たむらぱんのメジャー1stフルアルバム「ノウニウノウン」のレビュー後編です(前編はこちら )。
全体の評価は100点満点で、
100点～95点：紛れもなく名盤
～90点：かなり良い作品
～80点：良い作品
～60点：まずまず・及第点の作品
～40点：イマイチ…
それ以下：駄作
評価：９１点
2002年より音楽活動を開始し、ライブハウスでの活動からMySpace上での活動へのシフト・楽曲の発表…を経て、「MySpace日本版発の初めての日本人シンガーソングライター」としてベストアルバム「ブタベスト」をリリースしてメジャーデビュー、その後精力的なリリースや多岐にわたる活動をしてきた女性シンガーソングライター・たむらぱん(あのロッテの「Fit's」のCMソングを手がけたのも実は彼女なんです)。そんな彼女がメジャーデビュー後初のオリジナルアルバムとしてリリースしたのが今作です。
そして名前だけ知ってて興味があったからという理由で今作を手にしましたが、彼女の今の勢いそのままの独創性溢れる質の高い作品に仕上がってますね。
基本の音楽性は「ピアノやストリングスをふんだんに取り入れつつもメリハリのついたキャッチーなキラキラポップサウンド」なんですが、その音楽性に彼女独自の視点で描かれた歌詞の世界観・遊び心あるサウンドとメロディ・変幻自在で色とりどりな曲と歌唱…が重なることにより独創的な「たむらぱんワールド」を作り出せています。活動期間が長いということもあってその世界観を曲・メロディ・歌詞にうまく取り入れることができており全体を通してレベルが高いです。軽快なピアノサウンドが魅力的な2,9曲目・メロディと歌詞が一体となった場面展開を見せて聞き手を楽しませてくれる5,8,10,12曲目・昭和？みたいな11曲目・王道バラードである3,13曲目…などなど、ピアノメインは変わらずともここまで色とりどりなラインナップが揃っているのも良いところ。改めて聞いてるとピアノとバンドサウンドの良さが分かりますね～
さらに意外に？良いと感じたのは歌唱。切なさ全開だったりあっけらかんとした軽快さを放ってたり、わざと音程外してみたり…と、その曲ごとの場面ごとにおいて歌詞の世界観をよく捉えてうまく表現がなされてるなあという印象を受けます。この手のジャンルで13曲はちょっと多いかな…と最初は思いましたが曲や歌唱の色とりどりな感じもあって聞きとおしてダルさはそんなに感じません。
と、ここまで良いとこだけを書いてきましたがマイナスな部分もあったりします。キラーチューンがもう少し欲しかったかなというところもあるけど、一番はシングル曲とアルバム曲に構成的な温度差があるところが気になったかな。全体を聞きとおす分には「前半にストレートなメロディを持つシングル曲がかたまっていて、後半に遊び心全開のアルバム曲がある」という今作のスタイルは良いんですが、やはり単体で聞くとより両者の温度差が感じられるのがちょっと残念。その流れをとってるからか終盤がちょっと尻すぼみに感じるのもマイナス点ですね。あと内容とは関係ないですが、ジャケットがちょっと怖いかも…
と書いてきましたが今作は非常に良いアルバムだと思います。ただまだまだ伸びそうな部分はあるしこれ以上の作品を作ってくれそうな期待感もあります。この独創性を保ちつつ質のたかいものを目指して欲しいと思います。YUKI・(一部の曲に関しては)椎名林檎・木村カエラらへんが好きな方にはオススメなアルバムです。
ちなみにDVDはたむらぱんのこれまでのPVすべてが収録されてますがこれもまた良い！彼女の独創性溢れる感じが随所に出ていて温かみのある、それでいて動きが豊かなPVに仕上がってます。ただ今はPCがサウンド機能壊れてて見れないのが残念…
＜商品データ＞
たむらぱん「ノウニウノウン」
CD
１．ジェットコースター(tvk「sakusaku」2009年5月度エンディングテーマ、STV「WE！TV」2009年5月度オープニングテーマ、テレビ東京系「ピラメキーノ」2009年度6月度エンディングテーマ)