パトカーに乗った花嫁さん | どん底歴30年 ポンコツ社長の備忘録

パトカーに乗った花嫁さん

大分市までの高速道路、約40分くらい前の所に

安心院(あじむ)という名の場所があり、

そこに一台の車が煙を出して停まっていました。


高速道路機動隊の警察官がそれを見て、

事故だと思いサイレンを鳴らして急行しました。


警官が駆けつけたところ、

それは事故ではなくオーバーヒートで

エンジンから水蒸気が上がってしまった

故障車でした。


警察官が車の中を見て驚きます。

車の中には、白無垢を着た花嫁さんが

お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに挟まれて、

座っています。


また運転されていらしゃる方もご高齢な方です。


事情を聞くと、

今から大分市内のホテルで行われる披露宴へ行く

最中だと言うこと。


花嫁さんは白無垢の衣装で荷物は持っていなく

携帯電話で連絡をすることも出来ません。


皆、着物や羽織袴なので歩いて行く事もできず

立ち往生してしまい、

花嫁さんは披露宴に出れないと泣いています。


警察官は聞きます


「どこのホテルですか?」


「大分市内の東洋ホテルです」


「何時からですか?」


「○○時からです」


(あと45分くらい余裕がありました。)


ところが・・・

パトカーというのは上司の許可を得ずに

業務以外(防犯・取り締まりう)のことに使うと

業務違反で内部処分されるのです。


心無い人からの批判の的になったりもします。



しかし警察官は言います。


「我々の車に乗りなさい。

我々が結婚式場まで送ってあげるから安心しなさい。

残ったお祖母ちゃん、お祖父ちゃんも

我々の助けの車が来るから、ちょっと待っていてください」


と言い残し、

花嫁を無事に披露宴会場まで送り届けて

花婿と握手をして敬礼して帰っています。


これで済めば良かったのですが、

これを見て感激した親族の一人が

写真付きで新聞に投稿したところ


「パトカーに乗った花嫁さん」


とデカデカと載ってしまい、

この警察官の業務違反が皆の知るところとなりました。



翌日、警察署には600通を越える電話やファックスがありましたが、


「よくやった」

「こんなに素晴らしい警察官に守られている我々大分市民は幸せだ」

「こんな優しい心をもった警察官をもっと育てて下さい。」


といったものばかりで非難の内容のものは一通もなったそうです。


大分県警ではこの市民からの手紙やファックスを

若い警察官に見せたところみんなの顔色が変わって

より一層真摯に、大分県民の為に職務を遂行するようになりました。



と大分県警の幹部の方はおっしゃったそうです。