生活保護を民間委託? | 騰奔静想~司法書士とくたけさとこの「つれづれ日記」

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大阪の柏原市で司法書士をやってる徳武聡子といいます。
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いろいろお伝えしていきます。

連ツイのまとめです。


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 生活保護のケースワーカーについて民間委託という提案が自民党から出されています。

  自民党の生活保護見直し案


 行政は金を出すだけで実務をしないというのは、どう考えても責任放棄。相談者や利用者のプライバシーは守られるのか(守秘義務の問題)、なにより支援の実効性と継続性が絶たれることになるのではないかと危惧されます。


 行政が民間委託する場合、まず20年契約などありえません。

 長くて3年、大概1年契約。下手したら、1年毎に契約主体=ケースワークの主体が変わることになります。数年間、あるいはもっと長い時間をかけて支援が必要な利用者もいるのに。利用者は、毎年ケースワーカーに自分の抱える事情を説明しなければならない、信頼関係が築けたかと思ったら「契約終了です。ハイ、さようなら」 そして次の年に「はじめまして」。

 これって、かなり疲れますよね。支援される側は安心できないのではないでしょうか。

(これは、現在でもそうかもしれません。2~3年ごとに担当者が変わりますので)


 また、行政と民間の契約は最近は入札が主流になってます。

 入札=請負価格と成果目標が重要。いかに安く、いかに成果を上げるかを、受注希望団体に競わせ、契約先にはノルマを負わせることになります。

 支援側がいかに心を尽くして支援したくても、ノルマに縛られます。

 それに、人を支援する仕事は、それなりのスキルをもった人材を揃えなきゃいけないし、1年でハイ終わりというわけにはいきません。組織運営上も。

 それが次年度は契約できるかわからないとなったら、どうしても行政の都合の良いように動かないといけないですし、利用者は置き去りにされます。


 一方で、支援する側もスキルアップしていく必要がありますよね。何かしら問題を抱えた「人間」が相手だから、経験を積んで様々な問題に対応できる人材に育っていく必要があります。今の生活保護の現場には、入れ替わりが激しいといっても、そういう「生き字引」のようなベテランさんがいて、若手CWを指導しています。しかし、きっと民間委託になれば、そのような支援する側のスキルアップや継続性、専門性も失われるでしょう。


 これで、どうやって利用者に寄り添った支援ができるというんでしょうか。」

 生活保護利用者には保護費だけ支給すれば十分とか考えてるのでしょうか? 自民党は。


 財政処理の問題もあります。

 行政にとって自前でCWを抱えれば「人件費」であり、好き勝手に減らすことはできない。しかし、民間委託ならそれは「事業費」。もうやりたい放題に予算を減らすことができます。組合も何も言いません。公務員=組合員の給料じゃなくて、事業費だから。

 契約額が減れば、受注団体としてもサービスの質の劣化は免れません。

 行政の予算削減のツケは最終的に、そういう形で利用者が負わされることになる。


 こういった、行政の民間委託の弊害は、消費者生活相談の現場で現れつつあります。

 私が知らないだけで、他の現場でも多いのではないでしょうか。


 市民に近い現場から、直行政から民間委託に移りつつあります。

 「行政だから」という安心感をどう考えているのか、とっても疑問です。