「歴博発表の「箸墓築造は卑弥呼の時代」」は捏造? | へいたんな道でうれしい(誰田無灯火)

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また見ることもない頂上が遠ざかる 漕いでも漕いでも青い山 ……

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今日は邪馬台国がらみの話です。

例によって長文、適当に飛ばしてください。

稚拙な解釈、下手な文章で申し訳ないですが、しばしお付き合いを…



発掘の成果がまた一つ。


石室の大量の水銀朱は権力の象徴 桜井茶臼山古墳で確認
配信元:産経新聞 2009/10/22 20:10更新

桜井茶臼山古墳は、1949年に最初の発掘調査が行われていたので、

昔から「おら、なんだかワクワクしてきたぞ」的な評価でしたが、

今回、より本格的詳細な石室の調査がおこなれたようです。


そもそも発掘調査ってお金と時間が非常にかかるものらしく、

一旦始めてしまえば、あとには引けないもの。

簡単に出来るものじゃないんですね。


どこぞの映画で、略奪型の宝探しみたいなものがありましたが、

あんなことは、現代では貴重な歴史的遺産を破壊して、永遠に亡くしてしまう

犯罪行為以外何ものでもありません。

こと考古学に留まらず、民族的宗教的精神的な観点からも許されませんね。


そうそう、それと自然破壊にもなるそうです。

数百年、あるいは千年二千年の歴史を持つ原生林を伐採したり、

その環境で、何代も生きてきた動植物がいることも考えられます。


回復のことを考えれば、相当の価値と覚悟がなければ出来ないです。

そもそも、人間のエゴ丸出しの行為なので、軽々しく「発掘しよう」なんて

言うものではないんですね、本当は。


ということで、桜井茶臼山古墳。

なぜ改めて調査が入ったのか、詳しい経緯は分かりませんが、

それだけの成果が期待できるという見込みがあったのでしょう。

そしてこの成果。


う~む、凄いですね。この古墳の様子が分かればほぼ同時期の

巻向の天皇陵の様子が推定できるでしょう。

それにしてもこの水銀朱の量と石組み!これは素晴らしい。



そこで、以前この記事…

箸墓古墳、240~260年築造 卑弥呼の死亡時期と一致 炭素年代で判明
配信元:産経新聞 2009/05/29 14:31更新


元は朝日新聞だった思いますが、箸墓がさも卑弥呼の墓のような印象で報道されました。


私も熱くなりました。


奈良・箸墓古墳築造、卑弥呼の死亡時期と合致(朝日新聞)

テーマ:明日香に行こう



ところが、先々週(先々々?)の週刊文春にも記事が出ましたが、

この研究結果について、各方面から多くの批判、非難が出ているというのです。

安本先生が熱いです。

「邪馬台国=畿内説」「箸墓=卑弥呼の墓説」の虚妄を衝く! (宝島社新書 296)/安本 美典
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基本的に安本先生は九州・東遷説なので、

九州説論者の戯言と、単純な人は非難するでしょうが、

歴博(千葉・国立歴史民俗博物館)が仕組んだ、

朝日新聞を中心としたセンセーショナルな報道に慎重になり対抗できずに、

モジモジしている日本中の学者の声を代弁しているというのが、

安本先生のスタンス。


この本の中でも言っていますが、この報道に下手に反対論をあげれば

一発で「異端」「変人」のレッテルを貼られかねません。


そこで安本先生は、そもそも「異端」なので、

頼まれてはいないだろうけど買って出たような形なのかな。

…まぁ研究家としての義憤にかられたというのが本当だと思うけど。



どうやら歴博が主張する炭素14法での箸墓築造年代の特定の方法が、

いくら炭素14法の精度が高まったといえども(実は高まっていない?)、

その手続きが、最初に卑弥呼の時代に合わせたかのように、

あまりにも都合のいいもので、そのおかげで土器年代もめちゃくちゃな

結論になっているにもかかわらず、歴博は検証・反論も論点をはぐらかして、

一人歩きを始めたセンセーショナルな結論を収拾しようともしていない。

これは、旧石器捏造事件につづく、あらたな捏造事件だと声を荒げています。

(個人的解釈・感想です)


私は、まさに正しく正義を感じます。

ていうか、当然の手続を経ていないって歴博・新聞の発表では

全然知らされていなかったので、正直言って騙されたと感じましたよ、まぢで。


結果を都合よく、こうであって欲しい方向に持っていってしまうのは、

「かの国」の歴史認識と学問手法を彷彿とさせますが、

この場合は予算を出してもらっている役人へのアピールなのか、

それとも遷都1300年のイベントを来年に控えた奈良へのサービスなのか、

それとも歴博の功名心から出た狂言的スタンドプレイなのか、

よく分かりませんが学者とは思えない非理論的な研究姿勢に口がアングリですね。


もちろんこの安本先生の本の主張が全て正しいといえないかもしれませんが、

話半分であったとしても、歴博には慎重な態度が求められると思います。


そもそも、多くの人を魅了してやまない邪馬台国の謎ですが、

近畿説、九州説については、ぱっと見では現在近畿説のほうが優勢に見えます。

たしかに、4世紀の勢いを見ればそういう感じもするのですが、

卑弥呼の時代の3世紀については、これがかなり分が悪いらしい。

逆にその時代は九州の方に分がありそう。


さらに原点に返ってみれば、邪馬台国って魏志倭人伝に出てくる国の話。

国内に邪馬台国云々の伝承はなく、邪馬台国って何?というのなら、

魏志倭人伝の記載どおりに検証を進めなくてはいけないはず…


だけど、邪馬台国は対馬とか伊都国の南と書いてあるっちゅうのに、

南は東の間違いで邪馬台国は近畿地方だ!と?


えっ??


近畿説っていきなり最初から強引に持って行ってしまっているんです。


そこには邪馬台国…「ヤマトコク」と読める可能性や

「水行十日陸行一月」という行程から、そのままでは海上になるから

きっと大和のことだろうという思い込みで、理論的な思考を停止しちゃっている。


安本先生の言うように、魏志倭人伝の埋葬方法「棺ありて、槨なく」は、

九州地方ではポピュラーで平原遺跡では超有名だけど、

大和では、ホケノ山古墳で明らかのように、今回の桜井茶臼山古墳でもそうだけど全然違う。
おそらく時代がそう変わらない箸墓も違うだろうとすると、これらはかなり歴史が新しいと

言わざるを得ないでしょう。


藤ノ木古墳や吉野ヶ里遺跡(1980年代半ば)以降、

マスコミがミステリー欲をかき立てるような、センセーショナルな報道が目立つように思います。


ちょうど「ふるさと創生」で竹下内閣が各地方市区町村に地域振興資金1億円をばら撒いた

時期(1988~89年)と重なりますが、単なる偶然ではないように思えます。

単純に言って、発掘成果は地域のアイデンティティであり集客力抜群の観光資源となりましたから。



「邪馬台国遺跡」

発見はみんなの夢ですが、学問を無視した

情報戦には利用してもらいたくないですね。


でも、これが発見され確定した暁には、

どれほどの狂想曲になり、どれほどの観光資源になり、どんな施設が必要になるのでしょうか…

少々怖くなってきました。