ロイターの記事 (2012年 05月 24日)
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE84M07M20120523
(引用開始)
[ペシャワール(パキスタン) 23日 ロイター] パキスタン北西部部族地域の司法当局は23日、国際武装組織アルカイダの元指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦で、米中央情報局(CIA)に協力したとして、国家反逆罪で男性医師に禁錮33年と罰金32万ルピー(約28万円)の判決を言い渡した。
医師はシャキル・アフリディ被告で、ワクチン接種と称してDNAサンプルを採取したとされ、このことが米当局がビンラディン容疑者の潜伏先を特定する手がかりになったとされている。
ビンラディン容疑者は昨年5月、パキスタン北部アボタバードの潜伏先で米特殊部隊によって殺害された。ビンラディン容疑者殺害に絡んで判決が言い渡されたのは今回が初めて。
今回の判決に対して米政府関係者は、医師の行動が「パキスタンと米国民の命を救った」とし、「反逆罪には当たらない。勇敢で愛国心に満ちた行動だった」と強調した。アフリディ被告はビンラディン容疑者殺害から数週間後に逮捕され、米国側がパキスタン側に同被告の釈放を求めていた。
(引用終わり)
またですね。
オサマ・ビンラディンが昨年5月に殺害されたとされていることには数々の疑問があることは再三書いてきました。
代表して、最近の記事を貼っておきます。
オサマ・ビン・ラディン殺害から1年・・・って、どの暦で?
それでも、昨年殺害されたことを事実であると見せるように、米国政府が情報ソースとなっている新しいニュースが次々と報道されます。
しかし今回はパキスタン政府も絡んでいます。パキスタンが、ビンラディン殺害を事実と認めて、それに関与した人物に判決を言い渡したのでしょうか?近年は米国とパキスタンの関係はよくないはずですので、そうだとすればビンラディン殺害がやっぱり事実だったのかと疑われてきます。
では、この医師は何の容疑でパキスタン政府に逮捕されたのでしょうか?
ビンラディン殺害が事実との前提ですが、産経新聞系のニュースサイトにこのような記事が見つかりました。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/print/world/worldnews/518966/
(引用開始)
■DNA型採取が目的
急襲前の今年3月、アフガニスタン国境そばのハイバルの保健当局者であるシャキール・アフリディ医師がアボタバードにやってきた。医師は「援助を得た」と言い、地元の看護婦らを雇って、町の貧しい地区でB型肝炎ワクチンの無料接種を始めた。B型肝炎ワクチンは通常、時間を置いて3度の接種が必要。ところが、1カ月後に再度やってきたアフリディ医師は2度目の接種を行うのではなく、今度は裕福な人たちが暮らす地区へ行って接種を始めた。この地区にビンラーディンの隠れ家があった。
アフリディ医師はCIAの協力者だった。予防接種をするからとビンラーディンの隠れ家へ入り、本人もしくは血のつながった家族から、注射の際にわずかな血液を採取する任務を帯びていた。2010年、ビンラーディンの妹が米ボストンで病死した際、米当局はそのDNA型を採取しており、これと照合すればよかった。アフリディ医師はビンラーディンの隠れ家のある地区に直行しなかった。貧しい地区から始めた方が本物の「無料接種」らしかった。
■協力者を逮捕
アフリディ医師本人がビンラーディンの隠れ家に入ることはなかったが、看護婦が塀の中へ入った。この看護婦がビンラーディンとみられる男または男の家族の血液を採取できたのかどうかは分からないという。いずれにせよ、標的の男は殺害された後、DNA鑑定でビンラーディンだと確認された。
ビンラーディンの急襲・殺害はパキスタン側へ事前通告がなく、この後、米パ関係は悪化した。パキスタン政府は自国内でのCIAの活動の自粛を求め、パキスタン軍の情報機関である3軍統合情報部(ISI)は、CIAに協力したパキスタン人を調べ上げ逮捕した。アフリディ医師もこの中に含まれる。
CIAの活動を調べるのにこれほどの熱意を見せるISIが、なぜビンラーディンの居所をつかめなかったのか。本当は知っていたのではないか。米側にすれば、そう言いたくもなるだろう。パキスタン側から嫌がらせを受けた米政府は先ごろ、対パキスタン軍事援助8億ドル(約640億円)の供与一時停止の方針を示した。
(引用終わり)
思い出しましたが、米国によるビンラディン襲撃・殺害において、パキスタン政府は完全に蚊帳の外だったのですね。彼らには事実の確認のしようもありません。ISIはビンラディンがここに住んでいたことも「知らなかった」ようです。(そんな事実がなかったからでしょう。)
そして、この医師は、通告もなしに自国内で諜報活動を行い、軍の特殊部隊を送り込んで殺人を行った米国に協力した容疑で逮捕され、禁固刑の判決を受けたということです。この問題において、ビンラディン殺害が事実かどうかは、パキスタン政府にとっては争点ではないと考えられます。
一方、オバマ政権は、このオサマ・ビンラディン急襲をハリウッド映画にして、これが事実であるとの印象を大衆にさらに植え付けるとともに、自分の功績を強調して大統領選を有利にしようと画策しています。しかし、最近、映画関係者に便宜を図りすぎで安全保障上問題だとして、共和党から追及されています。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事 (2012年 5月 24日)
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_447954
(引用開始)
昨年5月のアルカイダ指導者オサマ・ビンラディン容疑者殺害に関する映画を制作している米映画製作関係者2人に対し、オバマ政権高官が、殺害作戦を指揮した海軍特殊部隊(SEAL)の「チーム6」の隊長との面談などの便宜を与えていたなどとする政府文書や電子メールが暴露された。共和党は23日、こうした便宜を疑問として、同政権に詳細を説明するよう要求した。
暴露された文書によると、米国防総省高官は、2009年の映画「ハート・ロッカー」でアカデミー賞を受賞した女性映画監督のキャスリン・ビグロー氏と、プロデューサー兼脚本家のマーク・ボール氏に対し、SEALチームの作戦立案者の氏名を伝えた。しかし同省当局者は、提案されたチーム6隊長と映画制作者との面談は結局実現しなかったし、作戦立案者の氏名を伝えること自体は安全保障上の違反ではないと強調している。
