ビターは終わっていませんが!
アメンバー様が次のキリ番を迎えそうなので、慌ててリクエスト消化に走っておりますです!!
あぁ、アウトプットする時間が足りない…1日が48時間あればいいのに。

こちらはアメンバ50番目を踏まれました柑様よりいただいたリクエストでございます。
『蓮(久遠)とキョーコの子供が出てくるような話を読んでみたいです!
現在の蓮orキョーコの夢に出てくるという感じでも大丈夫です。』
さらに「蓮目線で」と目線の指定までさせてしまいましたマック!
そこまで強請ってこの出来…あれあれ?
とにかくどうぞ!


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚  俺がこの手で壊すもの。  ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



「ぱぱー。おっきしてー?」

……小さな手がゆさゆさと俺を揺さぶっている。
温かな食事の匂いがふんわりとこのリビングまで漂ってきている。
あぁ、こういうのを幸せっていうんだなぁ。
自然と口元がゆるむ。

……………は?
何で小さい手!?!?!?
思わずガバリと勢いよく飛び起きた。

「あ、ぱぱおっきしたー。」

小さな女の子が俺の事を覗き込んでいた。
茶色いの長い髪が、かわいらしいピンクのガーベラの髪飾りでふたつに結わえられている。
まだ2・3歳くらいと言ったところだろうか…

……………。

ちょっと待て。
どうして自分の部屋にこの子はいるのだろうか。
落ち着いて考えてみよう。
今日は最上さんに夕食を作ってもらう約束をして(というと恋人っぽくて聞こえはいいが、単にラブミー部に依頼を出しただけ)。
「時間が少しかかりますので、お好きな事をされて待っていてくださいね」と言う言葉に甘えて、次のドラマの台本を読んでいたはず…。
10ページ20ページと延々続くセリフが多いのが、このドラマの特徴であり、また見せ場でもあるのだ。
さすがに一度で覚えられたかどうか不安で、読み直していた…その台本は?
自分の掛けているソファの下を見やると、台本が2冊落ちている。

「ままがね、ごはんがもうちょっとでできるから、ぱぱを起こしてあげてねっていわれたの。」

女の子はソファによいしょとよじ登ってくると、俺の膝にちょこんと座った。

「はれん、ちゃんとお手伝いできた?」

…お手伝いも何も、俺は思考停止中だ。
できればこの状況を理解する事をお手伝いしてもらいたい。

「えっと…はれんちゃん?はれんちゃんのお家はどこ?ママは?」
「? ぱぱまだおねんねしてるの?はれんのお家はここだよ?ままはお台所だよ???」

ここがはれんちゃんのお家?だってここは俺の家…
と考えた所ではたと気がついた。
室内の雰囲気が違う。
家具の位置が変わっていたり、カラフルなおもちゃ達が覗いているシンプルな木箱があったり。
今までのただ広くて生活感のない俺の部屋が、「家庭的」な雰囲気を醸し出している。
これは一体どういうことなのだろうか?

「ぱぱ?大丈夫??」

はれんちゃんが心配そうにのぞきこんでくる。
その時、廊下から続くドアが開いて、優しい声が聞こえてきた。

「はれん、パパ起きたかしら?」
「まま!ちゃんとぱぱおっきしたよー!」

はれんちゃんは嬉しそうに声の主の方へと駆けて行った。
俺は後ろを振り返ってびっくりした。
ママと呼ばれていたのは最上さんだったからだ。
だけど、長く伸ばされた髪と女性らしい体のラインが、見慣れた最上さんとは違う。
そもそも今日の彼女は、あの目に痛いピンクのラブミーユニフォームを着ていたはず…

「も、最上さん?」
「?どうしたの、久遠?もしかして昔の夢でも見て、寝ぼけてる?」
「!?どうして俺の名前…っ」
「どうしてって…夫の名前を呼ぶのは普通の事じゃないの???」

