2013年12月 * 拍手設置(加筆なし)


**原作沿い設定作品


※シリアス系・オリキャラ有・途中大人表現有(限定記事入ります)

特にオリキャラが蓮に絡むのが嫌いな方はご注意くださいませ。





゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚






「はい、コレ。」

想いを自覚してからも[仲のいい先輩後輩]を貫いてきた人から、綺麗な小さな包みを差し出された。

………この人は一体何を考えているのだろうか。
想い人の『キョーコ』さんはどうなったのだろうか。

昨日の番組内容を知っていただけに、素直に受け取る事が出来なかった。

「敦賀さん、本命以外にもチョコあげてたらキリがないですよ?不出来な後輩なんて…」
「そろそろ回りくどいアプローチはやめにしたんだ。最上さん、これが俺の気持ちだよ?」

そっと私の手を取り、包みを乗せようとする敦賀さん。
こんな動作まで優雅に見えるなんて、どういう事かしら?

「…私は受け取る事が出来ません。」

すっと手を引っ込めると、敦賀さんに手首を捕まれた。

「…何故?…理由は聞いても…」
「私はもう…愛なんて必要ないんです。」

敦賀さんとは一度、愛について話す機会があった。
雑誌の対談の為の下準備的な話し合いだったのだが、その時私は『愛したところで愛してもらえるなんて思ってない』と答えた。
ショータローから受けた傷は深いねと、先輩はその時寂しそうに笑うだけだった。

「俺は不破のように君を捨てたりなんかしないよ?俺の事も信用できない?」
「……………」

信用できないとかの前に、私は『キョーコ』さんの代わりなのかしら?
でも代わりじゃなく、本当に愛してもらえたら…

色々ぐるぐる考えているうちに、敦賀さんはそんな私に宣言した。


「じゃあ、最上さん。俺は今日から毎日君に『愛してる』って言うよ。君が俺を信じてくれるまで、毎日かならず。信じてもいいと思える日がきたら、その時これを受け取ってくれたらいい。」
「えっ…」

思ってもない方向に敦賀さんの話が完結しそうで、顔を上げると敦賀さんの顔が目の前にあった。
いつもより艶のある瞳に、その真剣さに動きを封じられる。

ふいにすっと近づく顔、唇同士が触れ合う。

「……っ~~~~~っっっ!!??!?」
「これは役者の法則、使ってくれていいから。…絶対、最上さんの事諦めないから。」

恥ずかしくて気持ちが落ち着かなくて、あわてて敦賀さんに背を向けた。

「じゃあ…また明日ね、最上さん。」

ドキドキしてるうちに、後ろのドアがパタンと閉じる音がして、私はその場にしゃがみこんだ。



………ぐるぐる悩んで3時間もその場にへたりこんでいたのを、たまたま近くで仕事していた天宮さんに拾ってもらえたのは助かった。





敦賀さんは私を好きだといった。

『キョーコ』さんとどうなったのかはわからない。
だけど、あんな真剣な目は初めて見た…
演技の事以外であの目を向けられたのは初めてだ。
信じてもいいのだろうか…?

明日も言われるのだろうか、愛してると………

好きな人からの『愛してる』は破壊力抜群で、閉じ込めてたはずの想いがあっけなく出てきてしまった。
なんて心地好い響きなのだろう。
こんなにも胸がときめいて、切なくて苦しくなるキモチは初めてだ。

ショータローの時には、こんなキモチになる事なんてなかった…。

明日、聞いて見ようかな。
『キョーコ』さんの事……


私は久しぶりに眠れない夜を過ごす事になった。







翌日は朝一で事務所に寄らなければいけなかった。

いつもならまだ働く人もまばらでのんびりした時間なはずなのに、なんだか慌ただしく走り回っている。

「マスコミ対応はどうする!?」
「それは社長がどうにかすると言ってたぞ!」
「もう病院に入られたのか繋がらないんだ!」


…病院?事務所所属の誰かに何かあったのかしら………

社員のあわてぶりに、少し嫌な予感がした。

タレント部に向かおうとしたところで、マリアちゃんに呼び止められた。

「お姉様ぁっ!!」

しがみ付いてきたマリアちゃんは小刻みに震えながらしゃくりあげていた。

「お姉様っ、うぅっ……れ、蓮様がぁ……っ」



その言葉を聞いたとたん、足元が崩れ落ちる気がした。








作品用拍手アイコン



************
暗いうえにベタな展開ですみませぬ。









スキビ☆ランキング