敦賀さんに連れてこられたのは、社長さんのご自宅ではなく、敦賀さんのマンションだった。

途中で突然路肩に車を停めて、電話をかけた敦賀さん。

どこにかけてるのかしら…なんて思っていたら、電話の向こうで何かを怒鳴っている社長さんと社さんの声が聞こえていた。


(なんでこのタイミングで、敦賀さんと二人っきりにならなきゃいけないの…)


車から降りるとそのまま手を引かれ、最上階にある敦賀さんの部屋までそのまま連行される。
その間も敦賀さんはずっと無言だった。


今日たった1日にいろんな事がありすぎた。

朝は早野さんのお家で目が覚めて。

いきなりマスコミの方々に囲まれた。
あ。そういえば早野さんに告白されてた…返事どうしよう。

撮影スタジオではガールズトークの餌食にもなったわね。

ヘトヘトで仕事がやっと終われたと思ったら、高遠さんが来て…


(もう、疲れた………)


昨日に戻れないかな?

戻れないなら、いっそ全部忘れてしまいたい…

私の心は限界を迎えようとしていた。


「…無理やり連れてきてゴメン。」


リビングまで入った所で、ようやく手を解放された。


「どうしても、最上さんと話したい事があったんだ。」

「…私にはお話しすることなどありません…」


嘘だ。日付はもう変わってる。

本当なら今日の為に社さんに頼んだ物をお渡ししたい。

そして聞きたい事は山ほどある。

だけど…もうどうしたらいいのかわからない。


「………敦賀さんが、コーン…だったんですか。」


私はひとまず一番気になった事を聞くことにした。


「………そうだよ。ゴメン………」


敦賀さんは、そっと目を閉じ、私に向かって頭を下げた。

そんな仕草でも優雅に見えてしまうなんて、やっぱりずるい人ね。


「それは、何に対してのゴメン、なんですか…?」

「………。妖精の王子様じゃなくて、ゴメン。」


敦賀さんは頭を下げたままだった。




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杏子のせいでコーンネタを出す羽目になり、ただ今苦しんでおります(汗)

あぁ、暴走させすぎると危険…!

でももうあと2・3話で終わるはずなの…!

頑張れ私!