大きな音が聞こえるか/角川書店(角川グループパブリッシング)



星星星星星   おすすめ!


まだ今年半分しか終わっていませんが、この作品が今年一番好きな作品かも!って思える一冊でした。

「大きな音」の正体(一つではないのですが)を知っていくにつれてじわじわときましたね~。
本好きにはこの丁寧に描かれて分厚い本、最高です!

まずサーフィンは好きだけれど、自分の本当にやりたいこととか何かわからないし、親はうるさいし、やるきな~いという高校生男子がアマゾンのポロロッカでサーフィンをしてみようと思い立つところまでが第一部。(私の勝手に思った区切りです)
そしてブラジルに行くためにはお金がないからバイトをしてみようと、いろいろなバイトを経験してたくさんのことを発見する(自分の置かれていた環境などに気が付く)のが第二部。
いざ、ブラジルに行くぞ! 出発して到着してとりあえず滞在した山本家で、いろんな体験をするのが第三部。
船に乗ってアマゾンに行き、いろいろな国の人と旅するのが第四部。ポロロッカに乗ります!
で、皆と別れて帰国し、帰国後のことが第五部。
って感じでした。

キーワードは「大きな音」というわけなのですが、まず第一にポロロッカとは「大きな音」という意味らしいです。ブラジルのアマゾンでこのポロロッカの音を聞くところまでがかなり長いので、この音が聞こえてきた時点で興奮がマックス!!でした。
そしてもうひとつ、この作品の中での「大きな音」がありました。
男の子が大人の男に成長する音。
たった数か月の出来事ですが、読めば読むほどこの短期間のうちに彼は成長していっています。
途中で成長を「音がしている」と表現している部分があったのですが、ものすごく納得。
音がでるくらい急激な成長だと感じました。

子供だった自分を見つめなおして、大人ってどんななんだろう? 自分はどういう風に生きたいんだろう?と考える時期って、私にもありました。
それは誰もが通る道だと思います。
子供が世界を通じて自分を見つめなおすことができる時間。
大人は押しつけではなく、信頼という形でそんな子供の背中を押してあげることが大切なのだなと感じました。

かわいい子には旅をさせないと!!