6月13日、私は、党市議団の調査団の一員として、大阪湾のフェニックス計画の視察に行きました。



京都市議・とがし豊/子育て市議奮戦記-神戸沖埋立処分場①


放射性物質を含む焼却灰の最終処分の可能性がとりざたされる大阪湾の埋め立て処分場の実情を視察することで、市会議員として責任ある判断が取れるようにするためです。


兵庫建設事務所にて概要説明を受けた後、神戸基地を視察、船で移動して神戸沖埋立処分場を視察しました。


1、そもそも、フェニックス計画とは・・・


2府4県168市町村の焼却灰や産業廃棄物を、湾内9箇所の搬入基地(大阪・堺・泉大津・和歌山・姫路・播磨・神戸・尼崎・津名)から船で搬出し、湾内4箇所の埋立処分場(尼崎沖・泉大津沖・神戸沖・大阪沖)で最終処分する事業。


尼崎沖埋立処分場はほぼ計画終了に近づきつつあり、京都市分は尼崎基地を経由し神戸沖埋立処分場で最終処分。


神戸沖埋立処分場の計画期間は、当初は平成13年(2001年)12月から20年間となっていたが、ごみ減少により残余年数が6年間延長され、平成40年(2038年)3月で計画完了予定の見込みである。


深さ16mの処分場のうち、排水処理施設周辺を除く全域が深さ2mまですでに埋まっている状況。


2、廃棄物の流れ


 各自治体のごみ焼却施設から出された焼却灰や民間の産業廃棄物は以下の流れで埋め立て処分されています。


①ダンプにて基地に搬入

②目視と重量の検査

③(天候により、ストックヤード)

④バージ船に積み込み

⑤海上輸送

⑥埋立処分場のベルトコンベアに積み込み

⑦ダンプにて埋立処分場内を輸送

⑧埋め立て処分


契約の際に、基準値(溶出基準など)をクリアーしていることが前提として受入を決めているとのこと。



京都市議・とがし豊/子育て市議奮戦記-神戸基地①


廃棄物の品質が搬入の基準値を満たしているかどうかの厳密な検査は、年3回程度実施される抜き打ち検査のみ。


その抜き打ち検査の際には、搬入トラックごとに積載した焼却灰などの全量をストックヤードに保管し、サンプル調査を実施。専門業者で分析してもらうそうです。


「毎日のサンプル調査は実施できない」というのが現場の率直な声であり、どの程度の放射能汚染された焼却灰が搬入されているか実態を把握できないままに受け入れ続ける事態になることが危惧されます。


3、焼却灰などの飛散防止対策


 船へ積み込む際に出る粉塵については集塵装置(バグフィルター)で外部に漏れないようにしているとのこと。


海上輸送時のカバー、管状になったベルトコンベアによって、外部へ漏れないようにするなどの対策。ただし一部むき出しの部分もある。


作業は受託した神戸製鋼下請け会社の社員が担っているとのことです。


飛散防止対策を徹底したとしても、船から埋め立て処分場のベルトコンベアにパワーショベルにて移し変える際には、完全な密閉は困難。



京都市議・とがし豊/子育て市議奮戦記-神戸沖埋立処分場②


内部被曝対策に一定の限界があるという印象を受けました。


4、汚水処理施設


調整池から深さ7mの地点から吸い上げて処理し、最終的には活性炭による処理。



京都市議・とがし豊/子育て市議奮戦記-神戸沖埋立処分場③


基準値よりも厳しい自主管理基準を設けており、排水は樹種基準以下のレベルで、海へ排水または施設内の雑用水として活用。


埋立地の水面が低くなる恐れがある場合には、再び調整池に水を戻す。


5、外部環境との遮蔽


底は20~30mの粘土層で遮蔽。 擁壁は基盤部分を地盤改良した上に、矢板が打ち込まれ、緩やかな傾斜でささえる構造。


水面は海面からマイナス50センチでコントロール。


ただし、放射性物質を埋めるならば、津波・地震の被害(護岸の崩壊や液状化)や老朽化により機能が損なわれたとしても、外部に放射能が溶出することがない絶対の安全が必要と思われ、かなり専門的な検証が必要との印象を受けました。



【全体を通じての感想】


 視察全体を通じて、通常の廃棄物の最終処分場としての安全は確保されているものの、放射性物質を取り扱うという前提でつくられたシステムではないため、放射性物質を取り扱うという点では不安要素があまりに多い。


大気中への飛散による内部被曝や、海水への放射性物質の流出による被害は絶対にあってはならず、きわめて慎重な検討が必要だというのが私の現時点での意見です。