(引用終わり)
ブッシュと同じ共和党ではなく民主党のオバマが大統領になったときには、共和党政権時の闇をどこまで暴いてくれるのか期待したこともあったのですが、米国の権力者は共和党でも民主党でも大差ないようです。
この機会に本件をさらに調べていたら、このような記事が見つかりました。
"Pentagon admits it has no photo evidence of Bin Laden's death"
DigitalJournal.com(市民レポーターを使うニュースネットワーク)の記事です。
http://www.digitaljournal.com/article/323364
この記事を、少々長いですが自分で翻訳してみました。(休日の、英語の勉強も兼ねて:笑)
途中、意味がよく取れずに翻訳に苦労した箇所もありますが、できるだけ正確にかつ読みやすく翻訳しようと心がけたつもりです。
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Pentagon admits it has no photo evidence of Bin Laden's death
「米国国防総省、ビンラディンの死の証拠となる写真がないことを認める」
Digital Journal
by Elliot Freeman (May 1, 2012)
Pentagon officials recently disclosed to the Associated Press (AP) that they could not find any photo or video evidence to confirm that Al Qaeda leader Osama Bin Laden was killed in the Navy Seal raid in Pakistan a year ago.
米国防総省(ペンタゴン)当局者は最近、アルカイダの指導者オサマ·ビン·ラディンが一年前、パキスタンでの海軍特殊部隊(Navy Seal)の襲撃で殺されたことを確認できる写真やビデオの証拠を一切見つけられなかったことをAP通信に開示した。
AP has submitted more than 20 requests for information surrounding the raid on Bin Laden’s Abbottabad compound to the U.S. Government under the Freedom of Information Act (FOIA).
AP通信は、情報の自由法(情報公開法、FOIA)に基づいて、ビン·ラディンのアボッタバードの住居への襲撃に関する情報について20以上の要求を米国政府に提出した。
In response to the request for visual evidence of Bin Laden’s death, the Pentagon stated that it could not find any pictures or video footage of the raid itself or of Bin Laden’s dead body.
ビン·ラディンの死についての目に見える証拠の要求に応答して、ペンタゴンは、襲撃自体の、またビン·ラディンの死体の、いかなる写真やビデオ映像も見つけることができなかったと述べた。
It also told AP it could not locate any images of Bin Laden’s body that were taken on the U.S.S. Carl Vinson, the Navy aircraft carrier that reportedly lowered him into the sea after his death.
また、ビン・ラディンの死の後で海中に彼を沈めたと伝えられている海軍の航空母艦USSカール·ヴィンソンの上で撮影されたビン·ラディンの身体の画像も全く見つけることができなかったとAP通信に告げた。
In addition, the Pentagon admitted that it could not find an autopsy report, death certificate or results of a DNA identification test for Bin Laden, in spite of claims made by President Obama and reported by CBC News that a DNA test was performed.
さらに、オバマ大統領によってまたCBCニュースによる報告でDNA鑑定が行われたと主張されていたにも関わらず、米国防総省は、ビンラディンの検死報告書も死亡証明書もDNA鑑定結果も見つけることができなかったことを認めた。
These admissions follow a related FOIA response by the Department of Defense in February, in which it stated that it had no emails concerning the Bin Laden raid that were sent prior to its execution.
これらの事実承認は、2月の国防総省による関連する情報公開法に基づく回答に続くものであり、回答の中で国防総省はビンラディン襲撃に関して、その実行の前に送られた電子メールはなかったと述べた。
The Atlantic Wire reported in February that the CIA claimed it had visual proof of Bin Laden’s death, but the Pentagon’s admission that it does not have any evidence of this kind still raises significant questions, since its jurisdiction includes the Navy Seals that conducted the raid and the Navy ship that buried Bin Laden at sea.
