水道水、牛乳、ホウレンソウから放射性のヨウ素やセシウムが検出されています。
ここで出てきた新しい(?)単位 「ベクレル」について、わかりやすく説明したいと思います。
福島県川俣町の水道水で、一時、基準を上回る放射性ヨウ素が検出されています。
福島市の他、関東各地の水道水でも検出されています。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110320k0000m040111000c.html
厚生労働省は19日、福島県川俣町内の水道水から、17日に基準値をやや上回る放射性ヨウ素が検出されたと発表した。国の要請を受けて県が調査した。18日には下回っており、同省は「現状では特別な措置は必要ない」としている。
基準値は1リットルあたり300ベクレルで、川俣町の水道水からは17日に308ベクレル、18日に155ベクレル、19日に123ベクレルが検出された。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110319/t10014781751000.html
福島市内の水道水については、18日の調査で1キログラム当たり101ベクレルの放射性ヨウ素が検出されましたが、19日の調査では、33ベクレルに減っていたほか、放射性セシウムについては、18日に続き、検出されませんでした。原子力安全委員会が定めた指針では、放射性ヨウ素は、1キログラム当たり300ベクレル、また放射性セシウムについては、1キログラム当たり200ベクレルが制限値となっていて、今回の調査では、いずれも制限値を下回っており、保安院は「飲んでも安全だ」としています。
また、茨城県高萩市のホウレンソウや福島県川俣町の牛乳から、放射性のヨウ素やセシウムが検出されて、大きく報道されています。
枝野幸男官房長官は19日午後の記者会見で、いずれも一部地域で採取された茨城県産のホウレンソウと福島県産の原乳から、厚生労働省が定めた暫定基準値を上回る放射能を検出したと発表した。検出された食品は食品衛生法に基づき出荷できない。枝野官房長官は「直ちに健康に影響する数値ではない」として冷静な対応を求めている。
福島県川俣町で採取された原乳からは放射性ヨウ素が同932~1510ベクレルが検出され、基準値(同300ベクレル)の3~5倍だった。一部の原乳からは放射性セシウムも基準値(同200ベクレル)を下回るものの、同18.4ベクレルを検出した。
ようやくシーベルトが何となく分かってきたのに、またベクレルという聞き慣れない単位が出てきました。
以下の説明をある程度ちゃんと理解するために、いろんな基礎知識が必要になってきますので、それを先にまとめました。そちらを先に読んでいただくと、理解しやすいかと思います。
http://ameblo.jp/tomamx/entry-10835508731.html
ベクレルの定義は、このようになっています。
ベクレル(Bq) 放射能(放射線を出す能力)の強さ=1秒間に崩壊する放射性原子の数を表す単位がベクレル。
放射性同位体の原子核が毎秒ごとに自然崩壊する確率は、その種類(核種)によって決まっている。
(半減期と反比例) したがって、ベクレルは核種とその量とで決まる。
SI基本単位ではs^-1 (ヘルツHzと同様)
もう少し自分なりに説明すると・・・、
ベクレルは、放射性の物質(核種)が1秒間に何回崩壊するか、その回数を表す単位。
分析値の場合は、「1リットル当たり」とか「1キログラム当たり」とかがつきます。
体内被曝を考えるときは、これを何リットル飲むか、何キログラム食べるかによって、何ベクレルの放射性物質を体内に取り込むのかが計算できます。
また、どのような放射線物質(核種)かによって、1回崩壊したときに発生する放射線の種類や強さは異なりますので、その分析値は核種ごとに考えないと意味がありません。
だから、分析値は、「ヨウ素131が、1リットル当たり308ベクレル」とか「セシウム137が、1キログラム当たり524ベクレル」とか、「核種ごと、量当たり」の数字になってきます。
一方、シーベルトは、放射線の種類ごとの生体への影響を考慮した被曝の大きさを表す単位であり、どんな種類の放射性物質(核種)なのかは考えず(というか、全部ひっくるめて)、放射線をどれだけ受けるか(受けたか)、を問題にします。
・人の被曝を考えるときは、合計どれだけ受けたかを問題にするので「(ミリ)シーベルト」
・場所の放射線の強さを表現するときは、「(ミリ)シーベルト/時間」
となります。
さて、ベクレルがそんな単位だと知ったところで、本当に知りたいのは、口からこういう食物や飲料を飲食した場合に何が起きるかですね。
説明をここに見つけました。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/j_senkeisu.html
実効線量係数 (じっこうせんりょうけいすう)
体内に摂取された放射性物質から、組織や臓器の受ける線量を算出することは容易ではありません。なぜなら体内の組織や臓器に沈着している放射性物質の量を測定する必要があり、しかも、その量の時間的変化を追跡しなければならないからです。
そこで、摂取した放射性物質の量と組織や臓器が受ける線量の大きさとの関係をあらかじめ求めておくことにより、放射性物質の量に対応した被ばく線量を計算することができます。このときの摂取した放射性物質の量と被ばく線量の関係を表す係数を実効線量係数といいます。
「経口摂取した場合の実効線量係数 (mSv/Bq)」を使えば、飲食した場合のベクレルとシーベルトの関係を求めることができます。
ヨウ素131の場合(ヨウ化メチル以外と考えられます)
経口摂取した場合の実効線量係数は、2.2×10-5 mSv/Bq。したがって、
基準値である1リットル当たり300ベクレルの水を1リットル飲んだとすると、被曝量は、
( 2.2×10-5 mSv/Bq )× ( 300 Bq/L ) × (1L) = 0.0066 mSv = 6.6 μSv(マイクロシーベルト)
です。
今朝の朝日新聞で書かれている数字と合っています。
私のブログでも何度も書きましたし、最近の報道を見ておられる方は、この値が直ちに健康に影響するものではないことは理解されると思います。
http://ameblo.jp/tomamx/entry-10831352099.html何度も繰り返し書きます。
寺田寅彦(物理学者で随筆家, 1878-1935年)のことばです。
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」