この夏はクリップオンストロボでいろいろ日中シンクロをやりましたが
画像を整理していると不思議なことに気が付きました。
D40のカタログ上の同調速度の上限は1/500秒で内蔵ストロボON時には1/500秒以上には設定できません。
しかしクリップオンストロボ発光時でシャッター速度1/4000秒で誤設定してしまった画像がちゃんと撮れているのです。
ん?ん?普通フォーカルプレーンシャッターでは同調速度の上限以上のシャッター速度ではシャッターの前幕が開き切る前に後幕が閉じ始めるスリット状態での露光になりますから撮れた画像はケラレてしまいます。
そうならないのはどうして??
調べるとどうもD40のイメージセンサとシャッター機構によるようです。
今のデジ一眼の多くはCMOSセンサですが、D40のイメージセンサは旧来のCCDセンサです。
カタログから各カメラのイメージセンサとシャッター形式を拾ってみると、
D40, D50, D70
「CCD電子シャッターと機械式シャッターの併用」
D40x, D80, D200, D300s, D700, D3000, D3100, D5000, D90, D7000, D3
CMOSセンサで「電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター」
D60
CCDセンサなのに「電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター」
まずそれぞれのイメージセンサの特徴とその違いから考えてみます。
CCDセンサ・・原理上CMOSより高画質、コスト高、「同時露光一括読み出し」
CMOSセンサ・・多画素化でもコスト低、「ライン露光順次読み出し」
この2つのセンサの大きな違いは露光タイミングと画素データの読み出し方法の違いです。
CCDは画面内全て同時に露光し全て一括して読み出す為にCCD内の電子シャッターのみで露出時間を制御可能です。
メカシャッターは要らないとも言えます。多くのコンデジがCCDセンサを使っているのはこの為です。
それに対してCMOSは1ラインづつ露光し1ラインづつ読み出します。
よってCMOSは画面の上と下では露出の時差が生じ高速で動く物を撮ると斜めに歪んでしまいます(動体歪)。
CMOSセンサのデジ一眼は動体歪を軽減する為にメカシャッターは必須なのです。
最近はコンデジでもメカシャッター無しで安いCMOSセンサを使ったものが有りますが、
動いているものを撮ったりすると酷く歪んだりします。
さてD40のカタログにある「CCD電子シャッターと機械式シャッターの併用」の意味とは何でしょう?
D40はシャッター速度は電子シャッターで決めている(コンデジと同じ)ようです。
D40の機械式シャッターはレンズ交換などでゴミが入るのを防ぐ単なる蓋のようなものらしいです。
露光時に蓋が開いて露光が終わると閉じると言う単純なものです。
・・と、言うことはどのシャッター速度でも必ずシャッター全開の状態が存在しますから
全シャッター速度でストロボが同調するということです。
同調はするのですが一つ気をつけなければいけないのはストロボの発光時間です。
発光時間よりシャッター速度が早いと光量を全て使っていないことになってしまいますからね。
通常のクリップオンストロボの発光時間は1/1200~1/30000秒と言われています。
ストロボが1/4とか1/16の光量で発光している分には1/4000秒のシャッター速度でも発光時間を遮ることは無さそうです。
カタログが最大同調速度1/500秒と制限しているのはどのストロボでも使える安全速度と見ることが出来そうです。
事実、自分が試したところシャッター速度を段階的に上げても1/4000秒のGN36フル発光でも目視の光量低下はありませんでした。
FP発光など付いていないストロボでも日中シンクロで絞りを開いて後ろをぼかす撮影も出来ると言う事です。
D40,D50,D70はそれが可能と言うことですね。
お持ちの方は是非試して見てください。
ただし他のD40xなどフォーカルプレーンシャッター付きのものはカタログ値通りのシンクロ速度ですからお間違いなく。
またスタジオの大型ストロボの場合は調光方式により発光時間が延びることがありますから一般的に言われる1/60秒で使いましょう。
面白い発見をしました。
いつも間違いから新たな発見があります。