The Atlantic Wire(米国のオンライン誌)は2月、CIA(中央情報局)がビン・ラディンの死の明白な証拠があると主張していることを報告したが、国防総省がそのような証拠は一切ないと承認したことは、襲撃を実行した海軍特殊部隊やビン・ラディンを水葬した海軍の船舶が国防総省の管轄に含まれるだけに、重大な疑問を引き起こす。
The latest revelation drew the suspicion of Lt. Col. Robert Bowman (ret.), the former director of Advanced Space Programs Development for the U.S. Air Force. “It makes the official story sound very fishy,” Bowman said in an interview with Digital Journal. “Without proof, I’m not buying it carte blanche.”
最新の新事実は、米国空軍の高度宇宙プログラム開発の元ディレクターであるロバート·ボウマン中佐の疑いの目を引いた。「これは公式の説明を非常にうさんくさいものに聞こえさせる。」ボウマンは、デジタルジャーナルとのインタビューで語った。 「証拠がないのなら、私はそれに白紙委任したりはしない。」
Bowman also pointed to the reports that Bin Laden died in 2001 or 2002, which have been supported by former FBI counter-terrorism chief Dale Watson, former assistant Secretary of State Steve Pieczenik, former U.S. foreign intelligence officer Angelo Codevilla and other intelligence experts.“This smacks of a cover-up,” Bowman added.
ボーマンはまた、ビン·ラディンが2001年または2002年に死んでいるとの報告があり、それは元FBIのテロ対策責任者デール·ワトソン、元国務次官補スティーブ·ピチェニック、元米国外国諜報将校アンジェロ・コデヴィラや他の諜報専門家たちによって支持されていることを指摘した。 「事実が隠蔽されているようだ。」ボウマンは付け加えた。
Some organizations contend that the cover-up extends beyond the Bin Laden raid, including Architects and Engineers for 9/11 Truth, a group of over 1,600 technical professionals that is calling for a new 9/11 investigation.
いくつかの組織、例えば「9/11の真実のための建築家と技術者」という9/11の再調査を要求している1,600人以上の技術専門家のグループなどは、隠蔽がビンラディン襲撃を超えて拡大していると強く主張している。
"The raid is not the only part of the Bin Laden narrative that doesn't add up," said founder Richard Gage, AIA. "It's also highly unlikely that Bin Laden and Al Qaeda had access to plant the explosives that brought down the Twin Towers and Building 7."
「この襲撃だけが、ビンラディン物語の辻褄の合わない部分ではない。」設立者のリチャード・ゲイジ(米国建築者協会)は語った。「ビン・ラディンとアルカイダがツインタワーと第7ビルを崩壊させた爆発物を仕掛けるための接近手段を持っていたことも、ほとんどあり得ない。」
(※tomam注:ツインタワーと第7ビルの崩壊は、事前に仕掛けられた爆発物によるものであることが前提とされていますね。)
Meanwhile, President Obama called for a time of remembrance and contemplation on the anniversary of the raid. "I think for us to use that time for some reflection, to give thanks to those who participated is entirely appropriate, and that’s what’s been taking place," he said on Monday, according to McClatchy News.
一方、オバマ大統領は襲撃の記念日に追悼と熟考の時間を求めた。「熟慮のために時間を使うこと、また参画した人々に感謝することは、我々にとってまったく適切なことだと私は考える、そしてそれが現在行われていることだ。」マクラッチーニュースによると、彼は月曜日にそう述べた。
It remains to be seen how the public will reflect on the lack of credible evidence surrounding the demise of the world’s most wanted terrorist.
世界で最重要の指名手配テロリストの終焉をめぐる信頼のできる証拠が存在しないことについて、公衆がどのように熟慮するか、見守らなければならない。
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昨年5月にビンラディンが殺害されたことについて、日本ではそれが事実であることを前提にしたニュースはしばしば報道されても、それに疑いを持つ報道はほとんど行われません。我々は、ビンラディンの妻たちとされる女性が強制送還されたとか、隠れ家でポルノビデオが見つかったとかのニュースは聞いても、ビンラディンの殺害が事実であると信じるための根幹となる死体写真(一時、ある写真が出回ったが、合成写真と判明)もDNA鑑定書も見ていませんね。
それを今回、AP通信が情報公開法の制度を通じて要求し、何の証拠も提出できないことを国防総省に認めさせたということです。
ただ、AP通信自体ではなく個人の記者がこの件を報告していることは気になりますが、大手メディアは、事実をつかんでもそれを報道することは困難だということでしょうか(映画『チョムスキーとメディア』の記事)
いずれにせよ、Googleで確認すると、この記事は非常に多数引用されており、米国政府が証拠を持っているのなら、それを提出して火消しできるはずなのに、行っていません。できないようです。というより、そんなものがあるのなら、真っ先にそれを公開したいのが米国政府でしょう。イラクのサダム・フセイン大統領に対して行ったことと比較してみれば明らかなことです。
殺害はなかったとしか考えられません。
オバマ政権がそれでも茶番劇(まさに文字通りの「劇」です)を続けているのかと思うと、滑稽にも思えてきますが、しかし、世界最強の軍事力を持つ米国がいかに病んだ国であるのかを思い知らされ、恐ろしくなります。
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