少し反論を | 徳本一善オフィシャルブログ「-ICHIZEN-」by Ameba

少し反論を

こんな記事を見つけました。

少々誤解を招く記事でしたので反論を・・・・。(ちょっと意地悪く書きますが、その方が見ている方を惹きつけられると思いましたので)

真意としては、最後の一文です。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2012/feature/shibata/20120612-OYT8T00901.htm

書かれていることは分からないでもないですが、競技に特性をよくわからない人たちの目線だと思います。(またこの記事を公の場にさらしてしまうことが関係者にとっては腹立たしい記事だと思います)

日本選手権という舞台で記録が狙える種目、そうでない種目が必ずあります。

凡タイムでも優勝できる種目。それが中距離長距離の世界です。

今回の記事の質問は、なぜオリンピックで世界の一流選手が世界記録を狙った走りをしないのか?

という質問と同じではないかと思います。

世界大会金メダリストの言葉に、長距離種目において世界記録を狙って走りましたという選手はほとんどいない。むしろ金メダルを取ることを考えたという選手がほとんどです。

それは、勝負のレースの場というほかありません。

スプリント種目、投擲種目、跳躍種目は中長距離のような揺さぶりというレースがありません。

自分のレーンやサークルを己の空間のみで競技することが出来ます。(もちろん各種目勝負の駆け引きはありますが)

ですので、もっとも世界記録を出せる種目は?と聞かれると、高跳びや棒高跳びではないでしょうか?その高さに挑戦することは、簡単にできるからです。それに成功するかどうかということであるので、この2種目が一番世界記録を狙った勝負が出来る種目ではないかと考えます。

少し説明しにくいですが、長距離種目では特にレースの流れが重視されます。

その中での日本選手権の結果です。なぜ日本記録を狙わないのか?なんて私からしてみればつぶれるかもしれないリスクを背負って日本一を決めるレースが出来るか!ということです。

記録というのは、他で狙える。日本選手権で勝負を重視するのは当たり前のことです。

そういういきさつから時には凡レースと言われるものになってしまいます。(その逆もあります!勢いある選手がそのままぶっちぎるなんてこともある。)

レースの流れや空気がそうしてしまいます。

これもまた長距離の醍醐味なのです。どこで揺さぶりをかけるのか?いろんな心理戦が繰り広げられています。

だから世界と戦えない?簡単に結びつけないでほしい。世界と戦えない理由はここではないと私は考えています。

記録が良ければ世界と戦えるのか?そんなことはありません。

ではなぜ今年日本ランキングでいえば5番あたりの佐藤選手が優勝できたのでしょうか?

レースの流れ、勝負の空気をうまくつかむことが出来たからにほかなりません。

金哲彦さんがこのレースを見て「あれでは世界で戦えない」といったそうですが、このレースを見ていったのであれば、この人は一体どこを見てるんだ?というふうに私は思います。

今更言うことではない。そんなことはこの日本選手権が行われる前から分かっていること。今のままでは世界では戦えないということは。

もしこの記事が事実なら、少々失望してしまいます。

長距離種目は、アフリカ勢をどう崩すかに躍起になっていますが、答えは見つからない一方です。

しかしながら、関係者がこぞってこの難題に挑んでいるのもまた事実です。

必ず日本の選手も、長距離種目で世界で活躍する選手が出てくると思います。

では今回のレースは本当に面白くなかったのか?

私は十分見ごたえがあったと思います。

また世界に入賞できないなら出場させない方がいいなどと、安易な考え方がまたその種目をすたらせてしまうと思います。

佐藤選手は、世界選手権で失敗しています。しかし彼は経験しています。世界との差を。

きっとまたオリンピックで何かを掴んで帰ってきてくれることとでしょう。

これは財産になり、彼らと戦う大きなヒントになるに違いありません。

また人気に胡坐をかいているわけではない。駅伝という日本独特のスポーツを発展させることで私たちは長距離種目を発展させてきた。

悔しければ人気が出るように、他の種目も努力すべきだ。

私たち関係者はその努力を怠らない。それが必ず長距離の発展、強化につながると信じているから。

たとえ世界との差が今はあるとしても、この種目はすたれることはないと思う。

だってきっとこの記事は、世界との差を縮めてほしいから書いているのだと思うから。