………。夫!?
俺が最上さんの…夫!?!?
…あぁ、ついに俺の妄想もそこまで逝ってしまったか…(笑)

「ぱぱどうしたの?」
「うーん、パパはちょっとお疲れみたいね。心配してくれてありがとうね、はれん。」

目の前では最上さんがはれんちゃんを抱っこしながら、にこにこしながら話をしている。
はれんちゃんはよく見てみると、昔の最上さんにそっくりだ。
…なんて微笑ましい光景なんだろう。
最上さんを好きだと自覚してから、ずっと憧れていた光景がここにある。夢なら醒めないでほしい。

「さぁさ、ご飯が冷めちゃうから早くダイニングに来てちょうだいね。はれんはパパと一緒に手を洗ってきてね。」
「はーい、まま。」

ぼぉっと二人を見ていると、最上さんははれんちゃんを下ろしてリビングを出て行った。
はれんちゃんは俺の方にとことこと寄ってきて、そっと手を繋いでくれる。

「ぱぱ、ままのこと好き?」
「…うん。もちろんだよ。」

先輩後輩という壁を怖くて崩せないでいる程、最上さんの事は大好きだ。
…大好きなんて言葉じゃ足りないくらい、思っている。

「じゃぁね、ぱぱ。いい事教えてあげる。
…ままもね、ぱぱのことずっと大好きなんだよ?」

あぁ、それが本当の事ならいいのに。

「本当だよ?ぱぱがまだ『最上さん』って苗字で呼んでた頃からずっとぱぱのこと好きなんだよ?」

…?どういうことだ?
はれんちゃんは俺が言葉にしていない事も答えてくれる…?

「ままはレンアイするのが怖いの。だけどぱぱの事は大好きだから。
…だからままに伝えて、「ままの事大好きだよ」って。
そしたらはれんは、ぱぱとままのところに生まれてこれるから。
ぱぱもままも大好きよ…がんばってね。」

はれんちゃんはそう言うと、俺の首に腕をまわしてきゅっと抱きついてきた。
温かくて優しいぬくもりを、そっと抱き返す。
陽だまりのような柔らかい匂いがした。





「………さん、敦賀さん! 離してください~~~~~っ!!」



柔らかな温もりがじたばた暴れて、ふっと意識が浮上した。
目を開けてみれば、抱き締めていたはずのはれんちゃんは居らず、代わりに抱き締めていたのは顔を真っ赤にさせた最上さんだった。

「敦賀さ~んっ、まだ寝惚けてるんですか!早く離してくださいっ」
「……っ!?ご、ごめん……」

慌てて最上さんを拘束していた手を離すと、勢いよく後ろへ飛びのいていった。
ショッキングピンクのつなぎと赤い顔、明るい栗色の髪が不思議なコントラストを描いている。

「もぉっ…敦賀セラピーに騙されちゃうとダメだわ…」

ぼそりと彼女が何かを呟く。

「?何、最上さん?」
「なっ、何でもないです!ご飯できたので呼びに来たんですっ!早くしないと冷めちゃいますよ!」

彼女はそわそわと落ち着かない様子で、俺をダイニングへと急かそうとする。

『ぱぱのこと大好きだから』

真っ赤な最上さんの顔を見て、はれんちゃんの言葉が頭の中でよみがえる。

顔を真っ赤にさせる最上さんは可愛い…俺のことを意識してくれているのかな。
はれんちゃんの言葉が真実味を帯びてくる。

『がんばってね。』

今、俺が頑張って勇気を出せば、はれんちゃんのいるあの未来は現実になる………?

「待って最上さん!聞いてほしい事があるんだ…」

幸せがほしいなら、先輩後輩でしかない今の関係を壊そう。
そして、君と二人で新しい関係を築こう。


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何とかまとまった………?(冷や汗)
柑様どうもありがとうございました!

そしてただ今レオママ様のリクエストその2をかきかき…
す、砂吐けない!
またただのヘタ蓮になりかけてる!
もう少々お待ちくださいっ!