パトカーに乗った花嫁さん
大分市までの高速道路、約40分くらい前の所に
安心院(あじむ)という名の場所があり、
そこに一台の車が煙を出して停まっていました。
高速道路機動隊の警察官がそれを見て、
事故だと思いサイレンを鳴らして急行しました。
警官が駆けつけたところ、
それは事故ではなくオーバーヒートで
エンジンから水蒸気が上がってしまった
故障車でした。
警察官が車の中を見て驚きます。
車の中には、白無垢を着た花嫁さんが
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに挟まれて、
座っています。
また運転されていらしゃる方もご高齢な方です。
事情を聞くと、
今から大分市内のホテルで行われる披露宴へ行く
最中だと言うこと。
花嫁さんは白無垢の衣装で荷物は持っていなく
携帯電話で連絡をすることも出来ません。
皆、着物や羽織袴なので歩いて行く事もできず
立ち往生してしまい、
花嫁さんは披露宴に出れないと泣いています。
警察官は聞きます
「どこのホテルですか?」
「大分市内の東洋ホテルです」
「何時からですか?」
「○○時からです」
(あと45分くらい余裕がありました。)
ところが・・・
パトカーというのは上司の許可を得ずに
業務以外(防犯・取り締まりう)のことに使うと
業務違反で内部処分されるのです。
心無い人からの批判の的になったりもします。
しかし警察官は言います。
「我々の車に乗りなさい。
我々が結婚式場まで送ってあげるから安心しなさい。
残ったお祖母ちゃん、お祖父ちゃんも
我々の助けの車が来るから、ちょっと待っていてください」
と言い残し、
花嫁を無事に披露宴会場まで送り届けて
花婿と握手をして敬礼して帰っています。
これで済めば良かったのですが、
これを見て感激した親族の一人が
写真付きで新聞に投稿したところ
「パトカーに乗った花嫁さん」
とデカデカと載ってしまい、
この警察官の業務違反が皆の知るところとなりました。
翌日、警察署には600通を越える電話やファックスがありましたが、
「よくやった」
「こんなに素晴らしい警察官に守られている我々大分市民は幸せだ」
「こんな優しい心をもった警察官をもっと育てて下さい。」
といったものばかりで非難の内容のものは一通もなったそうです。
大分県警ではこの市民からの手紙やファックスを
若い警察官に見せたところみんなの顔色が変わって
より一層真摯に、大分県民の為に職務を遂行するようになりました。
と大分県警の幹部の方はおっしゃったそうです。