めだかふぁみりぃ:著 ぶどう社 定価:1600円+税 (2000年10月)
私のお薦め度:★★★★☆
本書のプロローグでも触れられているように、私たちの年代であれば、川口といえば、ほとんどの方が吉永小百合さんの「キューポラのある街」を連想されると思います。
その川口市で、街の中に溶け込んで暮している「めだかふぁみりぃ」の若者たちの物語です。
「ハンディがあってもなくても一緒に!」と副題にあるように、肩に力をいれることなく、今は川口銀座商店街の中に手作りクッキーの店「すいーつばたけ」を開店して、明るく働いている「めだかふぁみりぃ」のメンバーたちです。
この物語のスタートは、山下家に次男、純平君が生まれ、自閉症と診断されたところから始まります。純平君のお父さん養護学校に勤めていたり、普通学級では自閉症の子どもを担任したりと、障害に対する理解があります。そして、めだかふぁみりぃの中心であり、この本の執筆された佳子さんのボランティア精神にあふれ、前向きな生き方は、リーダーとしては最適だったと思えますね。
その意味では、山下さんのご家族が、純平君が4歳の時、相模原市から川口市に引越してこられたことは、川口市に住む、将来めだかふぁみりぃのメンバーとなる子どもたちやそのご家族にはラッキーだったと思いますね。
もちろん、山下さんがいなくても、障害の子を持った親たちは仲間を求めて自然に集まってくるものだと思います。ただその方向性は、核となる方のバイタリティーの影響はやはり大きいのでしょうね。
岡山でも、似たように地域での集まりをきっかけに、後の「太陽の家」の仲間たちが集まり、太陽の家作業所を作りました。これからは将来のグループホーム・ケアホーム設立に向けて取り組もうとしています。
山下さんチの純平君は1975年生まれだそうですので、我が家の哲平よりは一回りほど先輩ですね。ですから、「めだかふぁみりぃ」の取り組みも「太陽の家」の大先輩です。
「みんなで楽しいこと いっぱいしよう!」
「街がやさしくなっていく」
そして
「ぼくらはこの街で暮らしたい」
頑張って(?)活動している親や子ども達の思いに応えて、街の中に応援の大きな輪が自然にできてきたまでの記録です。
この本の中には、グチや不平不満はほとんどでてきません。明るく前向きに培ってきた「めだかふぁみりぃ」のこれまでの歩みとこれからの道です。「ないものは作っていこう!」がモットーの私たち育てる会でも目標にさせていただきたい明るさですね (^.^)
(2006.3)
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- ぼくらはこの街で暮らしたい―ハンディがあってもなくても一緒に!/めだかふぁみりぃ
- ¥1,680
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目次
プロローグ この街が私たちをはぐくんでくれた
1章 地域でふつうの子育てをしたい
1 発達の遅れに気づく
2 子育ての第二ラウンド
3 地域の普通学級へ
4 中学校に複式学級を
2章 みんなで楽しいこといっぱいしよう!
1 めだかスポーツクラブ
2 めだかおもちゃ図書館
3 めだか生活学校
4 めだかカルチャースクール
5 ハンドベルクラブ
6 ねだか青年の広場
3章 手作りクッキー工場は大忙し
1 なぜ、「クッキー屋さん」なの?
2 「すいーつばたけ」のクッキーの味、誕生秘話
3 「すいーつばたけ」の工場の始まり
4 私たちの「最低賃金法」
5 新しい工場へ
※ 「すいーつばたけ」の工場の一日
6 ゆっくり楽しく、木工班
4章 お店はにぎやか商店街の中
1 「めだか」と川口銀座通り商店街
2 イトーヨーカ堂へ出店できることに
3 その時、メンバーたちは
4 街のメインストリートに、私たちのお店が
※ 「すいーつばたけ」のお店の一日
5 おかみさんたちのフリーマーケット
5章 誰もが地域の暮らしの支え手に
1 コーディネーターになった私
2 めだか流「地域生活支援」の特色
3 レスパイト・サービス
4 宿泊体験
5 ガイドヘルプ
6 本人活動の始まり
エピローグ 将来へ、みんなの夢はふくらむ
あとがき