学校コワイ | 私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

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自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

ぶん/よつば もこ、 え/かしだ あゆみ  ASDヴィレッジ出版 定価:1000円+税


     私のお薦め度:★★★★☆


今回は絵本の紹介です。


服巻智子先生の書籍などを出版されている、フロム・ア・ヴィレッジで「見える会話」や「スペシャルボーイズ」などを抑えて、何か月も売上トップにある本・・・ということで、興味を持って読んでみました。


確かに、多くの人にASD(自閉症スペクトラム)の子どもたちが、学校で何に困っているのか、どんなことを怖がっているのか、知っていただきたいと願う私達にとって、助けになる絵本だと思います。


近頃は、自閉症やアスペルガー症候群について、子どもたちにもわかるような、イラスト入りの入門書がたくさん発売されるようになりました。
それはそれでありがたいのですが、“知識”としての自閉症スペクトムはある程度分かったとしても、そこで本当に困っている本人の立場からの本は少ないように思います。


先日の講演会でのニキ・リンコさんや藤家寛子さん、春の講演会での加藤剛さんや瑠璃真依子さんなど、大人になられてから、子どもの頃を振り返っていろいろ“解説”してくださり、私たち親にもわかることが増えてきました。来年の4月には小道モコさんにもお話をお願いしています。


一方で、この絵本に書かれているのは、今、教室でどうしていいかわからなくて、おびえて立ちすくんでいる女の子です。どんな風に助けを求めればいいのか、そのやり方もわからないはるちゃん・・・そんなはるちゃんからの生の声です。


給食当番に当たっても いつもまごまご こまってた。


おかずは毎日違うんだもん。
どうやってよそうの?
「テキトー」ってどれぐらい?


「わからないことは先生に聞いてね」
っていわれても、
ききかたがわからなかったよ。


授業時間、休み時間、体育のとき、掃除のとき・・、「私はずっとずっと びくびくしてた」
暗黙のルールがわからない子どもたちです。特に知的に遅れがない場合「当然分かっているはず」「当たり前の話」と、スルーしがちですね。


本人がききかたが分からないのと合わせて、周りの大人たちも、本人が何に困っているのか気が付かない場合も多いと思います。


「キョウカショ15ページ開けて」っていわれても、
「キョウカショ」が国語や算数の本のことだって知らなかった。
だって表紙には「キョウカショ」って書いてなかったもん。


一人ひとりを見て、丁寧に関わっていかなければいけないか、改めて感じさせられた本でした。このままでは、「学校コワイ」と学校に行けなくなってしまったかもしれません。


それを救ったのは先生やお母さんのわかりやすい一言です。
「黒板は このマグネットのあるところを写してね」
「あしたはこんなの習うよ」

「先生が聞いたら、これを答えたらいいよ」
そして、まわりの友達からも認められ

「私にもできることがあった!」
「学校がすこぉし楽しくなった」 

そんな娘さんのことばを集めた絵本です。


付録には、この本のCDがついていて、学習障害など読みに困難さを持っている人でも絵を見ながら聞き取れるようになっています。ASDの子どもたちでしたら、少しスピードを速くして聞けばちょうどいいと思います。


もしも、小さなお子さんが「学校に行きたくない・・・」と言い始めたら、「一緒にこのCD見てみようか」とパソコンを覗きこんでみてください。なにか困っていることを見つけるヒントになるかもしれません。


小学生ぐらいになると、一方的な“絵本の読み聞かせ”より、“一緒に同じモノを見る”、方が自然なような気がします。その意味で親子で共に見られるいい“絵本”だとお薦めします。


      (「育てる会会報 187号 」 2013.11 より)

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『学校コワイ』


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