?絶対一番良いコンディションで着たいじゃないですか!」
『私はそんなの絶対に付き合わないわよ!!』って言いながらも、試着に付いてきてくれたモー子さん。
モー子さんが選んでくれたドレスは、形はシンプルなAラインのビスチェタイプ。
だけど、胸元から3mあるトレーンにまで全体に、レースとビジューが豪華にあしらわれていて、日光を浴びるだけでもとても輝いていた。
「確かにあのドレスはキョーコを一番よく輝かせるけどね…(絶対に琴南さん、俺をがっつかせない為にあれを選んだな…)」
「?何か言いましたか??」
「いや…俺のシルシを付けられれば、今日は全国に『俺のキョーコ』って見せ付けられるのになぁって」
「い・や。」
「……なかなか言うようになったよね、キョーコも。」
クスクス笑いながら、2人でそのままじゃれあう。
「そう言えば、どうして昨日は高遠杏子に会いに行ったの?」
「…うーん。何となく?
私も高遠さんの気持ち、少しはわからなくはないから…かしら?」
「どういう事?」
「私も高遠さんと同じで、ずっと愛に飢えてたわ。
もしかして、一歩間違えていたら、私が彼女だったかもしれないもの…だから、ほおっておけないの。」
「キョーコは道を間違う事はないよ!君はどんな環境でも『最上キョーコ』であり続けただろう?」
久遠は慌てて私の身体をぎゅっと抱き締める。
「それはわからないわよ。私はあなたに出会えたから…愛を知ることができたわ。
だから、いつか彼女を理解して愛してくれる人が現われるまで、私は高遠さんに会いに行くつもり。」
ぎゅっと久遠を抱き締め返すと、上から艶のあるため息が聞こえた。
「…全く。キョーコは言いだしたら聞かないもんな。
………じゃあ、今日は日本中にキョーコが知った愛を教えてあげて?
俺も、キョーコに教えてもらった愛をたくさん配るから。」
「ふふっ、いいですよ。望むところです…」
お互いのおでこをこつんとぶつけて、鼻先をすり合わせる。
日の光が差しはじめた部屋の窓際で、私たちはいつまでもくすくすと笑いあっていた。
************
“スウィート・スウィート”
それは、砂糖菓子より甘い1日。