本が好き!プロジェクト第三十五弾レビュー | BLOG MYSTERY NOVELS

本が好き!プロジェクト第三十五弾レビュー


超人類へ!

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書評 /サイエンス



 脳。IT。遺伝子技術。その最先端を記録した専門解読書。

 近未来、ウィルス注射により、紫外線を照射すると緑に光る皮膚を実現したり、細胞に高電圧をかけてナノ・サイズの穴を開けて、そこに気泡のDNAを入れ身体の標的の器官に超音波を当て、気泡をその中で破裂させ目指す細胞にDNAを取り込み、遺伝子治療が実現すると解く本書は、まさに知の宝庫。

 またウィルスで、細胞ゲノムにその遺伝子とほぼ同じのDNAを運ぶとよく似た塩基配列のDNA分子間では一部分が交換されることもあるらしく、外来DNAが元のDNAと入れ替わりゲノムに取り込まれることがあることを利用した療法。

 科学とは、日進月歩で確実に進化しているようだ!
 人の身体は、どこまで人間の手によって操作することが可能なのであろう?

 神の領域に手を伸ばしても伸ばしても、なかなかその叡智には届かなかった人類の歴史。
 それが、人間の知恵は、かなりのところまで知の階段を一歩一歩と駆け上がっていき、振り返ると、二十世紀とは、まさに科学の歴史だったと指摘できるのではないだろうか?

 ただ、それでも私は、まだまだ神の粋にはほど遠い。
 そんな風に思うのも事実だ。
 確かに、DNAの治療は徐々に進化しつつある。しかし、完璧に細胞を若返らせることなど、無理であろうし、人工的に生命を造りだすことなど、おそらくは不可能であろう。

 そう、科学が日々の研究の繰り返しによって進化してきたように、予想を超えた治療法が開発されるためには、相当の歳月が必要となってくるはずだ。

 蓄積もまた才能。
 そう思う私は、やはり人間は、急速とはいえ、ここ百年ぐらいの科学の進化程度では、まだまだ神の領域には到れない。

 そう思い、生命の持つ神秘を、心の目で感じてみる。

 生命は深く筆舌し難い神秘だ。

 そして、私たちは、二十一世紀を生きていく。(2008/2)